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友情のために命を懸けられるか?太宰治の『走れメロス』②

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9月第2作目には、太宰治の小説、『走れメロス』を取り上げます。


『走れメロス』―友を信じ、命を懸けられるか?男たちの友情物語


太宰治(1909~1948)

青森県生まれ。
本名、津島修治。
小説家。
高校時代に芥川龍之介や泉鏡花に傾倒。
芥川の自殺にショックを受け、高校三年生の冬、自らも自殺未遂をする。
東京帝国大学(現東京大学)文学部仏文学科入学後、井伏鱒二に師事。
一時期、左翼運動にも参加する。
『走れメロス』などの優れた短編小説を発表し、1947年の『斜陽』で作家としての地位を確立するが、翌年、山崎富栄と玉川上水にて入水心中。

代表作品:『走れメロス』『ヴィヨンの妻』『斜陽』『人間失格』など


【書き出し】


メロスは激怒した。

必ず、かの邪智暴虐の王を除かねばならぬと決意した。

メロスには政治がわからぬ。

メロスは、村の牧人である。

笛を吹き、羊と遊んで暮らして来た。

けれども邪悪に関しては、人一倍に敏感であった。



【名言】


人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。

一番きらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事だ。

私は生れた時から正直な男であった。正直な男のままにして死なせて下さい。



【あらすじ】②


陽が西に傾きかけたころ、峠に突然山賊が現れた。

「王の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな」

というメロスに山賊たちが襲いかかる。

メロスは山賊を殴り倒し、一気に峠を駆け降りた。



疲労困憊したメロスは、とうとう立ち上がることができなくなった。

「セリヌンティウスよ、ゆるしてくれ。

私は走ったのだ。

君を欺くつもりは、みじんもなかった。

王は私に、ちょっとおくれて来いと耳打ちした。

私は王の言うままになっている。

君だけは私を信じてくれるにちがいない。

いや、それも私の、ひとりよがりか?

ああ、もういっそ、悪徳者として生き伸びてやろうか。

正義だの、信実だの、愛だの、考えてみれば、くだらない」


メロスは思い悩みながら四肢を投げだし、まどろんだ。



ふと耳に、水の流れる音が聞こえた。

岩の裂け目から清水が湧き出している。

一口飲むと疲労が恢復し、希望が生まれた。


「日没までには、まだ間がある。

私は、信頼に報いなければならぬ。

走れ!メロス」

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