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内緒の関係 のん奥様のストーリー⑨

「のんさん…」
 ようやく少し息が落ち着いた頃、俺はおずおずと彼女の背中に手を伸ばした。そもそも欲だけではなく寂しさを埋めるために呼んだ女性だ。抱きしめることくらいは許されるだろうか。そんな俺の内心を察したのか、のんさんは微笑みを浮かべて腕の中に飛び込んできてくれた。
「あったかい」
 俺の体温が高いのは恐らくこれまでの行為のせいだが、彼女はまるで恋人に抱かれているかのようにうっとりと目を閉じる。俺も俺で、久々に感じる人肌の温度に感動のようなものを覚えていた。ともするとうっかり涙まで出てしまいそうだ。のんさんの持つ純真無垢な雰囲気のせいだろうか、お金を払って得る以上の安心感と愛しさがこみあげてきた。
「いつも頑張ってるんですよね。たまにはこうして誰かに抱きしめられるのもいいでしょ?」
 のんさんはそう言って、自分の胸に俺の頭を押し付けるように抱きしめ返してくれた。いまだ冷めやらぬ興奮の中だったが、俺は確かに自分の冷えた心が温まっていくのを感じたのである。

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