【ガム】歯磨き要らずの虫歯予防法
以前、下記の教養で「歯のケアを怠ると80歳までに最大850万円を失うかもよ」という話と、私が愛用している神デンタルケアグッズを紹介しました。
しかし、
「歯を磨くのはめんどくさい!」
「歯を磨かずに寝てしまうことがある」
「歯ブラシ以外で手軽に歯のケアをしたい」
という方もいるかと思います。
そのような方は、食後にガムを噛むことをオススメします。これは単に「ガムが食べカスを吸着して歯をキレイにしてくれる」という意味ではありません。
私が食後にガムをオススメするのは、ガムを噛むことで唾液が多く分泌されるためです。ガムを噛むだけで850万円を節約できるかもしれないのであれば、かなり安い投資といえるでしょう。
ここで今回の結論をいってしまうと、デンタルケアのカギは「唾液」にあるということになります。今回は意外と知られていない歯と唾液の重要な関係について解説していきます。
今回の参考書籍
今回の教養は、下記の書籍を参考に執筆しています。
予防歯科医師・食事療法研究家である著者の吉岡 秀樹氏は、ブログやTwitter、Facebookなどを通じて歯科医療情報を発信。2009年には国内でも珍しい「貸切型」の予防・審美専門のクリニックを設立しています。
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歯を磨かなくても虫歯にならない人の秘密
たまに、歯磨きをテキトーにしていたりサボったりしていても、虫歯や歯周病にならない人がいます。
虫歯や歯周病に悩まされる人からするとかなり羨ましいですよね。では、歯を磨いていても虫歯になる人と、歯磨きがテキトーでも虫歯にならない人の違いはどこにあるのでしょうか?
その秘密は「唾液」にあります。
虫歯になりにくい人の唾液は量が多く、質が良い可能性が高いのです。
唾液は天然のマウスウォッシュでありデンタルリンス
なぜ、唾液が虫歯予防につながるのでしょうか?
1つ目の理由は、唾液は天然のマウスウォッシュでありデンタルリンスだからです。
唾液には、リゾチームやラクトフェリンなどの天然の抗菌成分が含まれています。
リゾチームは細菌に対する抗菌作用を持つ酵素の一種で、唾液をはじめ涙や血液などに含まれる生体防御物質です(参考:卵白リゾチーム丨Kewpie)
一方でラクトフェリンとは、唾液をはじめ母乳や涙、血液、粘液に含まれており、感染防御に必要な成分です。また、ストレスや薬物、老化などによる腸内フローラの乱れを防いで、免疫システムを維持する機能などがあります(参考:ラクトフェリンとは丨オーソモレキュラー栄養医学研究所)。
このように、唾液には免疫システムにとって重要な機能をもつ成分が含まれているため、唾液の量が多ければ細菌の繁殖を防ぐことにつながります。これを「唾液の自浄作用」といいます。
この自浄作用が活発に働いている人の場合、プラーク(歯の表面で細菌が繁殖してできる塊)が形成されにくくなるため、全力で歯を磨かなくても虫歯になりにくいのです。
つまり、この観点でいうと「歯磨きよりも唾液が重要」となります。
口のなかが酸性になると歯が溶ける
唾液が虫歯予防につながる2つ目の理由は、唾液は口のなかのpHを中性に保つ効果があるためです。
一般的に口のなかのpHが酸性に傾いていると、歯が溶けやすくなり、さまざまな問題が生じます。
pHといえばリトマス試験紙を用いて、酸性・中性・アルカリ性を調べる実験など、理科の授業で習った記憶がある方も多いかと思いますが、実は虫歯と密接に関わっているのです。
食べ物を食べたりジュースなどを飲むことで口のなかのpHは酸性になります。pHでは酸性からアルカリ性まで0から14の数字で表し、pH7が中性となり、pH5.5以下の酸性になると歯が溶けやすくなります。
その理由は、私たちの歯が歯を溶かす「脱灰」と、その修復を行う「再石灰化」というプロセスを繰り返しているためです。
口のなかが酸性になると、酸によって葉の表面のエナメル質からカルシウムやリンが溶け出してしまうことを「脱灰」といいます。
その一方で、食事をしてしばらくすると唾液によって口のなかが中性に戻ってくるため、唾液中のカルシウムやリンが歯の表面のエナメル質に戻るプロセスが「再石灰化」です。
この脱灰と再石灰化のバランスがとれていれば、歯は健康な状態に保たれます。
脱灰が続くと「酸蝕歯」になる
しかし、脱灰と再石灰化のバランスが崩れ、脱灰ばかりになると歯のエナメル質が溶けつづけて下記のような「酸蝕歯」になってしまいます。
酸蝕歯になると、溶けた部分から虫歯になりやすくなったり、下記のような症状が表れたりします。
食べたり飲んだりをダラダラと繰り返していると、常に口のなかのpHが酸性になり続けて脱灰が進むため、酸蝕歯になりやすくなります。
したがって、虫歯や酸蝕歯を予防するためには口のなかのpHをコントロールすることが重要なのです。著者の吉岡 秀樹氏は、欧米諸国ではこの「pHコントロール」という概念が一般的しているといいます。
そして、pHコントロールをするためには、唾液の量と質をあげる必要があります。このように、唾液には歯を守るための重要な役割があることをしっかりと把握しておかなければなりません。
ダラダラ食べは酸蝕歯を招く
常になにかを食べ飲みし続ける「ダラダラ食べ」をすると酸蝕歯リスクが高まるため、注意しましょう。
前述したように、飲食をすると口のなかのpHが酸性になり、歯が溶け出します。しばらくなにも食べずにいれば、自然と唾液が中和してくれるため中性に戻り、再石灰化を促します。
しかし、ダラダラとお菓子やジュースを食べ続けていると、常に口のなかが酸性になるため再石灰化が起きずに歯が溶けつづけるのです。
食後すぐの歯磨きもNG
また、食後すぐの歯磨きも酸蝕歯リスクを高めます。
なぜなら、食後は口のなかのpHがまだ酸性で、歯の外側のエナメル質が溶け出しており、内側にある象牙質がむき出しになっているためです。
この状態で歯を磨くと歯の象牙質を削りやすくなってしまい、冷たいものがしみる知覚過敏症になったり、虫歯になりやすくなったりします。
したがって、一般的に食後30分は歯磨きはしないほうがよいとされています。しかし、食後に歯磨きをしない場合でもすぐに口のなかのpHが中性に戻るわけではありません。
長時間、酸性の状態のままだと酸蝕歯になりやすくなるため、はやめに唾液を分泌して中和させることが重要です。
酸蝕歯や虫歯を防ぐガム
しかし、「食後に唾液を出す」といってもどのようにすればよいのでしょうか?
