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社長の現場介入度はM&Aに大きく影響する【M&A日記】

中小企業の場合、経営者が一定の割合で現場に介入していることが少なくないかもしれない。
大きい組織になれば、経営と現場の機能が切り分けられていることが多い。
しかし、組織の規模によっては、そうしないほうが効率的な場面もあるだろう。

M&Aにおいて、この経営者の現場介入度は、実は色々な判断に影響する。
なので、将来的な譲渡を考えるとすれば、それに向けて準備をしていくほうがよい。

例えば、経営者の高齢化と後継者不在を自由とした会社の譲渡の場合、譲渡後に経営者は退任することが前提となるだろう。
じゃあ経営者が退任したとすると、会社はどうなるのか?
例えば現場の一メンバーとして明確に組み込まれているとすれば、単純に1人の人員が減るということになる。
経営者が現場に介入しないといけない規模の組織において、現場で一定の役割を果たしていた経営者がいなくなるというのは、単に一社員がいなくなる以上の影響があると思われる。
それによって業績への影響が想定されるとすれば、それを考慮した評価にならざるを得ない。

あるいは、現場での作業等には加わっていないとしても、現場のマネジメントを行っているかもしれない。
この場合、経営者がいなくなると現場のマネジメントが効かなくなるということが想定される。
同業者による買収であれば、相応のノウハウがあるために、そのマネジメント機能は買収側で賄えるとなるかもしれないが、異業種による検討の場合は、マネジメントがいなくなるなら買収自体ができないという判断に繋がるかもしれない。

買収側が同業者かどうかということは大きい。
異業種で、業種が対象会社の事業から遠く離れれば離れるほど、経営者がいなくなることについて、買収判断への影響は大きくなると考えられる。

理想的なのは、残るでも残らないでもどっちでも良い、と言える状況にしておくことだ。
経営者による介入がなくとも会社が十分に円滑に活動できる状態であること。
即ち、経営者としては、役割が重要な意思決定ぐらいに絞られていて、その役割は相応に経営力のある人間なら、代替することが可能という状態。
そして、年齢的、やる気的にもまだ5年程度は十分にやれるというぐらいの状態であれば、継続するもの退任するもどちらの判断もできる。

こういう状態で話を進めると、対象会社に興味を持った会社の殆どが、そのまま検討を進めることができるようになる。

将来的な譲渡を検討されている方は、ご自身を現場から、そしてマネジメントから抜けられるように体制変更と役割分担、社内における事業承継を促進していくことをお勧めする。

私が支援した会社で、譲渡の5年ほど前から、社長依存脱却プロジェクトを推進され、支援のタイミングでは組織が素晴らしく自立した状態になっていた、ということがある。
このようなことに是非チャレンジしてみて頂けたらと思う。

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