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「四大悲劇」の最高傑作🌟シェークスピアの『リア王』③

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第1作目には、シェークスピアの『リア王』を取り上げます。

シェークスピアといえば、世界文学を語る上で絶対に名前の挙がる方。

『ロミオとジュリエット』をはじめとする四大悲劇を世に生みだした世界的文豪です。

現在でも、舞台ではシェークスピア作品が上映されていることを考えると、実に400年以上もの間、人々に作品を愛されてきた方になります。


今回、ご紹介する『リア王』は、シェークスピアの四大悲劇(『ハムレット』『オセロー』『マクベス』『リア王』)の一つ

シェークスピア作品のなかでも最も残酷な結末を迎える悲劇とも言われています。

『ロミオとジュリエット』『ハムレット』などの悲劇がよく知られていますが、『リア王』は、二十世紀後半には、シェークスピア作品の最高傑作と称された作品です


それでは、『リア王』の世界へ入っていきましょう!




『リア王』

――人間の飽くなき欲望、許しと回心を描いた悲劇の傑作


ウィリアム・シェークスピア(1546~1616)

イギリスの劇作家、詩人。
青年時代にロンドンに出て、俳優、後に座付作者として、四十編弱(合作を含む)の戯曲を創作。
人間世界のさまざまな悲劇・喜劇を描き、それらは今なお世界各地で上映される。
映画化された作品も多く、世界的文豪と名高い。
ほかに、二編の長詩、『ソネット集』の名作を後世に遺した。
四代悲劇『ハムレット』『オセロー』『マクベス』『リア王』が有名。

代表作品:『ロミオとジュリエット』『ヴェニスの商人』


【書き出し】


ケント:王はコーンウォール公よりオールバニ公をご寵愛だと思っていたが。

グロスター:みんなそう思っていたのだが、こうして王国をご分割されるとなると、いずれを重んじておられるかわからなくなった。


【名言】


人間、生まれてくるとき泣くのはな、
この阿呆どもの舞台に引き出されたのが悲しいからだ。(第四章第六場)

When we are born, we cry that we are come
To this great stage of fools.

小田島雄志 訳『リア王』(白水Uブックス)より


※あらすじは、第1回、第2回の記事をご参照ください🌸


【あらすじ確認】


リア王が、上の娘二人に王国を分割し、末娘コーディリアは追放(フランスに嫁ぐ)。

               ⇓⇓

リア王の重臣グロスター伯の次男エドマンドが、父と長男エドガーを騙して家督を継ごうとする。
エドガーは狂人トムに変装して逃れる。

               ⇓⇓

リア王が、上の娘二人に邪険な扱いをされたことで激怒・発狂し、嵐のなかを外へ出て行く。

               ⇓⇓

リア王と狂人トム(エドガー)が荒野で出会う。
リア王は、父を助けようとフランスからブリテンに上陸したコーディーリアらに巣くわれる。

               ⇓⇓

フランス軍は、エドマンドと上の娘二人の夫のブリテン軍に敗れ、リア王とコーディーリアは投獄。

               ⇓⇓

エドガーが、エドマンドと決闘して勝つ。
ゴネリルは、エドマンドを巡って対立していた妹リーガンを毒殺した後、自殺。
コーディーリアは絞首刑に。

               ⇓⇓

リア王が、コーディーリアの死に悲嘆して息絶える。



【解説】


・主な登場人物が全員死亡する悲劇


リア王は、作品内に出てくる主要な登場人物が、善人・悪人関係なく、全員死亡するという悲劇のラストを迎えます。

親子が和解した直後に父が亡くなる悲劇。

悪役とはいえ、エドマンドの決闘死、リーガンの毒殺、ゴネリルの自殺など残酷な死の連鎖。

父を騙して権力を得た三人はすべて滅びますが、

唯一、父リア王を愛していたコーディリアさえも死ぬという衝撃。

勘当されてもなお、父を想っていた愛情深いコーディリアに同情が集まります。

正直者で純粋なコーディリアと主人公に当たるリア王まで、主な登場人物全員が死亡してしまう結末はあまりにもショッキング。

シェークスピア史上最も残酷な悲劇と言われるのもうなずけます。



・後継者を見誤る愚かさ


物語の主筋は、後継者として信頼すべき人を見誤ったがゆえに起きる悲劇です。

老王リアは、引退して三人の娘に王国を譲り渡すことを決意。

誰が一番自分を愛してくれているのかを三人に問いかけ、その答えに応じて領土を振り分けようと考えます。

長女のゴネリルと次女のリーガンは、多くの領地を得たかったので、リア王におべっかを使い、心にもない言葉を大げさに並べ立てます。

長女ゴネリルは、

「あらゆる評価をこえたゆたかですばらしいかた」

「子供が父親に捧げうる最大の愛を抱いております。

その愛はことばを貧しくさせ、唇を閉ざさせます」

などとリア王をほめ称えました。


また、次女のリーガンは、

「お姉さまとまったく同じ心です」

「私にとって、どんなに気高い感覚が味わう喜びもただ一つをのぞいては敵なのです、私のしあわせはお父様を愛することにしかないのですから」

などとリア王への愛情を表現しました。


一方、リア王が最も愛情をかけていた末娘のコーディリアは、リア王を心から愛していたものの、自分の父への愛情は心では表し切れないと考えました。

そこで、お世辞を言うことを拒み、

「申し上げることは何もない。

ただお父様を愛し、心から尊敬しています」

という趣旨の発言をします。


姉二人のおべっかのあとで、コーディリアの愛情表現は非常にそっけなく、不遜に感じられたのでしょう。

リア王はコーディリアの発言に怒り、彼女を勘当し、その勘当に反対した忠臣のケント伯をも追放します。

そして、三分割で与えるはずだった領土を、姉二人に分けさせてしまうのです。


ところが、リア王が、自分を愛してくれていると思って信頼した二人の姉は、ひとたび領土を得たあとは、リア王を老害として扱います。

本当は父への敬愛のかけらもなかった二姉妹は結託して、リア王の部下を減らし、王時代の権力を削ぎにかかります。

娘たちに裏切られたことを悟ったリア王は、怒り狂い、雷雨のなかに走り出て、荒れ野をさまよいます。


このように、『リア王』の主筋は、リア王と三人の娘をめぐる親子問題。

さらに、副筋でも、同じく後継者を見誤ったグロスター伯爵家の物語が描かれます。



・権力欲のもたらす悲劇


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