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これから大学生になる弟に俺は伝えたいことがある

おめでとう!!!!!

君は4月から大学生だ。苦しい受験勉強に打ち勝った君には、全く新しい刺激に満ち溢れた大学生活が待っている。君が努力して合格した大学は、誰が何と言おうが素晴らしい大学だ。君は机と、そして自分自身と真剣に向き合い、合格を勝ち取った。その結果を誇りに思って欲しい。

でも、そのまま歩いてどこかへ行ってしまう前に、兄として俺から一言言わせて欲しい。説教臭いのは俺だって嫌いだ。でも兄として、君が生まれた時から18年間成長を見ていた兄として、これから大学生になる君に伝えたいことがある。

長くならないよう、手短に話すから、一旦生協のチラシはそこらへんに置いて、俺の話を聞いて欲しい。あと、そのチラシに載ってる分厚いPCは無駄に高いから買わなくていい。

大学はただの箱

君がこれから行く大学では、いろんなことを学ぶことができる。国語・数学・物理・化学・地理・英語、そんな科目はもうない。君がその気なら芸術や文学、物理や歴史、プログラミングから統計まで、何だって好きな授業を受けることができる。

そしていろんなところからいろんな人間がやって来る。生まれ育った場所も環境も、考え方も違う。国籍が違う人もたくさんいるし、一回り年上の同級生だっているかもしれない。君は今までの標準教育課程では出会うことのなかった様々な属性の人と会うだろう。いろんな人と会ううちに、君が人生をかけて挑戦したい何かが見つかるかもしれない。

しかし、大学はただの箱なんだ。それだけは覚えて欲しい。

君は〇〇大学という肩書きを手に入れる。その大学の中で学び、人と会っていくが、そこにレールはない。今までは1時間目から6時間目まで、学校が決めたカリキュラムに従って学んでいたと思う。しかし大学からは自由だ。君は好きな授業を選び、好きな時間に遊ぶことができる。大学は君に選択肢を与えてくれるが、正解は用意してくれない。君が自分の頭で考えて、選択肢を選び、正解を見つけて行くんだ。

素晴らしい自由な生活に聞こえるかもしれないが、自由には責任が伴う。大学は君にこうしなさいと指図することはない。大学という箱の中でどう振る舞うかは全て君次第だ。だから君が箱の中で何もしなければ、何も学ばず、多種多様な友人から刺激を受けることもなく、パッとしない大人になりそのまま社会に放り出されることになる。実際、俺の知り合いにも東大や京大など著名な大学に入ったにも関わらず、いつまでも高校や予備校時代の友達とつるみ外部と関わろうとせず、パッとしない大人になった人がたくさんいる。彼らにとっては偏差値の高い大学に入ることがゴールであり、その先で努力することを怠ってしまったのだ。彼らは大学という箱の隅っこの方に、4年間ないし6年間、じっと動かないまま居座り続け、ある日突然箱から放り出されてしまった。

君がパッとしない大人になっても、その責任は全て君にある。大学という箱の中で、どんな選択肢を選びどんな経験を積むかは、全て君次第だ。紙のテストができて評価されるのは高校まで。ここから先は自分で正解を探すこと、正解を探すために足を動かし続けることが大切だということを忘れないで欲しい。

大学の外にこそ正解がある

君の大学に素晴らしい人はたくさんいる。しかしもっとたくさんの素晴らしい出会いが、大学の外に待っている。箱から飛び出し、外の世界と交わることをためらわないで欲しい。

俺は正直言って、大学に親しい友人は少ない。もちろん実験で同じ班だった同期や、サークルの友人はいるが、今も関わりがある友人はほとんどいない。2年生まではサークルに毎週通い、授業もいくつか友達と受けていたが、途中で辞めてしまった。それは大学の外に面白い世界を見つけたからだ。俺はたまたま文章が書くのが得意で、それをきっかけに箱の外と繋がりができた。だから君も興味があることを見つけたら、積極的に箱の外に飛び出して欲しい。

