見出し画像

【共通テスト】 2024年度「情報関係基礎」 はどんな問題が出たの? ざっくりまとめ(前編)

こんにちは!ライフイズテックのサービス開発部でカリキュラム制作を担当しているないとうさおりです。

最近のお仕事はもっぱら、大学入学共通テストに「情報Ⅰ」が加わる2025年度に向けて、学びを積み重ねるための教材開発に力を割いています。

2025年度の共通テストまで、いよいよ1年を切りましたね!

前回の記事では、「情報関係基礎」と情報Ⅰの「試作問題」を比較し、「情報関係基礎」の過去問を情報1の学習に活用する際のポイントをつらつらと書きました。
(※情報関係基礎 … 現在の共通テストの出題科目の1つ。工業や商業などの専門教科を履修した受験生を主な対象として、数学②の枠の中で実施されている)

今回は、2024年1月14日に実施された最新の「情報関係基礎」(本試験)ではどんな問題が出題されたのか、ざっくり概要をまとめつつ、解いてみた感想を書いていこうと思います。

全体構成

大問の構成や配点は、例年通りです。

第1問:情報と情報技術の基礎(小問・中問)

第1問は情報と情報技術に関する基礎的な知識や理解を問う問題。

問1のaからdは独立した小問です。
aの「適切なパスワードの決め方」については、正答の選択肢(英字,数字,記号を組み合わせたもの)が必ずしも正しいとは言い切れないのでは?という議論が巻き起こっているようですね。
確かにこの選択肢ではパスワードの長さや複雑さについては言及されていないので、微妙なところ。
明確に正答が定まり、かつ問題としての難易度を保つ選択肢を作るのって本当に難しいですよね…(完全に作問者目線)

cの「箱の中身を交換する操作」は、プログラミングで変数tempなどに一時的に値を保存して、2つの変数の値を入れ替える操作を、箱に入ったリンゴとミカンに例えたものです。
整列(交換法)のプログラムなどに触れたことがあれば「あれのことね!」とすぐに分かりますが、初見の場合は、説明を読んで理解するのに少し時間がかかりそう。

問2は高校生が自動販売機のネットワークシステムを運用する会社を訪問するという場面設定に沿った中問。
身近なところで情報や情報技術がどのように活用されているのかを問う会話形式の問題で、「情報Ⅰ」っぽい傾向の出題だな〜と思いました。

cのクライアント・サーバシステムの事例に当てはまらないものを選択する問題の正答は「自動車に搭載されたGPS」ですが、誤答の「銀行のATM」も少し迷いました。「情報Ⅰ」の一部の教科書や、基本情報の参考書などでは、ATMは集中処理システムの事例として挙げているものもあるのが気になります。

問3はグレースケールで表現されたディジタル画像について、順を追って考察していく問題。
ゴールは、画像の見た目に与える影響が小さい最下位のビットを利用して、画像に文字を埋め込むときのデータ量(埋め込みできる文字数)の計算です。
ステガノグラフィといって、電子すかしの仕組みの一つなのですね。(恥ずかしながら、今回初めて知りました…!)

もちろん知識としては知らなくても、丁寧に問題文を読んでいけば答えられるようになってはいるのですが、先ほどの値の入れ替えと同様、「画像に文字を埋め込む…とは…?」と考えているうちに結構な時間が経っていってしまいます。
ライフイズテックの中の人としては、こういった「学んだことを組み合わせれば理解できる、実在する情報技術」をできるだけ教材の中で豊富に扱って、知識や経験の引き出しを増やせるようにしたいと思っています。


第2問:情報技術に必要な「ものの考え方」

第2問は情報関係基礎名物(?)、「ものの考え方」を測る問題。

「ついに異星人が地球を訪れた。」
そんな衝撃の1文から始まる今年の問題は、ワクワク感が満載です。

〜〜要約〜〜
この度、「トウ星」「カイ星」「ホク星」「リク星」の4つの星から、合計50人の異星人の方々が、10人ずつ宇宙船に乗って地球に訪れました。
地球人代表のMさんは、異星人のみなさん一人ひとりに出身星を尋ねたのですが、質問は「はい」か「いいえ」で答えられるものに限られていたため、とても時間がかかってしまいました。
Mさんは、今後また異星人がやって来たときに備えて、効率よく全員の出身星を尋ねる方法を考えています。

「順次法」による質問


「グループ法」による質問

上図の「順次法」と「グループ法」、また、これらを組み合わせた「二段法」を駆使して、どんな場合に質問回数がどう増減するのかを考察していく、…というのが一連の流れです。
内容は至って真面目。

前回の記事にも書いたのですが、来年から始まる「情報Ⅰ」の共通テストでは、全員がプログラミングを学んでいる前提があるので、この問題のように大問1つを丸々使って「ものの考え方」(アルゴリズム)を問う構成になる可能性は低いと予想しています。

また、これまでに公表されている「サンプル問題」や「試作問題」を見る限り、題材は創作的なストーリー性に富んだものよりは、日常的・社会的な場面での問題解決が重視される傾向にありそうです。

だからと言って、情報関係基礎の第2問はスルーして第3問のプログラミング問題だけを見ておけばよいのかというと、そういうわけではありません。

今年の情報関係基礎の第3問は比較的シンプルで、どちらかというとプログラミングの知識やスキルの確認に寄った出題であったように思います。(詳しくは次回の記事にて!)
一方、情報Ⅰで学ぶのは「アルゴリズムとプログラミング」なので、来年の情報Ⅰの共通テストでは、情報関係基礎でいう第2問と第3問を融合したような問題が出るかも…!ぐらいの心づもりで準備しておくと万全なのでは、と考えています。

…と、長々と語ってしまいましたが、情報関係基礎の第2問は単純に楽しいので、ぜひ解いてみてください!


前編はここまで。
後編では第3問(プログラミング)と第4問(表計算)の概要をまとめる予定なので、よろしければぜひお付き合いください。


ご案内
ライフイズテック サービス開発部では、気軽にご参加いただけるカジュアルなイベントを実施しております。

イベントの開催予定は connpass のグループ にてご案内しておりますので、興味をお持ちいただけたましたら、ぜひ、ご参加いただけると嬉しいです!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?