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VC(ベンチャーキャピタル)とPE(プライベートエクイティ)の違い

VC/PEファンドの違いはその投資・運用方法。

PEはその言葉の意味のとおり、非上場株(=プライベートエクイティ)の取得を手段とするが、VCもこの点は同じ。

企業の成長ステージを以下4つに分けるとすれば、

  1. 創生期

  2. 成長期

  3. 安定期

  4. 衰退期

VCは主に1~2への投資、PEは2~3への投資を手段とする、というのが主たる違い。

成長ステージによって何が変わるか。
例えば、既に50まで立ち上がっている会社(成長期)と、まだ5にしかなっていない会社(創生期)とでは、100に到達する可能性は後者の方が低い。
なので、VCの方が各投資がうまくいく確率は低くなることが想定される。

一方で、既に50になっている会社と5にしかなっていない会社とでは当然株価に違いがでる。
金額的には前者の方が大きく、後者のほうが小さくなるはず。
なので、PEには大きなお金が必要で、高く買う分だけ各投資が失敗した時のダメージは大きい。
一方でVCは各投資額が小さくなる分、失敗時のダメージが小さいと考えられる。

ファンドの資金が100だとして、VC/PEどちらも期待する成果が200だとする。
VCは5を20件に投資して、内2件が100ずつに成長することを目指す。
PEは20を5件に投資して、合計で200に成長することを目指す。
こんなイメージだ。

さて、今回はそれぞれのバリュエーションの違いについて書きたかった。

基本的にM&Aでは、決算書を用いて企業を評価する。
ということは、過去の実績をベースにするということだ。
もちろん買収側にとってはその先の方が大事なので、成長性とか将来性も評価に加味されるが、ベースは過去に基づく。
これがPEによるバリュエーション。
EV/EBITDAマルチプルを用いられることが多い。

一方で、VCの場合、対象会社の実績は乏しいと思われ、過去をベースに評価することができない。
M&Aでよく用いられる年倍法やEV/EBITDAマルチプルという方法を用いてシード期の企業を評価すれば、たいていがマイナス評価になるだろう。
当然、それで資本を受け入れようというベンチャー経営者などいるわけもない。
また、PEの場合は発行済み株式を譲り受けることで、オーナーEXITを実現するという側面があるが、VCの場合はまだ創生期なのでオーナーがEXITを目指しているわけもなく、新株発行による資金調達という目的になる。
なので、どれだけのお金を会社に入れられるか?がポイントであり、低い評価となると、それはそれで意味をなさなくなる。

ではどうやって評価するかと考えると、将来への期待値を評価に反映させる。

VCのEXITを上場とすると、この会社が上場した場合にどれだけの株価がつくだろうか?を考える。
それは対象会社の事業計画や、類似会社の上場事例などを用いて検討する。

対象会社がシードから成長期に近づけば近づくほど、事業計画の信ぴょう性が高まり、そして上場類似会社のような株価が実現される可能性が高くなる。
なので、赤字であったとしても顧客数や売上等のKPIが順当に推移していると、とんでもない評価がついたりする。

VCとPEは、そもそも受け入れる側・譲渡側の目的が異なってくるが、このように評価の考え方も変わる。
こういう理解が深まると、いろんなことができそうな気がしてこないだろうか?

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