見出し画像

大阪の未来について思うこと

 大阪人として眠れそうにないので、今のうちに吐き出しておきます。

 昨日、いわゆる『大阪都構想』の住民投票が二度目の否決を迎えました。
 大阪維新の会の松井代表(大阪市長)は公約通り政界引退を表明され、吉村代表代行(大阪府知事)は「自分が住民投票を再び実施することはない」と明言しました。
 次の世代の挑戦については許容するようなので、おそらく2025年に予定される大阪・関西万博の後にまた話は出てくるかと思います。
 なぜなら、住民投票が否決されたところで大阪府・大阪市の「二重行政」「二元行政」の問題が本質的に解決したわけではないからです。

 現状、往年の「二重行政」は相当部分が解消されています。
 例えば観光政策は大阪観光局、産業政策は大阪産業局、港湾行政においては大阪港湾局という府市共同部局が設立されています。
 大学についても大阪市立大学と大阪府立大学の合併が決まりました(大阪公立大学という若干面白い名前になります)。
 これらの合併はかつて府市が別々にやっていた仕事を一本化することが狙いです。

 住民投票で反対派の広報役を務めていた自民党の北野市議は『大阪市の財産が大阪府に奪われている』と表現されていましたが、大阪=大阪府なのか、大阪=大阪市と捉えているかで見え方は変わってくるのでしょう。

 自分としては府市部局の一元化によりようやく「一つの大阪」としての方針や政策を打ち出せるようになった、と評価しています。

 また市民サービスにおいても当該部局が一元化されたことで、部局同士のたらい回しを防ぐことができるなど効果が……あるのかなあ? と思っていますが、その辺の評価は当事者ではないので脇においておきます。
 まあマクドの注文口が『ハンバーガー』と『フライドポテト』で分かれていたら面倒ですし、似たような役目ならば窓口はまとめたほうが良いはずです。まとめたらバリューセットにできます。

 その他、様々な分野において、非効率が指摘されてきた「二重行政」は是正されつつあります。

 一方で「二元行政」については制度的には解決されていません。
 同等の力を持つ大阪府と大阪市を合併して、大阪府=広域行政、四特別区=基礎自治といった感じで公的部門の役割分担を狙ったのが『大阪都構想』でしたが、昨日否決されてしまいました。
 今後も「県の中に別の県がある」歪な状態が続きます。

 もちろん人類が滅亡するまで同じ政党の知事・市長が続けば良いのですが(維新でなくてもいい)、仮にねじれが起きてしまった時には「大阪」という都市の方向性はバラバラになってしまいます。
 邦ロックのバンドのように解散してバイバイできないので、それぞれ大阪平野という狭苦しい舞台上で自分なりに楽器を弾くことになります。演奏が雑音になるのか、軽やかなメロディーになるのかは運次第です(例えとしておかしいかな)。
 過去には何年も顔を合わせないような市長・知事もいました。

 現状の行政の話はこれくらいにしておきましょう。
 日本酒の瓶を空けるほど酔っぱらった状態で、これ以上の調べものは出来そうにありません。

大阪のこれから

 大阪の未来は明るいと信じていますが、何が起きるかわかりません。
 私自身、二年前にはまさか疫病が世界を席巻するとは思ってもみませんでしたし、十五年前には近所の大阪城公園からブルーシートが一掃されるとは予想していませんでした。
 決まっているのは2025年の大阪・関西万博くらいです。この件にしてもオリンピックみたいに延期や延期に追い込まれかねませんが……問題はその先になります。

 私たちが愛する「大阪」という都市はどのように進んでいくのか。
 そもそも進むためにきちんと足並みを揃えられるのか。

 残念ながら、大阪においては中長期的な都市戦略をきちんと考えている政党がほとんどありません。
 大阪の自民党は最終的には中央政府からのおこぼれやお情けで生きていくつもりです。自分たちで大阪として何かやる気はこれっぽっちも感じられません。市長選公約の『経済☆新首都』の続報はいつ教えてもらえるのでしょう。今回の都構想の対案を出すことすら怠った政党が未来を語れるとは考えられません。
 公明党や共産党は都市戦略より市民目線で働いています。これは非常に大切なことなので一概に否定しませんが、都構想のテレビ討論会で共産党の山中市議が「防衛費を削って大阪の公的サービスの財源にする」(大意)と主張されていたのはわりとショッキングでした。視界が狭すぎる。
 旧民主党系の政党は大阪では絶滅危惧種です。

 その点で大阪維新の会は与党だけに色々と打ち出しているようですが、副首都を目指す、世界の都市と競っていく、ITを活用したスマートシティ……などといっても具体像は見えません。
 何より未来には政党そのものが無くなっている可能性があります。
 松井市長など結党世代の引退により党内コントロールが効かなくなり、内紛の末に……なんてこともありえましょう。
 都構想を進めるために作られた政党だけに都構想を一旦封印した時点で政治家引退を選ぶ人も出てくるかもしれません。

 そうなったら大阪はどうなっていくのか。
 往年のように代々政治家を家業としてきた人たちが、どこかのタレントを知事に担ぎ上げ、市役所の幹部を市長に担ぎ上げ、インバウンドの復活で潤ったお金をまたバブル期のように非効率的な事業にぶち込むとしたら……あまりに学びがなさすぎて悲しい。

 そのためにもいずれ「三度目の正直」はやるべきです。その時、民意があれば。
 あるいは新たな改革案、新たな統治機構改革を掲げる改革派団体が出てくるのかもしれませんが。

その他・住民投票のこと

 この先は酔っ払いの愚痴です。

 住民投票の広報合戦が続く中で、終盤に出された毎日新聞の誤報は本当に酷かったと思います。
 今さら説明しても何にもなりませんけど、前提からしてありえないし、無意味な数字ですからね。
 あの誤報から反対派の数が増えたとの見方もあるようですし(某JX通信社の社長談)、投票の結果を揺るがしたのは民主主義に対する挑戦です。誰か訴訟してほしい。
 少なくとも私が生きているかぎり周りでは毎日新聞を取らせませんからね。

 あと、あの誤報をリツイートしておきながら訂正記事はリツイートしなかった方とか、財務局の否定会見をさしたる根拠もなく市長のパワハラだと言い出す方とか、ネット上はものすごくアンフェアでした。

 真実より信じたいものを選ぶ時代とはいえ、あの数字を最後までファクトだと言い張り続けた人たちも……まあ見方は変わりますよね。

 他にも本当は国政のことしか頭になくて、大阪市民の未来なんて内心どうでもいいとさえ思っている、ただ維新の勢いを削ぎたいだけの反対派の他県民アカウントとか酷かったですね。お見通しですよ。
 街頭演説にかこつけて寄付金を集めようとする政治団体とかも。大阪の未来を考えないのなら東京に帰って五反田あたりで一日中飲んでてほしい。

 ちなみにもっともムカついたのは「大阪人が都構想を進めているのは東京に対するルサンチマンだ」(大意)と典型的なステレオタイプ論で嘲笑していた神奈川県在住者のアカウントです。まずは歴史を知りましょう。ブロックしたから今はどう思ってるか知らんけど。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?