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蒲田から羽田空港にバスで行こう

蒲田駅から羽田空港に向かうバスがある。夜に乗ると途中からほとんど人がいなくなり、そうか、僕はこれから1人で海外に行くのか、という静かな興奮に包まれる。

この静かな興奮を味わうために、僕は必ず深夜便で海外に行くときは、わざわざ蒲田からバスで羽田に向かう。酔っぱらったサラリーマンで賑わう蒲田の駅前。帰宅する人たちと一緒にバスに乗り込む。大きなリュックを背負っているのは僕だけだ。みんなには帰る家がある、しかし僕はこれから飛行機に乗って異国の地へ旅立つ。蒲田駅の喧騒を離れ、バスは東へと進んでいく。マンションが並ぶ通りを過ぎ、次第に建物の背が低くなる。1人、また1人とバスを降りていく。気が付けば住宅街すら見えなくなり、街頭の明かりすらまばらになっていく。そしてバスには僕と運転手以外、誰もいなくなる。

壁に頭をもたれ、真っ暗な窓の外を眺めながら、これから向かう国に思いを馳せる。静寂のなか響きわたるバスの振動が、一定のリズムで頭を揺らす。どんな冒険が待っているのだろうか、僕の心は静かに興奮している。その興奮が、静寂のなかでいっそう強く感じられる。この一瞬を味わうために、僕は蒲田からバスに乗る。バスに揺られるこの瞬間から、旅は始まっているのかもしれない。

視線の先に、光のかたまりが一つ、また一つと上空から陸へと降りてくる。飛行機だ。そしてその先に闇夜を照らす羽田空港が姿を現す。

国際線ターミナルで降り、チェックインに向かう。新しい旅が、今始まる。




<こちらの記事はブログをライトに書き直したものです。よければ原文もお楽しみください>


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