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後継者不在問題は本当に問題なのか【M&A日記】

昨日、大廃業時代について私の意見を書いた。
詳細は記事を確認して頂きたいが、意味のない言葉だと思っていることを書いた。

さて、多くの会社が後継者不在の状況にあることは事実。
後継者不在のままだと会社は廃業してしまう。
会社が廃業してしまうと雇用が失われるし、生産が失われる。
すなわち、後継者不在問題=雇用と生産が失われることへの懸念だ。

しかし、私は後継者不在も、大した問題ではないと実は思っている。
むしろ全然問題でないと思っている。
日本企業はそれよりももっと大きな問題を抱えている。

何故後継者不在が問題ではないと考えるかというと、M&Aという選択肢があるからだ。

大廃業時代、後継者不在問題というのは、まるで後継者不在の会社は廃業するしかないような印象を与えるが、明確に会社を譲渡する、第三者に経営を委ねる、という選択肢が残されている。

事実、後継者におけるM&Aの割合は増えていて、そして後継者不在率は減ってきている。
M&Aが後継者不在問題を解決しているのだ。

大廃業時代で言われている127万社の経営者年齢70歳以上、後継者不在の会社は、M&Aを通じて第三者に経営を託せば良いだけなのだ。

じゃあ、M&Aでも後継者を見つけられない会社はどうしたら良いか。
事実、M&Aにおいて、どうやっても引き受け手が見つからないというケースは確実に存在する。

私はこう思う。
その会社は、
・子供は継がない
・番頭も継がない
・従業員も継がない
・その会社を欲しいという第三者も存在しない
ということだ。

儲かっていないのだろう。
将来性がないのだろう。
借金が多いのだろう。

こういう会社であるとすれば、存続できなくなるのは当たり前ではないだろうか。

実は、倒産件数はもう10年以上減少傾向にある。
コロナ禍で倒産件数がめっちゃ増えたと思っているかもしれないが、コロナ禍中は極端に更に減少した。
コロナ禍があけた今、逆に徐々に倒産件数は増加し始めている。
イメージと逆ではないだろうか。

これは何故かというと、倒産というのは資金繰り不全によっておこることなので、会社がどれだけ赤字であろうと、資金繰りができていれば会社は倒産しない。
中小企業を守るために、金融機関が国のお達しの元で資金供給を増やし、それによって資金繰りが改善して、倒産件数が減っているだけなのだ。
コロナ禍では、元本も金利も据え置きという融資を受けられたので、業績が悪かろうと資金繰りは各社安定して倒産件数はむしろ減少した。
しかし、元本・金利の返済が開始したことで、延命された企業が今倒産し始めている、という状況だ。

中身が悪い会社の、従業員の待遇は想像に難くない。
昇給など望めるわけもなく、遅配もありえるだろう。
そういう会社が廃業することで失業者が増えるから問題だ!というのはむしろ逆で、そういう会社が存続していることが問題なのだと思う。
そこでの労働力は、それを必要とする生産性のある会社に移転されていくべきではないだろうか。

こういう考えから、後継者不在は大した問題ではないと考えている。
生産性のある企業なら、M&Aで後継者は確保できる。
むしろ問題なのはM&Aが選択肢にならないような生産性の低い企業が存続していることであり、その新陳代謝は国の発展のために必要なものだと思っている。

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