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写真をやめないでいて良かった

写真を上手く撮れるようになったら楽しいだろうなと思い、背伸びをして一眼レフを購入したのが10年ちょっと前のこと。それから事あるごとに写真を撮ってきたけれど、写真を撮るのが好きだと思えることがだんだんと減っていったように感じる。

カメラを構える時、いつも頭をよぎるのは小さな不安。

「息子のかわいい瞬間の写真!ブレたら嫌だな・・」
「構図はこれで良いの?」「違うレンズの方が良かったのかな」

写真の基本やら撮影テクニックといった本から中途半端に仕入れてしまったカメラの知識が邪魔をして目の前のものに向き合えない。

さらに心を重くするのが、シャッターチャンスを逃してはいけないという自分で勝手に感じるプレッシャー。
カメラを首から下げていると 「良い瞬間をきちんと写真におさめる」ことに責任を持たなければいけないように感じてしまうのは私だけだろうか。

せっかくカメラを持っているのに今の良い表情、撮らなかったの?
なんのためにカメラ持ってきたの?

そんな自責に息苦しくなり
写真を撮ることが なんだか苦手になっていった。

    


 

写真を撮ることに苦手意識を持ちながらも、かわいい息子の写真は残しておきたいしな・・と、写真を撮り続けてはいた。そんな時、写真家の幡野広志さんがワークショップを開催するということを知った。


こちらは昨日募集があった分です。今回もすぐさま完売だったようで・・。

        

幡野広志さんのことを知ったのは4年ほど前。どうしてだったのかは忘れたけれど、銀座で開催されていた写真展へ行ったことがきっかけだった。


会場内の撮影OKということでしたので、当時撮った写真がありました

写真を撮れる人は日常をこんなに優しく切り取ることが出来るのかと羨ましく、どうせ自分はそこまでの領域にはいけないだろうなと少し投げやりになっていたことを思い出す。


写真をたのしくして、かんたんと思えるようになるためのワークショップです。

ワークショップ説明文より



こんな私でも、たのしく撮ることができるようになりますか?


ワークショップの募集が始まると同時に助けを求めるような気持ちで申し込みボタンを押した。

申し込み完了メールを確認してすぐ、再び案内画面を開いてみると既に完売していた。参加できたのは本当に運が良かったのだと思う。




ワークショップでは最初にカメラの設定などを座学で教わった。

「バズ・バエ・エモは頭から消す」

「見たものを見たまま撮ればいい」

ごちゃごちゃ考えがちな私にそんな素直なことできるかな・・と不安になった。

座学の後、さあ 外に出て自由に写真を撮ってきてくださいね!といよいよ実践の時間に。

とにかく今日はたくさん撮ってみよう。

そこからは「お」と思ったものをガンガン撮った。

会場に戻ってきてからパソコンに写真を取り込んでみて驚いた。
良い感じに撮れたと思っていた写真がブレて何が何だか分からなかったりする一方で「これ、私が撮ったの?」と自分でちょっといいなと思う写真があった。

自分の写真を「好きかも」と思えたのはいつ以来だっただろう。

その後、現像の仕方を教えていただきワークショップは終了。

私が現像した写真
幡野さんに現像していただいた写真


現像 私
現像 幡野さん


すごい。私が撮った写真がこんな風に変わるんだ。

現像のことはまだ正直分からないことばかりけれど、以前よりも俄然やる気が出た。今まで闇雲にやっていた現像作業が、原石を磨き上げてピカピカにしていくような楽しい作業に思えるようになった。






ワークショップ以降、写真を撮るハードルが取り払われて、気楽に写真を撮れるようになった。

見慣れた日常の中で「わ!なにこれ面白い」と思い カシャ。
「あ、幸せないい風景だな」と思い カシャ。

すると、面白いことや幸せを拾い上げるのが上手になって、毎日が楽しくなったように感じる。

写真の楽しさを教えていただいたことで、冗談じゃなく人生が変わったと思います。

今はただ写真を撮ることが楽しいです。

初めて自分の写真を好きになることができました。

写真をやめないでいて良かった。

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