#29 Top-tierVCの投資先から投資トレンドを考える

-海外VC Portfolioを見ることの意味の是非

海外のVCの投資先がどういうのがあるのかは、起業アイデアを考えるときや、VCとしても投資候補先を考える上ではテッパン的な活動ではある。一方で、So What?な側面は否めない。自分も起業アイデアやVCのキャリアになってからは続けていたがどこまで意味があったかは正直わからない。あらゆる環境が違いすぎて海外のスタートアップが参考になる面もあるが実はそこまで役には立たなかったことが多いと個人的には思う(知識欲は満たされるが)

とは書いたもの、意味がないわけでは全くなく、”どういったトレンドがあるのか・どういう分野が注目を集めているのか”ということをざくっと知るためには意味がある。そのため改めて久しぶりに、Toptier Firmと言われる海外のVCが今年9ヶ月ほどでどういうスタートアップに投資をしていたのかをさらってみた。(どこがToptier Firmかという議論はあるのだけれども、Sequoia・Benchmarck・a16z・Lightspeedあたりを今回は参照してリサーチを行った)

*あくまで自分の好み・興味分野からピックアップしているので、網羅的ではないですし解説も最低限にしているので、ざっとどういう企業があるのかってうことを知ることができることを目的としてます。バイオ・Climatetech系は拾いきれてないです。

-Generative AI

OpenAIがトレンドを創った分野である。ただまだ数としてはそこまで多くはなかった。おそらくこの分野をもう少しリサーチを深くしようとすると、YcomであったりProducthuntなどシード寄りの情報リソースに当たった方がいいだろう。

また機械学習の意図でAIを活用していた企業がより今回のGenerativeの流れを受けてそちらの文脈に乗ってきていることも感じる。

・汎用LLM

OpenAIが汎用的なLLM分野として勝者ではない。ほとんどがOpenAIから辞めて独立した人間が多いが、まだまだこの分野にはお金が入りこみそうである。ただバックについているのはVCというよりは、GAFAMのような企業が多い。

そして個人的にはこのあたりは地政学的・防衛的な要因も関係してくると思う。例えばMistalAIなどはヨーロッパにおいて独自のLLMをもつべきだという意見からでてきたもの。こういった地政学/防衛の関係で産業が生まれるということは今後より見られる分野ではあると思う。

OpenAI説明不要。Chat-GPT/DALL-E2 などで現状のマーケットリーダー

Anthropic:Claudeという対話AIを開発。元OpenAIメンバー。OpenAIがMicrosoft陣営なら、こちらはGoogle陣営(620億円をGoogleから調達)AIの安全性に対して注力

Conhere:トロントベース。基本的にはChat-GPTライクなサービスだが、より企業の利用を想定したサービスを開発

MistalAI:フランス本社。オープンソース活用で伸ばしていく予定。2023年末までに、ChatGPTの GPT-3.5とGoogle Bardを「かなりの差」で上回るものを構築予定

・企業活動の生産性向上

AIによる生産性向上は起こってほしい事象である。まずは生成系と相性良く利益に繋がりやすいマーケティング分野においての企業が多くの額を調達している。売上などはまだ調べきれてはないが、着実に成長しているのだろう。今の技術と解けうる問いは今後も進歩していくはずで、生産性向上には期待している。

Tavus:一度音声や動画をとれば、その人の言語で他の言葉を話させることができる。活用すればE-mailマーケティングなどで動的に言葉を変えることができたのが、動画マーケティングにおいても活用可能に

Typeface:マーケティングコピーや画像を生成することができるようになる。そのため、データのセキュリティやブランドが承認した文言やアセットから生成することに注力

Jasper:Typefaceに近い領域。同じく企業のマーケティングのためのコンテンツ生成(ブログ・SNS投稿など)

Macro:AI搭載のWord soft

Updata.AI:Chat-GPT活用したカスタマーサクセスSaaS。応答などを自動化

・エンターテインメント

ユースケースはこの分野はまだまだあると思う。後述するCreative に近い分野ではあるが、ざっくりとエンタメとしては広くはあるがより人を楽しませるためにこの技術の活用は可能性しかない

Character.ai:空想のゲームのキャラや、著名人と話すことができるChatbotサービス。ある記事によればChat-GPTより年齢が若い層に刺さっており、継続率も高いらしくエンタメのユースケースを切り開いている