勉強ができる人は、学歴こそがステータスだと思い込みやすい。これは間違っている。どの大学にいるとか、どの会社で働いてるとか、肩書きで偉そうにする人間はカッコ悪い。どの大学に入ったかではなく、入った大学で何をするかが大切なんだ。世の中には中卒・高卒でも高い志を持って野望を実現させるエネルギーに溢れる人間がたくさんいる。同じ大学ではなく他の大学、大卒という限られた属性ではなくあらゆる属性の大人と関わることで、世の中の見方が大きく変わるはずだ。事実、俺がいま仲の良い友達は、全員大学が違うし、そもそもどこの大学を出てるか知らないことも多い。なぜならどの大学を出たかなんて聞かなくったって彼らが素晴らしい人間であることは彼らの人柄・仕事ぶりから伝わってくるからだ。いま俺が精神的にも社会的にも恵まれた生活を送れているのは、自分の殻を破り箱の外に答えを求めたからだ。

ただ、君が箱を飛び出すことを、快く思わない友人がいるかもしれない。大学のクラスメイトや、サークルの同期だ。同じ大学の同じコミュニティにいるのに、なんで外の世界に行くんだと。意識なんて低くていいじゃないかと、居心地のいいこの輪の中に、ずっといればいいじゃないかと後ろ指を刺されるかもしれない。

君はこの手の誘惑に負けてはいけない。自分のステージが上がると、関わる人間も変わってくるのは当然のことなんだ。今まで親しかった友人と疎遠になることも、俺は健全なことだと思ってる。事実、大学1年生で仲の良かった友人とは2年生になると関わることがなくなり、2年生で仲の良かった友人とは3年生になると関わらなくなり、同じように学年が上がると1年前に親しかった友人とは疎遠になっていった。もちろん俺から「君とはもう関わらない」と言ったわけじゃない。自分の興味関心が深まり広がって行くにつれ、自然と関わる人たちが変わっていっただけだ。それは自然なことであり、自分が進化していることの証左だ。だからそれまでの友人に後ろ指を刺されても、君は君の興味が向く方向に迷わず進んで欲しい。

他人の意見より、自分の意見を大切にするんだ。なぜならこれは君の大学生活であり、他人のものではないからだ。

大学の中にも学べることがたくさんある

箱の外に出ることが大切だと語ったけど、もちろん大学の中にも学べることはたくさんある。俺は理系で、情報工学を学んだ。院まで行かなかったから専門知識はないけど、それでもコードを書いて機械学習をしたり、制御工学を学んでラプラス変換を習得した。他にもスペイン語を学び、文学・美術の授業を取ったりした。そこで学んだ知識が今の仕事に直接生きているかと言われると、答えはNOだ。しかし直接でなくとも巡り巡って自分の人生に確かにプラスの影響を及ぼしている。

例えば、曲がりなりにも俺は理系だから、物を語るときは客観的に正しいと分かる論拠や数字を当たるようにしている。おかげで世の胡散臭い商品には騙されなくなった。AIという言葉が持て囃されて久しいが、巷で聞くAIの多くはただのExcelの応用で作った場合分けのプログラムに過ぎないことも機械学習を学んだおかげで分かった。

俺はアートが好きだし、小説も好きだ。だからブログを書いている。そのきっかけも何となく取った芸術や文学の授業の影響が大きい。課題で美術館を巡ったり、シェイクスピアの「マクベス」を半年かけて読んだりした。そこで初めて西洋美術の歴史や、シェイクスピアの作品に潜むメッセージを読み解くことができた。スペイン語の授業も取ったから、簡単な挨拶くらいはできるようになった。おかげでスペインや、メキシコを始めとする中南米の人と出会うと距離を縮めやすくなった。興味がある授業はどんどん取るべきだ。図書館には無限に本があるし、制度を上手く使えばお金をかけずに留学することもできる。せっかく大学に入ったんだから、最大限に活用しないともったいない。大学の中にも学べることはたくさんあることも覚えておいて欲しい。

お金と真剣に向き合う

ここからは少し現実的な話をする。君がこれから大学を出て社会に出るにあたり、お金と真剣に向き合うタイミングが必ず訪れる。君も俺と同じように奨学金を借りて大学に行くことになる。君は自分の頭で考えることができる人間だから、奨学金の返済で将来困ることは確実にないだろう。しかし真の自由を獲得するには、経済的に自立する必要があることを覚えておいて欲しい。

