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【失敗を語る3】クールなのがモテると勘違いしてバレンタインにトイレに隠れた話

「モテたい」という欲求は男であれば誰でも持っているものであり、僕が筋トレしたり勉強したり読書しているのも、究極的にはモテるためなのかもしれない。

「人生ずっとモテ期だ」と僕はいつも答えている。これはネットだからイキってるわけではなく、誰に聞かれてもずっとモテ期だと答えている。本当にモテているかはさておき、当の本人である僕はそう答えることで日々モテるために自己研磨に励むようになり、結果として意識が高まり自己肯定感も高まり、自信がついてモテるという良いサイクルに入っている気がする。人生結局、自分が満足すればそれでいいのだ。

しかしそんな僕はかつて氷のように冷たい男だった。いや、本当に芯から冷たい男だったわけではなく、クールなのがモテるのだと、誰もが一度は犯してしまいそうな間違いをし、とんでもない冷淡さで女子を泣かせてしまったことがある。

あれは忘れもしない中学生のころ。僕は毎年バレンタインにチョコをもらっていた。2,3個くらい。通常であれば喜ぶべきシチュエーションである。自分に好意を寄せている女子がいる。こんなに嬉しいことはない。しかし何を勘違いしていたのか、当時の僕はそういった好意を素直に喜ぶのではなく、クールにスルーするのがかっこいいと勘違いしていたのだ。

そして困ったことに、当時の僕は最初は自分も好きだったのに、いざ自分のことを好いてもらえた瞬間にこれまでの好意が消え失せ、途端に相手の好意がキモチワルく感じてしまう困った現象に悩まされていた。要するに、両思いになった瞬間、僕の気持ちが冷めてどうでもよくなってしまったわけである。

僕にチョコをくれた女子の中にはかつて自分が好きだった人もいたのだが、いざ念願叶って両思いになった途端、表現しがたいキモチワルさを感じてしまい、どうでもよくなってしまった。

さて、そんなひねくれすぎた恋愛観を持った僕は、とあるバレンタインの日にとんでもない失態を犯してしまう。授業を終えて帰るために下駄箱に向かうと、毎年チョコをくれる女子と、その友達一行が待ち構えているのが見えた。

当時の僕は人の目を気にせずにはいられない人間だった。下校時間の真っ只中。このまま下駄箱に行けば大勢の人たちにチョコをもらう瞬間を目撃され、明日から冷やかされること間違いなしな状況なわけだ。今となってはそんなことはどうでもいいのだが、当時の僕は小心者だった。そんなことになっては顔が真っ赤になって爆発するんじゃないかってくらい恥ずかしい。そんなの絶対に無理だ。

そう思った僕はなんとチョコを持って待ち構えている女子から一目散に逃げ、上の階の男子トイレに隠れたのである。

これはどう考えても得策ではなかった。このまま男子トイレに隠れ続けることはできない。10分でも隠れていたらその子は僕への好意を記憶喪失のようにすっかり忘れ、家に帰ってくれるのだろうか。そんなわけがない。はたまたこれがハリーポッターの魔法省へ続くトイレのように、足を突っ込めば僕の家まで直行直帰できるそんな仕掛けげもあれば良かったのだが、もちろんそんなことはありえないわけである。一体トイレに隠れてなんになるのだろうか。

そんなことを考える余裕すらなかった僕は、一人トイレに座っていた。彼女たちは今何をしているのだろう。そんなことを考えながらトイレの白い壁を永遠に見つめていたわけである。

何分経ったのか全く分からなかったが、しばらくすると「中島〜!いる〜!」と廊下から声がした。クラスの男友達の声だ。「〇〇がさあー。チョコ渡したいんだって。早く出てきてやれよ〜。」どうやら僕が一目散に逃げるところを目撃されていたらしい。そこで彼に頼んで僕を探させたのだろう。

時間が経って冷静さを取り戻しかけていた僕は、素直に諦めトイレから出た。「お前、そんなところにいたのかよ。下駄箱で〇〇待ってるから言ってやれよ。」このときすでに顔が爆発するんじゃないかってくらい恥ずかしさで赤くなっていたと思う。

例えようのない恥ずかしさと気まずさを抱えながら下駄箱に行き、僕はその子からチョコをもらった。「よかったら食べて。」と言われた気がする。しかし何を思ったのか、クールなのがかっこいいと勘違いしていた僕はとんでもないことを言ってしまったのだ。

「おれ、チョコ嫌いなんだよね。弟にあげるわ。」

もしタイムスリップできるならあのときの自分を助走をつけてグーで殴りたい。一体お前は何を勘違いしているのだと。自分が好きかどうかは別として、女の子が自分のためにチョコを作ってくれたのだ。それに対して「嫌い」と一体なんだと。おまけに僕はチョコが大好きだった。毎日のように家にあるおやつのチョコを食べていたのだ。おそらくそれも知っていてチョコを作ってきてくれたのに、あの日の僕はただその子の気持ちを踏みにじりたいがためにそんな冷徹な一言をかけてしまったのだ。

次の瞬間、その子は涙を流して泣いた。すぐさま彼女の友達が駆け寄り、肩を抱き寄せていた。僕には何も言わなかったが「ありえない、最低」という目でこちらを見ていた。当然だと思う。僕はあの日、最低の男だった。人の好意を踏みにじり、恥ずかしさを振り払うかのように言ってはいけない最悪な一言をかけてしまったのだ。

僕はクールだったわけじゃない。ただ人の気持ちを汲み取ることができない、冷淡で、自己中心的で、思いやりのない、最低な男だっただけだ。自分が好き嫌いに関わらず、他人の好意は受け止めなくてはならない。「ありがとう。ありがたく受け取るよ。」とか、そんなセリフが言えたはずだ。本当に好きじゃなくて、せっかくもらったチョコもどうしても食べられないとしても、その場で直接伝えるべきではない。大人の対応ってものが僕にはできなかった。本当に申し訳ないことをしてしまったと、今でも後悔している。

もしかしたら皆さんも、クールなのがかっこいいと勘違いし、人の気持ちを踏みにじってしまうことがあるかもしれない。過去に失敗した僕から言わせてもらうと、そんな男は最低だ。感謝の一つもできない男は、とてつもなくダサい。クールとは自分のプライドを守ために他人の気持ちをないがしろにすることではないのだ。

この失態から学んで以降、僕は人の好意には大前提として感謝を示し、それが受け入れられない場合にも円満に解決できるよう、最大限誠意を示すようになった。これが大人になったということなのだろうか。

恋愛にせよ、人間関係にせよ、どんなことでも誰しも失敗を経験している。失敗した当時はそれが失敗だと分からなくても、時間が経って振替えればとんでもない失敗だったと気づくことも多い。

この失敗を語るの連載はまだまだ続く。書いていてうわーっとなるほど恥ずかしい失敗ばかりだか、全て書き切った頃にはまた一皮剥ける気がしている。次回は高校の授業をほぼ全部寝ていた話です。お楽しみに。







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