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俺にもアレがやってきた?【第5話】

入社5日目、今日も本社で新人研修だ。
昨日の失態については、誰からのお咎めも無かった事からおそらく本当に誰にも遅刻したことはバレていない。切り替えてこれから気をつけよう。
今日も早めの行動で研修会場には30分前に着いた。
しかしながら、まだ気安く話せる同期もいないので携帯を触って時間を潰す。
8時45分、研修が始まった。
研修内容について銀行員を目指す人も読んでいるかも知れないから少し書いてみる。
今日のテーマは決算書の読み方。
決算書とはいわば企業の成績表。それを見て企業の経営状況を判断し、融資を行えるか行えないか、貸し倒れのリスクなどを測る。そしてそのリスクに応じて格付け「SS〜F」と無能銀行では評価をつける。(各金融機関によって異なると思う)
格付けした稟議書を課長や支店長に提出し、融資の最終判断を委ね、許可が降りれば融資実行となり自分の営業成績に繋がるので、この業務を無難にこなせるかどうかが、昇進や給与に最も影響すると言われた。
研修では架空の企業の決算書が配布され、グループワークを行い、格付けをして各グループごとに発表する。
数字だけを見て会社の全貌を知る、Fラン卒の無能にこんな事が出来るわけがない。とはいっても他のみんなも初めてなのだから怖がる必要はないのに全く発言が出来ないまま発表時間になってしまった。
みんな自分の意見を述べる中、無能はグループ内の同期に渡された原稿をそのまま読むことしかできなかった。情け無い。
待ちに待った昼休憩
グループ7人で昼食を食べたのだが、この時もただ携帯をイジるだけ。
午後の研修では法人営業部の先輩社員が登壇して下さり、決算書を見る上で抑えるポイントなどをみっちり4時間半学んだ。
やる気がない無能は何も理解できなかった。
研修が終わり、帰路に着こうとするとグループ内の同期が無能に言った
同期:「今日は人生初のアレやな!アレ!華金!これ言ってみたかったセリフ。飲みに行こうや🍺」と初めて同期からこんな誘いを受けた。
それなのに無能は急にテンション高く声をかけられた事に焦って
無能:「ああ....ごめん!用事あるから」と嘘を言ってしまった。
その後家に着きInstagramをふと開いたとき、酷く後悔した。
グループ内の同期無能以外の6人が居酒屋で楽しそうに飲んでいる。コレが華金か....行けばよかった....また同期仲間を作るチャンスを逃したのだった。
-つづく-

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