君にも少し話したが、俺は自分の学費の7割を自分で稼いだお金で払っていた。残りの3割は奨学金で賄った。俺は給付型の奨学金と返済型の奨学金の2つを借りていた。もともと7割ではなく2割だけ自分で払う予定だった。が、無知な俺は奨学金の制度を理解しておらず認識にズレがあり、大学1年生限定の給付型の奨学金を2年生以降ももらえると勘違いしていた。2年生でも引き続きもらえると思っていた奨学金は当然振り込まれず、その金額を自分で払うことになった。父親と母親にも土下座をしたが、1円たりとも出してくれなかった。遊びを断ったりバイトを増やしたりして、どうにか学費を払えるよう頭を使った。最終的にはApple製品をメルカリなどフリマアプリで利益を乗せて売ることを思いつき、バイトをせずに学費を払えるようになった。その後はブログのおかげで学費を払いながら自分のお金で一人暮らしができるようになり、実家を出た。結果としてお金に困ったおかげで、自分一人が満足に生きられるくらいの小さな経済的自由を手に入れることができたが、遊びを断りバイトを増やしてどうにか乗り越えようと苦心してた二十歳の春は本当に辛かった。

君が行く大学にはそもそも奨学金など必要としない家庭出身の人も多い。君が必死にバイトや商売をして、片道2時間かけて大学に通う傍で、バイトをせず実家からの援助で大学の近くで一人暮らしをし、留学にも行き海外生活を送る同級生もいるだろう。俺は彼らが羨ましかった。でも妬み僻んでも現状は何も変わらないことに気が付いたから、自分で経済的自由を得るために頭を使った。

社会は平等じゃない。俺たちは東京の外れにある寂れた街で育った。大学に行く人間は少ない。犯罪者から大学に行く人間までごっちゃになった小中学校を出た俺は、初めて大学で上流階級と呼んでも差し支えないほど富を持った人たちに出会った。俺はショックだった。同じ人間なのにこんなに違う環境で育つことがあるのかと。文化的資本も教育環境も全く違う。君もそんな現実に憤りを感じるときが訪れるかもしれない。

そこで闘うも引くも、全て君の選択次第だ。他人は他人と割り切り、自分の幸せを追求してもいい。同じ人間なんだ、俺だって努力すれば経済的自由を獲得できるはずだと、闘いを挑んでもいい。いずれにせよ、どうすればお金に束縛されずに自由に生きることができるのか、真剣に考える必要がある。

お金は全てじゃないが、全てにお金が必要なのだ。俺たちが生きる資本主義社会には歪みがある。その歪みを利用すれば、経済的自由を獲得することができる。そうした勝機を見逃さないためにも大学という箱の外にもアンテナを張り、情報を集め、自分の頭で考える必要がある。

君には無限の可能性がある

さあ、これが最後だ。手短に話すと言ったのに長くなってしまって申し訳ない。口うるさい兄だと思ってもらっても構わないから、最後にこれだけ聞いて欲しい。

君は君の努力で、限られた時間と環境の中で覚悟を決めて自分の運命と闘い、大学へ入学する権利を手に入れた。俺も兄としてアドバイスをしたし、お弁当や雨の日の送迎など親のサポートもあったのは確かだ。

しかし受験当日、机の上で必死に闘い、努力の証を解答用紙に刻み付け、最後まで粘り強く勝負を挑んだのは、他でもない君自身だ。俺は俺自身の力で大学への切符を手に入れたと、誇りに思って欲しい。

そして覚悟を決め、自分の頭で考えることができる君には無限の可能性がある。君がその気なら、宇宙飛行士にも、経済学者にだってなれる。エンジニアになってアプリを作ることも、文章を書いて作家になることもできる。世界を舞台に活躍するビジネスマンになることも、起業して世の中に自分のサービスを広め、普通じゃ得られない富を築くことだってできる。そう、君には無限の選択肢があるんだ。選択肢が無限にあること、それ自体が君の努力の賜物なんだ。自分に自信を持って、これからも自分の頭で考えて、興味関心が向く方向にどんどん進んで欲しい。きっとその先に心躍る豊かな大学生活が待っている。

俺は兄として、君の大学生活が素晴らしいものになることを心から祈っている。

さあ、行ってこい。桜の道を通って。新しい毎日が始まる。

君は何にだってなれる。人生は自由だから。






最強になるために生きています。大学4年生です。年間400万PVのブログからnoteに移行しました。InstagramもTwitterも毎日更新中!