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『額田女王』井上靖
額田女王(額田王)を主人公として取り扱った小説や漫画など多数あるようですが、私は初めて読みました。
飛鳥時代のことなので、その後の時代に比べて史実もはっきりしませんが、個人的には好みの解釈です。
最近和歌の本を立て続けに3冊読んでからのこちらの小説。歴史小説(物語)の中で歌われることで、改めて、和歌の魅力を感じます。
で、額田女王。
和歌最初期の天才歌人ですが、そこもありつつ、中大兄皇子と大海人皇子という飛鳥時代の英雄二人に愛されながらも巫女的な要素を背景に、現在的?で、魅力的な女性として額田女王が描かれています。
物語中、中大兄皇子はある程度一貫した人物像で書かれていましたが、大海人皇子と額田女王はたまに「あれ?なんかぽくなくない?」と感じたりもしましたが、人間そんなもんかもしれません。
また、中大兄皇子(天智天皇)と大海人皇子(天武天皇)も歴史上の人物としてはそれなりに知ってはいましたが、やはり歴史小説として読むと今まで感じたことがない親近感を感じますね。
そして、忘れちゃいけないのが和歌。物語の中で読まれていることも関係していると思いますが、井上靖さんの訳(解説?)がとても素晴らしく、最近読んだ和歌の本に書かれている訳より魅力的でした。
白村江の戦いの部分はよい緊張感だったので、壬申の乱の部分ももう少し期待したかったところですが、白村江の戦いに至るまでの部分は物語の中でも額田女王のもっとも燃える部分で、壬申の乱は逆にこれで額田女王の巫女的要素がなくなる部分なので、やむなしですかね。主人公は額田女王なので(笑)
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