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どうすれば他者尊重ができるように社員教育できるのか?

先日アサーションの記事を書いて、『他者尊重』ってなんだか難しい感じがしました。
というのは、かつて福祉業界で働いていて、利用者には優しいけど同僚には優しくない人がいました。
また、企業訪問すると、お客様や上司には優しいけど部下にはハラスメント的な人についての相談もあります。
もう一つ、気分屋さんというパターンの相談もあります。機嫌のいい時はいいけど、機嫌悪い時には…のような話です。
他者尊重って根っこにある部分のようにも感じますが、表で見える範囲では、できている時とできない時があるんですね。

職場のメンタルヘルス対策の中で、アサーション(自己主張)の技術は、他者を尊重しながら効果的にコミュニケーションをとるために不可欠です。
特に管理職が部下に対してこの技術を用いることで、健全な職場環境を構築し、メンタルヘルスを守ることにつながります。
だからこそ必要な他者尊重を管理職が部下に実践できるようになるために必要なポイントを考えてみました。

1. アサーションの基礎知識の理解

まず、アサーションとは何か、その基本的な定義と原則を理解することは重要です。
アサーションとは、自分の意見や感情を率直に、正直に、しかし尊重を持って伝えるコミュニケーションの技術です。
特に攻撃的または受動的な態度とは異なり、自己と他者の権利を平等に尊重する態度であることがポイントです。

2. 自己認識の促進

自己の感情やニーズ、価値観を認識し、これらを適切に表現することがアサーションを実践する上で必要です。
その為に管理職は、自己認識を高めるトレーニングや研修を受けることにより、自分の感情やニーズを明確にし、それらを尊重することの重要性を学びます。

3. 効果的な聞き手になる

他者尊重を実現するには、効果的に聞くことも同じく重要です。
管理職は、部下の意見や感情を真摯に聞き、理解しようとする姿勢を持つことが必要です。
アクティブリスニング(積極的傾聴)の技術を身につけることで、部下の話に耳を傾け、理解と共感を示すことができます。

4. 明確で建設的なフィードバックの提供

部下へのフィードバックは、明確で、建設的であるべきです。
批判ではなく、改善を促すための具体的な提案を伴うべきです。
また、フィードバックを提供する際には、部下の感情や立場を尊重し、その人の価値や尊厳を損なわないように配慮することが重要です。
言葉だけでなく場所やタイミングなどの場面設定も大事ですね。

5. コンフリクトマネジメントのスキル

対立や衝突の際にも、アサーションを用いて効果的に対処するスキルを身につけることが、管理職には求められます。
対立を避けるのではなく、それを健全な対話の機会と捉え、双方のニーズを尊重しながら解決策を見つける姿勢が大切です。

6. 継続的な学習と自己改善

アサーションの技術は、一朝一夕に身につくものではありません。
管理職は、定期的な研修や自己反省を通じて、継続的に学び、自身のコミュニケーションスタイルを改善し続ける必要があります。
カウンセリングやメンタリングなどでコミュニケーションスタイルを見直すこともとても役立ちます。

まとめ

職場におけるメンタルヘルス対策として、アサーションの技術を活用することは、管理職にとって特に重要です。
部下への他者尊重ができるようになるためには、上記の要点を実践することが不可欠です。
これにより、健全な職場環境づくりと、従業員のメンタルヘルスの保護に貢献できるでしょう。


●筆者について
株式会社EAPサポート喜び
代表取締役 中井裕規(なかいゆうき)

国際EAPコンサルタント(CEAP-International)
精神保健福祉士、公認心理師、産業カウンセラー
東京大学大学院医学系研究科 職場のメンタルヘルス専門家養成プログラム修了

大学、大学院にて心理学を専攻。EAP会社勤務を経て、独立起業。職場のメンタルヘルス対策、コミュニケーションを専門として企業研修、法人コンサルティング、職場カウンセリングを行ない、0次~1次予防を中心にはたらく人と企業のwell-being向上に取組む。EAP会社10社の法人向け新規事業立ち上げにも参画。
双子の男の子を育児し、育児を通して人生を豊かにするために多胎家庭支援やパパママに対する講演活動にも積極的に取り組む。

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