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「フィリップ」

この映画を楽しみにしていたので、封切りと同時に観に行ってきました。

第二次世界大戦中のドイツで、ユダヤ人という身分を隠し、ドイツ将校の女房達をスケコマシする男の話・・・(;´∀`)と思っていたのですが、
まったく違いましたね。

 まあ、彼女たちを誑し込むには誑し込むのですが、まあ、どっちもどっち、双方にとって命がけの行為です。まるで不倫を楽しみ、その危険な行為に没入することで、復讐はもちろん、自分の命を秤にかけ、どちらに転ぶかを見極めるような、ある種の賭けのような感じが見受けられました。

何故なら、彼らの人生には希望がないからです。

彼らというのは、ユダヤ人だけでなく、ドイツ人のことも指します。
この人たちだって、一枚岩ではないし、男好き、勤労奉仕嫌いな女性だっているし、ある目的があって、彼の勤めるホテルに泊まっている幼馴染などもいて、戦時下での様々な人間模様が渦巻いていきます。

混沌した世相を、それぞれの思惑だけで生きている、なんだか巨大迷路に迷い込んだネズミたちを思わせます。
出口はどこだ!?
出口は!
といった感じです。

そして、全体を貫くのは、戦争に倦んだ人々の退廃的な雰囲気。
〝死〟に憑りつかれ、自分を殺すか、相手を殺すかの一触即発を秘めています。

そんな中で見つけた真実の愛。

私は、ナチス将校の女房の一人とそんな関係になるのかと思っていたのですが、そんな事はなく、彼が惹かれるのは、まるっきり若く、純粋で何物にも染まっていないような処女(アタリマエか~・・・!でも、当たり前すぎて、ちと面白くない~!昼ドラさながらのくんずほぐれつを期待~(;^ω^))。

そんな彼女に夢中になってしまいます。

しかし、思うのは、彼が武器にするのは、そそり立つ一物。

何も持たざる者は、これが武器になるのだと改めて思わされます。

精一杯の彼なりの矜持なのでしょう。

そして、この映像的表現が、実は胸を打ちます。

持たざる者の最後の抵抗。
彼の彼たる象徴。
蜂の一刺しとも言うべき最後の砦。

そんなものが切なくて観る者の胸を打つのです。

〝性は力なり〟

そして言うのです。

「俺は男娼ではない!」

まあね、性を武器にした時、落ちるところまで落ちるか、
そこに自分なりの誇りを掲げられるか、そのギリギリのところで、
人の運命は分れます。

これは男も女も同じ事。

文字通り、裸一貫となった時、人はどう生きるのかが、
この映画のテーマだったような気がします。

そうして思うのは、あの時代のドイツ人も不幸だったなぁと。

ドイツ人以外と付き合うと、女性は丸刈りにさせられるのですもの。
戦後、ドイツ人と付き合った戦勝国の女たちが見せしめに、丸坊主にされたように、実は、ドイツでも戦時中同じことが行われていたということに、衝撃を受けました。

やれやれ・・・戦争と言うのは、とことん、人間性を否定するものなんですね。
そんな事を考えさせられました。

ユダヤ人の悲惨さというよりも、当時のドイツの混乱さと苦悩を感じた映画でした。


☆それでは今日もよい一日を。



追記:
まったく関係ない話ですが・・・普段、BLばっかり読んでいる腐女子の私としては、女性にそそり立つ彼のものが眩しかったですよ・・・。

「ああ、まだ女性に興味がある男がいるんだ・・・」と。

ちょっと嬉しかったりもしました。(*´з`)