見出し画像

【備忘録】ゆっくり発達障害者支援解説-その03

発達障害者支援その3では、私が持っている支援方法について、備忘録的に書いてきます。

発達障害者とのコミュニケーション

人によって口頭の指示が通る人、またはそれが苦手で視覚的な指示が良い人様々である。

 口頭=聴覚経由での指示が通る人は、例えば耳で聞いた言葉をすばやく脳で理解し、行動に移すのが得意である。口頭の指示が苦手な方は、例えばこの耳で聞いた言葉を一部、または全て聞き取ることができず、指示内容を歪んで理解してしまうことがある。そのために視覚で、例えば書面で指示内容を伝えたり、メールやチャットなど文字情報で伝えることは有効です。予定の場合は、ウェブのカレンダー等で予定がいつても把握できれば、事前にご本人自身で情報を取りやすくなる。

 対して、視覚情報が苦手な方は、文字情報を取り込みにくい。学習障害の一つディスレクシア(読字障害)は代表的なものである。 私自身の支援経験では、行間を読むことが苦手な方が多い。文章や話の内容を自身の中で要約し、概要を掴み取ることが苦手な発達障害の方が多く思える。

 また現代では視覚情報がスマホや道路の道案内などを含め、多くなっている。多言語化もされている。その中で必要な情報を探し、ピックアップすることが苦手な方には辛いのではないだろうか。
 支援のアプローチとしては、口頭の指示は一つのチョイスであるが、端的に要点を絞ることが何より大事である。文字以外の視覚情報ー絵や写真などでイメージを膨らみやすくする手段も用いると良い。

メモを取ること

 口頭で聞いた指示を、手書きでメモをすることは、聴覚情報や視覚情報経由で取り入れることが難しい方には、なかなか難しいだろう。
 訓練により伸びる方はいらっしゃるだろうが、代替手段を用意し手書きメモは選択肢の一つとして考えたいところだ。
 代替手段の候補としては、音声を文字に変換するソフトや視覚情報を音声にする方法、手書き以外のメモ方法(パソコン、スマホ、その他文字入力ツール)などがある。これらを社会全体で許容することが必要であろう。

障害の改善か、障害と上手く付き合うかの支援アプローチ

 発達障害をお持ちのご本人、またそのご家族が強く思うことは障害の改善のようだ。実際、未成年の、発達障害児向けの教室が数多い。自然に個性を伸ばす、また苦手な部分の克服などアプローチは様々である。

 一支援者としては障害の改善から、社会資源を使用しながら障害と上手く付き合いながら生活することへの切り替えを、スムーズに支援したいと思っている。
 苦手な部分の克服は、ご本人自身が問題と思っている、または改善できるだけの心身の余裕がない限りなかなか難しい。また、障害を克服するといっても、改善のために身体の余裕のある部分を削ることになるため、あまりに改善に固執することは主観であるが、進めたくはない。
 定点での評価を踏まえて、どういった福祉サービスや自助具、社会資源を使用し、ご本人がストレスなく生活できることが、到着点ではないだろうか。

発達障害者自身の性格や社会性について

 障害者であっても、誰もが真面目で真摯で、一生懸命に取り組めるわけではない。成功体験が少なかったり、コミュニケーションが上手に取れず、地道に努力することが苦手であったり、他者への態度が悪いといった方がいらっしゃった。
 成功体験については、学校や福祉施設など公での評価ではなく、個人個人にあった努力目標と成功体験の設定が必要であろう。ただ目標はあくまで短期目標であって、最終目標はどこに設定するかを、ご本人ご家族、支援者間で確認していくことが必須である。
 人間関係構築や適切な距離感は、理論やSST的な実践などが有効であるが、苦手意識のある方へはかなりのスモールステップを設けることが必要だと思う。

発達障害者向けの社会福祉のこれから

 2011年(平成23年)障害者基本法改正で、「精神障害(発達障害を含む)」という条文で発達障害は定義されることになった。精神障害者保健福祉手帳が発達障害をほぼ包括するようになったのは、この影響なのだろうか。
一方で、精神障害のカテゴリに発達障害が含まれることで、障害の程度に変化がある(症状に変化がある)といった福祉制度の枠組みになっている。

 未だ発達障害は生まれつきの障害か、またはその他環境要因的な障害なのか、不透明で議論の余地がある障害であるが、かえって固定した障害と見なされず、障害の評価がしにくい障害と私はみている。
仮に発達障害の検査方法や評価方法が数値化され、確固たる客観した評価となれば、細かな支援や、必要に応じた自助具や制度も立ち上がっていくと考えている。

皆様にわかりやすく、また理解していただけるような内容を目指します。サポートして頂けると幸いです。