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50m 5.8秒

ときどき無性に悲しみが襲ってくることがあります。みなさんも  ありますか?

わたしの場合はなんというか  とても小さなキッカケによって  波が押し寄せるみたいに感情が高ぶる時があるんです。それはたぶん  普段我慢している感情とかやるせなさとか諦めとか、そういう類のやつが一気にドドドと溢れ来るんだと思うのですが。

今朝  強烈にその物悲しさを感じたので、記録しておこうと思います。

走れないことを受け入れる

根本さんの足が悪くなって早11ヵ月。まさかの展開に感情を左右された1年でありました!
(大腿骨の上端のまぁるい骨の部分が壊死して欠けていく難病です。小さな骨折を繰り返すみたいに  衝撃とかで壊死してる部分の骨が欠けて出血するらしいです。今の所  手術はできません。優しく接してくださる方、いつもありがとうございます!)

人前では普通にしていても  歩くのが大変です。立ったり座ったりが怖い。お出かけはしたいし楽しいけど、階段はほんとうにたいへん。スロープは神。極端な痛みが時々襲ってきて  (そのたびに「ちょっと骨折」してるみたいなんですが)  その痛みがもはやトラウマみたいです。

だからそんな痛みが来ないようにできるだけ静かに歩くし、ゆっくり歩くし、杖もついているわけです。

となると、です。

「今日は疲れたから気分転換に走ってこよう〜」とか
「今日はリラックスしたいからストレッチしよう〜」とかっていう
私達の日常のなかにある「普通」が出来ないんですね。

それでも「運動がしたいなぁ…体を動かしたいなぁ…」ということで  昨年の秋ごろに市民プールにも行ってみましたが、数日後には足が痛くなり断念…という感じで  運動とか足を自在に動かすということができないんです。

しかし「体はガンダム」理論の根本さんは「不満に思ってもしかたなくない?」と、すっかりそんな状況を受け入れています。人間ならもうちょっと悲観的になってもおかしくないのに、どこまでも前向きでビビるくらい、思考がクリアです。さすがガンダム理論者。

でもわたしは時々、そんな今がやるせなくなってしまいます。

自虐ネタで笑う

走れない サッカーができない ストレッチもできない 早く動けない 速歩きも、落ちたものを拾うのも難しい。ソックスは毎日専用のグッズを使わないと履けないし、腰を曲げられないからソックスやズボンを脱ぐのも一苦労。

「骨髄移植がんばったのに  なんでまたこう辛い日常なんだ…」

と  疲れているときは悲観的に物事を考えてしまいがちなんですが、でも、日常では笑っていたいから  わたしがおどけて右足でツイストして見せて、それを彼は目をまぁるくして「大腿骨頭が…危ないよ…?」と言い、笑い合うんです。

でもやっぱり悲しさは変わらずにあって、時たまあふれるのですが、今朝の原因がコレでした。

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さよなら赤のサッカーシューズ

「調布市の燃えるゴミ袋に入れられたサッカーシューズ」です。

根本さんは言わずと知れたミニマリストで、厳選した大好きなものを大切に使う人なんです。そんな人がずっと大事に保管してたサッカーシューズがゴミ袋に詰められているのを数週間前に見て  悲しくなって、

「くつ、もうちょっととっておかない?」
「もういいよ  どうせ履かないし」

「うーん  でもまた履けるかもよ?」
「手術しても運動はできないから  いらない」

と言うんです。ならば、

「メルカリに出すよ!だから捨てずに置いておいてね!」
と言い  しばし保管することにしました。

諦めがわるいわたし

悲しかったんです〜。大好きなサッカーができなくなることを超体感しちゃった気がして。分かっちゃいたけど、現実として見るとつらいなぁ…と思って。

で、メルカリに出すかと言うと  出せないんです。苦笑
どうしたらいいのか分からず…というよりは「なんかイヤ」なんですよね。走れないことを肯定してしまう気がして。

でもメルカリに出さないわたしにシビレを切らして  今朝ついに

「もう捨ててよ。いらないよ」と強く言うので  捨てることにしました。


サッカーシューズ、もう履くことは無いのかぁ…


と、とても感慨深くなりました。サッカー大好きなのに。病気になる前は、近くの公園でパスとかリフティングとかして遊んでたのに。

「オレ、高校生の時は 50m  5.8秒 でめちゃくちゃ足早かったんだけどな〜!笑」

と笑いながら言う根本さんに、今日も強さのカケラをもらっています。

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↑あ、この頭につけちゃってるやつが「手が足まで届かなくてもソックスをはけるグッズ」です。もうコレ発明した人すごい、めちゃくちゃ尊敬です。

では、また!

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