Inworld:ゲームのNPCにAIを使い活性化させる。これは夢がある。ゲームの可能性の広がりを感じる

InflectionAI:パーソナルAIのPiを開発。正しい答えを教えるChat-GPTなどと異なりKindでSupportiveな性格にチューニングしていき、デジタルアシスタントを超えた存在のAIを構築していくことを目標としている

・Creativeツール

わかりやすく生成系をクリエイティブのために使う分野にもお金が集まっている。動画・画像・音声など表現方法各分野においては浸透していくであろう。一方まだまだ既存のクオリティでどこまで代替することが可能かはわからないが、時間の問題でもある気はしている。

Runway:Gen-2を開発・運営。text-to-videoに注力

Elevenlabs:Generative Voice AI。音声の生成化。一方Deepfakeの問題も多く産んでしまっている。声優のリプレイスもあり得るのか

Captions:Snap出身の起業家。トークビデオの領域におけるAI活用を進めている

Midjourney:画像生成。StabilityAIと共にマーケットの知名度高い

Ideogram:画像生成。タイポグラフィなどに特化

・専門職のリプレイス・補助

まだ数としては少なかったがおそらくこのあたりはこの数年もう少し更にでてくる予感がある。”各種専門職がGenerativeAIによって補助・リプレイスできないか?”という問いは真剣に考えたい。

Harvey:弁護士業務のリプレイス・補助

Jitty:不動産購入、賃貸分野におけるAI活用


-Developer tool

どのようにしてこのトレンドをくくるかというのはあるが、Developer Successというべきか、こういったソフトウェア開発のツルハシを提供するサービスにお金が集まっている。

いわゆるAI Embedded なサービスがゴールドだとしたら、ゴールドラッシュ時に儲かったのはツルハシというアナロジーにおける、AI開発補助サービスというものは伸びるということで投資が集まっているのではないだろうか(この逸話が正しいのか知らないが)Benchmarkがその領域のLangchainとMindsDBに数少ない中でも投資をしているのが流石だなと。

またGenerativeAI周りのことを考えた際に、これはゼロからのスタートアップが勝つシナリオより、既存のサービスが強くなる技術的変化の可能性は大いにあると捉えている。独自のデータアセットをもてるかが重要になってくるとすると、既存でサービスを展開していた事業者がAIによってよりサービスの提供価値が強化できるほうがまずは世の中に早く現れてくるのではないか。そのシナリオの場合はこういったTool・サービスが伸びていく機運は高い。

・AI-Embedded tool

AI-Embeddedなツールというのはどんどん増えていく。NotionにもMemにもnoteなどにももうついている。そしてその効力を今の現状で発揮できるのは開発ツールである。Copilotは投資先などを見ていても多くが導入しているし、正確性が求めれられる開発においてはよりAI活用は進むだろう。

Replit:Copilotにも近いが、AI-Embedded な開発ツール/オンラインIDE。コードを書かずに開発ができる日も近い?

・AI開発のためのサービス

冒頭紹介したAI開発のための開発サービスは順当に伸びる・伸びていると思える。今後にAI-Naitive Companyがどんどん生まれてくるはずだが、その上でこういった開発サービスを使うのは必須になってくるはずである。

Portkey:技術チームがわずか2分で生成AIアプリの構築と展開を可能に

Langchain:単純なAPIをつなぐだけではなく、複雑なLLM活用をする際のライブラリーを提供

MindsDB:AI開発のAWSを目指す。開発者に専門知識がなくてもAIを既存サービスに組み込むことができる

・Nocode

使い倒された言葉ではあるが、この分野にはお金はまだまだ集まっているようだ。日本においても兆しは多い。特に対ユーザーというよりは、社内の人間の生産性向上に向けた開発をNocodeで行うことは今後も進むであろう。

特に個人的には後述するAirplaneもそうだが、Retoolのような自社内の管理サービスをNocodeで制作するような流れはより日本のエンタプライズ企業dめお起こってくるのではないかと思う(そもそもDXという言葉がうろついているようにデジタル化することからなのかもしれないが)

Glide:スプレッドシートからアプリを作成することができる

Airplane:社内システムをノーコードで作成することができる。SaaS企業のカスタマーサクセスチームが内部管理サービスを作成したりしている


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