即席麺伸びても旨し夏休み

先細く蚊遣に移る炎かな

加那屋こあ
2021.7.27

また一軒また消えてゆく夏の果

半世紀分の感傷髪洗ふ

加那屋こあ
2021.726

打ち水や開店前の洋食屋

日向水戻ることなき貸した傘

2021.7.25

瓶詰のところどころに黴のあり

うつすらと黴ある父の古鞄

加那屋こあ
2021.7.24

昼寝覚過ぎゆブルーインパルス

露台にて編隊飛行見上げたり

加那屋こあ
2021.7.23

ぬめぬめと水潜りたる河鵜かな

唐門に向き羽広ぐ河鵜かな

加那屋こあ
2021.7.22

日盛やゐしきの熱し玄武岩

園丁の手を休めたる片かげり

加那屋こあ
2021.7.20

打水や客の途絶えし昼下がり

水撒の青きホースや弧を描き

門番の眠気覚ましや水を打つ

加那屋こあ
2021.7.19

歌舞伎座に連れ立ち行きて夏衣

白粉に玉の汗かき夏芝居

加那屋こあ
2021.7.18

亀の子の見上ぐる眼小さきかな

鼈を足蹴にしたる子亀かな

加那屋こあ
2021.7.17

白壁に陽が描き出す波文様

夏の鴨動いて気付く二羽目かな

加那屋こあ
2021.7.16

遠巻きにちんどん屋見る炎暑かな

浅草の梅雨明け間近フラダンス

加那屋こあ
2021.7.15