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初日を終えてみて

6月1日は中井設計として活動再開の初日であった。
活動休止したつもりもないのだけれど、
コロナ禍となり、予定していたワンマンも中止、
さらに建築の仕事も忙しくなり、
広報的な動きはともかく作曲する気力も無くなってしまっていた。
休日はドラムやボイストレーニングのレッスンがあり、
そのための練習はしていたけれど、
思うようなペースで曲を作ったりすることができていなかった。
誰でも再現可能な面白いエンタメがあったらいい、という思いと、
こういう人物がいたら救われるかな、という望み、
それを自分の身体を使って実現したいというこだわり、
あとは暇さえあればベッドで横になってしまう怠惰な性格が絡まり合い、
なかなか物事を前に進ませてくれない。
というか仕事で疲れてヘトヘトだったというのが本音、
時差出勤もしたし土日は普通に休めていたけれど、
時間があれば曲が作れる訳ではないのがよくわかった。
ヘトヘトになるなら、中井設計のことで疲れたいと思って、
最近仕事を辞めました。

初日、メイクをして、
9時を少し過ぎた頃からyoutubeでライブ配信を始めた。

18時までの長時間作業配信で、
在宅ワークのお供に、というコンセプトだ。
音楽を作るときもそうだけど、
人がそこにいることを感じられるようなものを作りたい。
このアートは、この人がこんな風にして、どれくらいの時間をかけて、
作ったものなんだなというのがわかるようなアートを作りたい。
次の単独ライブ「仕草を感じる音」には、
そのような想いを込めていて、それについてはまた後日書きたい。
その流れでこの長時間配信では、
積極的に視聴者を楽しませようとするようなことはしないけれど、
中井設計という人間が同じ時間軸で、
曲を作ったり、エッセイを書いたりしているよ、
ということが感じれるようなことをしたいと思ってやっている。
金剛山のライブ配信というのがyoutubeにあって、
山頂の様子を垂れ流しているだけなのだけれど、
チャット欄が実は人びとの交流の場になっている。
〇〇さんおはようございます〜
□□さんいってらっしゃい〜
のような挨拶や雑談が交わされていて、
金剛山の様子や天気の話題を肴にちょっとした会話が生まれている。
山頂に雪が積もった時は、
ライブ配信に映り込むように皆雪だるまを拵えたりして、
特定の誰という訳ではなく流動的なのであろうが、
人の居場所ができている。

中井設計の作業配信については、
開始からすぐに会社の同僚かなと思われる方からチャットをいただいた。
在宅しながら見てますとのことで、コメントが嬉しい。
結局昨日見てくれたのはその方だけだったようだ。

アートの先、画面の先、音の先に人間を感じれたらいい。
家族でもなく、友達でもなく、恋人でもなく、
遠い人を身近に感じたい瞬間が私にはある。

ギターマガジンに載ったギタリストのインタビューから、
その人の考え方やこだわりを知れて、
そうやって音源を聴くと彼が弾いている仕草をイメージできる。
システムオブアダウンのアルバム制作時のメイキングを見たとき、
部屋の壁中にアコースティックギターを掛けて、
その部屋でギターの録音を行なっていた。
ギタリストのDaron Malakianは、
掛かっているギターはそれぞれチープな楽器で、
そのほうがいい響きが得られると言っていた。

何を根拠に、と思ったがとても好きだった。

18時過ぎに配信を終えて、
作曲した曲をyoutubeにアップしたりしたのち、
20時頃からライブ配信アプリのBIGO LIVEで配信をしてみた。
これはファンを獲得して行きたいのと、
ギフティングで稼いでやろうという魂胆なんだけど、
結論から言うと1時間程度やってギフティングはゼロ。
からっきしのゼロで、
本当は24時まで4時間やろうと思っていたけど、
気力が持たなくて中断してしまった。
よく考えたら誰もフォローしていないのにフォローされるはずもない、
ということを実感した。

マッチングという機能でランダムに全世界の配信者と繋がることができる。
国内、国外、性別は問わずとにかくランダム(昨日の体感だと)
白い中井設計のまま配信したのだけど、
その姿を見るや否やチェンジされてしまうことが多かった。
とはいえやってみて思ったけれど、
中井設計を認知している人とのコミュニケーションは上手くやれるけど、
いきなり初対面の人に中井設計で接するのはこちらもキツい。

そんな中、上海に住むドラム講師の男性とマッチして、
しばらく話すことができた。
お互い拙い英語だけど、彼は映画監督を目指していて、
日本映画だと黒澤明監督や、是枝裕和監督が好きとのこと。
日本に行ってSupremeやBAPEを買いたいけど、
仕事や勉強が忙しくて中々踏み出せないそうだ。
映画の勉強をしにアメリカに行きたいけどお金がない。
でも兄(彼の雇い主でもある)の息子はアメリカに留学して、
音楽を学んでいて、そのことにso Jealousだそうだ。

私は、10年以上前に中国に行った際、
真夜中にタクシーを拾おうとしたら日本人は乗せないと言われ、
断られ続けて戸惑った話をした。
彼は自分の国は好きだが、そういった極端な歴史認識があるところは、
自国の嫌いなことの一つだと言っていた。

彼はBrad。
途中でタバコを吸うからと移動している途中に回線が途絶えてしまった。
待っていてもよかったけど、
とても疲れていたので辞めてしまった。
彼をフォローしたのち、
12時間つけていたウィッグとカラコンを外し、
メイクを落としてビールを買いに外に出た。

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