ホルモンにも旬がある
食べ物には、おいしい旬の時期がある。野菜や果物、魚のように、実は牛にも旬がある。それがまさにいま「冬」だ。一年を通して楽しめるホルモンだけど、一番おいしくて栄養たっぷりな「牛の旬」について考えてみた。
牛乳には旬がある
牛乳のパッケージには、このようなグラフがついている商品がある。
これは、乳脂肪分の変動グラフだ。
乳成分は、季節により変化する。それによって牛乳の味わいも変わる。
成分無調整牛乳の場合、同じ銘柄でも、夏はさっぱりして、冬のほうが濃厚になるのだ。
牛乳の乳脂肪分は、1〜2月頃がピーク。
ちょうどいまが、1年でもっとも濃厚な味が楽しめる時期だ。
冬の牛乳が濃くなる理由
牛乳の乳脂肪分は、冬を迎える季節から、春が近づく雪どけの頃まで、成分が高くなる。これには次のような理由があった。
◎夏と冬で、エサが変わる
牛さんは、夏に青草を食べるが、冬は干した牧草を食べる。青草がない季節は、ふかした干し藁に塩や黒砂糖を振ったものや、穀物などを食べて過ごす。このエサの違いが、乳脂肪分や、その他の乳成分に影響しているそうだ。
◎暑い夏は水をよく飲み、冬は水を飲まなくなる
牛さんの水分量も、牛乳の味わいに影響している。
牛さんは、暑さに弱く、夏はたくさん水分を摂るため、脂肪分が低いあっさりしたお乳が出る。逆に冬は水分を摂らなくなるため、濃いお乳になるそうだ。
◎寒い冬は、おいしいエサを食べ、脂肪を蓄える
暑さに弱い牛さんは、夏バテして食欲も落ちて、あまり太らなくなる。しかし冬は、厳しい寒さを乗り越えようと脂肪を蓄える。そのため、脂肪分の高い、濃いお乳が出るのだ。
牛肉にも旬がある
牛肉がおいしい季節、これも同じく「冬」だといわれる。
これも冬の牛乳が濃くなることと同じ理由だ。
◎寒ブリのように、牛肉にも「霜が降る」
冬が旬の魚といえば「ブリ」。 冬に獲れるブリは「寒ブリ」とも呼ばれ、特に脂がのって、おいしくなる。これと同じように、牛肉にも「霜」が降る。脂がのって盛りである時期。「牛肉の旬」も冬なのだ。
冬になると、牛さんは、寒さを防ぐために脂肪を溜め込む。上質な霜降りができて、脂がのった牛肉になる。栄養たっぷりの冬のエサを食べて、肉の味もグッと濃くなる。寒さが厳しくなる冬が、もっともおいしい「牛肉の旬」だ。
ホルモンにも旬がある
牛乳、牛肉が、おいしいこと。それは、ホルモンにもつながっている。むしろ、そのおいしさは、ホルモンが生み出しているといっても過言ではない。
◎冬のホルモンはコッテリしている
これはいつかの年明けに出会ったマルチョウ(牛小腸)だ。
まるでロケットランチャーのようにデカ太い。
マルチョウをはじめとする脂系ホルモンは、冬を迎える季節から、春が近づく雪どけの頃まで、プリップリでコッテリしてくる。
◎小腸は栄養を吸収する器官、つまり「うまさの根源」だ!
マルチョウは「牛の小腸」だ。
牛さんがエサを食べて、消化された栄養素は、主にこの「小腸」から吸収される。マルチョウは、食べた栄養を吸収する器官なのだ。
その吸収された栄養で、濃厚なコクの牛乳や、霜降りの赤身肉が生まれる。つまり、牛の小腸は、まさにうまさの根源なのだ。
ホルモンにも旬がある。
それは冬のマルチョウの、この太さと、パツンパツンに詰まった脂で確信した。
人間の好みも「牛の旬」に沿っていた!
牛乳や牛肉、ホルモンは、一年を通しておいしいけれど、寒い季節はコクのあるものが特においしく感じられる。牛乳にしても、夏はサッパリとゴクゴク飲んで、冬は濃厚な味を楽しみたくなる。
人間も牛さんと同じように、冬はコッテリしたものを摂って、厳しい寒さに備えて脂肪を蓄えようとしているのだろうか。
◎ホルモンの需要は、夏は「赤物」・冬は「白物」
内臓肉・ホルモンの需要にも、季節性がある。
夏は、赤物(レバーやハツなど)が「焼肉」として。冬は、白物(腸や胃などの消化器系)が「もつ鍋」や「ホルモン焼き」で、よく消費されるそうだ。
確かに、夏はガッツリ、スタミナつけようと焼肉が食べたくなるし、寒い冬は、もつ鍋が恋しくなる。人間の好みも「牛の旬」に沿っていたのだ。
旬のホルモンを楽しもう!
食べ物には、一番おいしくて栄養たっぷりの「旬の時期」がある。食を通して季節を味わう。それは、ホルモンでも感じることができるのだ。
一年通しておいしいホルモンだけど、夏は焼肉・スタミナ焼き、冬はもつ鍋など。季節の料理で、自然のめぐみや四季の変化を感じてみようじゃないか。
牛乳も、牛肉も、そしてホルモンも。
夏や冬ならではの「旬の味」を楽しもう!
閲覧ありがとうございマルチョウ。これからもよろしくお願いシマチョウ!