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怪しいと思うところには買わせない【M&A日記】

朝日新聞デジタルが「M&A仲介の罠」というテーマで連載をしている。
うまくいかなかった事例を踏まえて、仲介会社のやり方について、問題を指摘する内容。

M&A業界が急成長してきている中で、昨今メディアによって特定の会社や業界全体について、問題指摘されることが増えてきた。
実際に取り上げられているのは恐らく氷山の一角なので、今後もそういうのは増えるのではないか。

実際、問題の少なくない業界ではある。
業界大手企業主導で業界団体が数年前に立ち上がり、品質改善を目指すということだったが、その大手企業自身が信じられないような問題を起こしてしまったり。
急成長している業界で、かつ高い収益が期待されるため、市場の拡大スピードに品質が追い付いていない状況。

M&A仲介は労働集約型なので、品質に問題があるというのは、すなわち働いている人間に問題があるということ。
そしてその人間の問題は、組織的にそういう風土になってしまっていたり、参入者がとても多いため、人材の品質スクリーニングができていなかったり。

働いている人間の品質に問題があるというのは、稲盛和夫氏理論で分解すると、考え方か熱意か能力のどれかに問題があるということ。
稼ぎたい!という気持ちで入ってくる人間が多いので、熱意は大きい人間が多い。
能力に問題があるとしても、組織で活動している以上は組織で個人の能力不足を補うというのがどんな仕事でも当たり前なので、これが業界全体の問題にはなりえない。
ということで、問題は考え方にある。

稼ぎたいという気持ちが強いがあまり、自己利益を優先する、という考え方が問題を起こしている原因。
それが組織的にそういう風土になってしまっていたら手が付けられないし、拡大市場のため元々そういう考え方を持っている人間が入りやすくもなってしまっている。

だいぶ表題から話が遠ざかってしまったが、考え方に問題があると、買収候補企業を探すときの最優先が買ってくれるかどうかになる。
実際に、セカンドオピニオンとして他のM&A会社の支援を受けている経営者から、猛プッシュされている買収候補企業がいるけれども、なんか怪しくて心配という相談を最近も受けたことがある。
あくまでセカンドオピニオンの立場として、自社との契約に切り替えたいという思いは一切持たずに、客観的な頭でその買収候補企業を見たが、めちゃくちゃ怪しい会社。
少し調べれば誰もがあやしいと思うであろう会社を、「今決めないとこの条件はもう出ませんよ」、と猛プッシュしてきているとのことだった。

後日談としては、その怪しい会社は経営者がコロコロ変わった挙句に資金難に陥っている。
仲介会社としてはそういう会社をスクリーニングする役割を担っているのは当然。
まとまりがなくなってきたが、怪しいところには買わせないというのが仲介会社の姿勢として当たり前。
仲介会社を選ぶときは、能力・熱意が高いことに越したことはないが、前提としての考え方が自分とあっているかをまずもって大切にされることを推奨する。


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