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サーチファンドという新しい形【M&A日記】

M&A会社として、これまでお付き合いしてきたファンドの殆どはPEファンドだ。
PEファンドは未上場企業に投資して、会社を成長させてから売却することで、投資差益を生み出すファンド。
PEファンドについてはこちらから

ただ、ここ数年でサーチファンドという新しい形態が日本にも登場した。
私が支援する企業に投資してもらったことはまだ無い。
提案したことはあるので、考え方などは分かっているが、投資後の実態などはあまりまだわからない。
実際には実績が少ないので、厳密に成果という形ではまだ事例がそもそもないと思われる。

サーチファンドの仕組みはこうだ。
あくまでファンドなので、GPといわれるファンドを運用する会社があり、LPと呼ばれるファンドにお金を出す出資者がいる、というのは同じ。

資本の承継という観点ではPEファンドと同じで、ファンドが資金を調達して、株式を取得する。
大きく異なる点は、経営承継だ。

PEファンドの場合、経営は、

  1. 現経営者が続投

  2. 内部昇格で社内から経営者を抜擢

  3. 外部から経営者を招聘

  4. ファンドから経営者が出向

の何れかのパターンが中心。
サーチファンドの場合は、サーチャーという人間が経営者となる。

サーチャーというのは、直訳すれば「探している人」で、何を探しているかというと、経営する会社を探している人のこと。
本来、自ら経営する会社を買収したいという方が多いのだろうが、それなりの会社を経営したいとなれば、それなりの対価が必要となる。
それを個人で調達するのが難しいというときに、サーチファンドがその方をサーチャーとして認めれば、その方が経営する前提でファンドが投資を実行する。

概ねプロ経営者と同じような感じだ。
ただし、ファンドが投資しているので、何れファンドは株式を手放して譲渡益を発生させないといけない。
プロ経営者にも当然成果が求められていて、実質的には期限が設定されているのと同じといえるだろうが、サーチファンドの場合はその期限が当初から可視化されているというような違いだろうか。

また、仮にサーチャーが結果を残していたとしても、続投できるかどうかは引き継ぐ会社次第。
プロ経営者は結果を出していれば変えられることはあまりないだろうが、サーチャーは経営者交代のリスクをより大きく持っているかもしれない。

これからの買収候補企業としての新しい形。
すでに私が知っている企業にも投資されているので、今後どうなっているのかを見守っていきたい。

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