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組織がつまづいた時に起きていること②

前回に引き続き日野自動車の報告書からの気づきを書いてみたいと思います。

世の中の変化に取り残されていること

2番目のタイトルがこれでした。日野自動車のようにグローバルでビジネスを展開している大企業で、世の中の変化に取り残されているとはどういうことだろうと思いました。

従業員アンケートの中に

  • 昭和の働き方が残っている

  • 井の中の蛙

という回答があったそうです。そういうことか・・・と思いました。中小企業ではよく聞く話です。昭和世代がまだまだ現役だったり、管理職を務めている会社が多くあります。これが悪いことではないと思いますが、ここで書かれていたことはどの会社でも当てはまるものだと感じました。

昭和の働き方

昔は作れば売れる時代でしたから最終的なモノの質や性能に問題がなければ問題視されていませんでした。しかし顧客の求める水準が高くなっていく中、世の中の「物差し」の変化に合わせて一連のプロセスや保証、管理の水準を上げていくことは必要になります。

そんな世の中の変化に気づけなかったのか、変化を感じながら変われなかったのかわかりませんが、これは井の中の蛙である内向き風土がもたらしたものでしょう。

大体そんな時、問題の中心にいるのは「昭和世代」です。私も昭和世代の代表ですから少々複雑な思いなのですが、いろいろな会社で何かつまづいている時、よくよく話を聞いていると大抵は昭和世代がキーマンです。

この人たちが悪いというより、この人たちの過去の成功体験の大きさや、成功体験が持続した期間が長かったために、「変化」することよりもこれまでのやり方を踏襲する方が正解であると考えたかもしれません。
はっきり言ってしまうと楽だったからだと思います。

昭和世代が次世代につなげるという意識を持ってくれれば良いのですが、自分の過去の成功体験が「当たり前」になっているので、それ以外は不正解と勝手に認識しているように見えます。自分たちの成功体験を良い方向で使ってくれれば道は開けるはずなんですが、「聞きにきたら教えてやる」「何で自分から下の世代に下りていかないといけないのか」「向こうから聞きにくるのが礼儀」などと言ってしまっては、せっかくの成功体験は過去の遺物にしかなりません。それに気づかない昭和世代はとても多いように思います。

パワハラ体質

この昭和世代の遺物が知らないうちにパワハラへと繋がっていることがよくあります。本人もパワハラをしょうと思っているわけではありません。自分の価値観が正しいと思っているので、それを他の人の正解に無理矢理しようとするのでそこに意識のずれが生じてくるのです。

また、過去の先駆者や功績者に対する尊敬の念が強く上の世代の言うことに素直に従うことが美徳という風土では、気づかないうちにパワハラが常態化していると言えます。

日野自動車では人材が固定化していたため、上司に逆らえないという雰囲気が醸成されやすく、パワハラが生まれやすい状態であったとありました。
心理的安全性が確保されにくかったのでしょう。

過去の成功体験にひきずられること

心理的安全性のない職場であれば、どうしても過去に成功した人の声が大きくなります。これまでのやり方を続けていけば大丈夫という風土になります。

昭和と言えば作れば売れる時代でした。無理と思われるものを何とかやり遂げる、人のがんばりとか献身性を上の人が評価する組織であれば周りのことが見えません。自分たちのことしか見なくなり、お互いにチェック機能が働かなくなります。これが井の中の蛙につながっていくのでしょう。

そんな中で印象的だった文がありました。
「何かを指摘したりすると指摘した者が自ら解決までを指示される」

こんな会話が普通にあるのではないでしょうか。
「これ、この部分がこういうふうにした方が良いと思うのですが」
「じゃあ、あなたやって」

要するに言った人が全部を被らなければならないということです。
言った者負け」と表現されていました。

これは私自身も過去に何度も経験しました。割と何でも言う器用なオバサンだったのですが、
「それじゃやってみればいいじゃない」と言われて仕方なくやる。

たくさんの仕事が覆い被さってきて、上司に相談しても
「それをできる人材が他にいない」
「悲しいけど仕事はできる人のところへ集まってくる」

そんなことはわかっていたのですが、部下としては一緒に考えてほしかっただけなのですが、ハナから丸投げ?されてしまっては何のためにやっているのかわからなくなります。
私は昭和世代なので(笑)何とかもがきながらやり遂げましたが、そんなことをいつまでもやっていたら会社は成長しません。若い世代は辞めていって当然です。

今回、日野自動車のこの部分を読んで、大企業でも中小企業と同じことが起こっているのがよくわかりました。
どんな会社でも「言った者負け」という風土にしてはいけないのです。

次回はマネジメントの仕組みについて書かれていたところをフォーカスします。

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