そこで著者の吉岡 秀樹氏が提唱する方法が、「ガムを噛んで唾液を出すこと」です。食後にガムを噛むことで唾液を分泌して、素早く口のなかを中性に戻せば酸蝕歯や虫歯のリスクを回避できます。
これには私も「なるほど!」と膝を打ち、本書を読んですぐにガムを買い、いまでは食後30分間ガムを噛み続ける習慣ができました。
ただここで注意するポイントは、砂糖が含まれない「シュガーレスガム」を選ぶことです。虫歯予防のためにガムを噛むのに、そのガムに虫歯の原因となる砂糖が含まれていては意味がありません。
ちなみに下記の教養でも解説しましたが、砂糖は内臓の働きを止めたり、精神病リスクを高めたりするヤバい作用があるため、シュガーフリーの生活をオススメします。
また、できれば砂糖だけではなく、アスパルテームやアセスルファムK、スクラロースなどの人工甘味料も含まれていないものを選ぶようにしましょう。
なぜなら、人工甘味料には腸内細菌叢を混乱させ、健康上の問題を生じさせるためです。
「腸内細菌くらい別によくね?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし近年の研究によると、腸内細菌は免疫システムや糖尿病、アルツハイマー病、自己免疫疾患などさまざまな病気と関連していることがわかっています。
したがって、腸内細菌叢を守ることは自身の健康を守ることに直結しているのです。
そこで私が実際に毎日噛んでいる「シュガーレス」「人工甘味料不使用」の条件を満たした最強のガムが、「【歯科専用】キシリトールガム ボトルタイプ90粒」です。
こちらは「歯科専用」と謳っているだけはあり、一般のお店で扱っているところはみたことがありません。もちろん、砂糖・人工甘味料は不使用です。
さらに、再石灰化を促進する成分(リン酸カルシウムとフノラン)が多く配合されています。
ただ唯一の欠点は、通常のガムと比べると一瞬で味がなくなる点です。私は味がなくなったあとも、ただひたすら無味のガムを噛み続けて唾液を分泌していますが。
唾液量が減る習慣や原因
ここまでみてきたように、唾液には非常に重要な役割があり、唾液の分泌を促すことは虫歯や酸蝕歯を予防することにつながります。
しかし、現代人の多くは唾液量を減少させてしまう習慣を数多くとりいれて生活しているため、注意しなければなりません。
具体的に、唾液量が減る習慣や要因は下記のようなものが挙げられます。
飲食の習慣(カフェイン・アルコールの摂取など)
生活習慣(タバコや口呼吸など)
唾液腺の機能低下
薬剤の副作用
食いしばり
それでは1つずつ詳しく解説していきます。
唾液減少原因① 飲食の習慣
唾液が減る1つ目の原因は、飲食の習慣です。
コーヒーや紅茶、略茶などにはカフェインが含まれており、カフェインには利尿作用があります。また、お酒にはアルコールが含まれており、アルコールには非常に強い利尿作用があります。
利尿作用があるカフェインやアルコールを接種すると、尿や汗によって体内の水分量が減りやすくなるため、つくられる唾液の量も減ってしまうのです。
エナジードリンクにもカフェインが多く、また虫歯の直接的な原因となる砂糖も多量に含まれているため、避けるべきでしょう。
唾液減少原因② 生活習慣
続いての原因は、タバコや口呼吸などの生活習慣です。
タバコに含まれるニコチンにも利尿作用があるため、唾液の量が減ってしまいます。
また、口呼吸は口のなかが乾燥する原因となるため、唾液が不足してしまいます。
タバコや口呼吸がやめられない人はガムを噛むことがオススメです。ガムを噛んでいる最中は口を閉じることになるため、タバコも口呼吸も強制的にやめることができます。
唾液減少原因③ 唾液腺の機能低下
唾液が減る3つ目の原因は、唾液腺の機能低下です。
唾液腺とは、唾液をつくる組織のことで、耳下腺、顎下腺、舌下腺からなる大唾液腺と、小唾液腺にわかれています。
この唾液腺の機能が衰えると、唾液の分泌量が減ってしまいます。
したがって、唾液腺を刺激する「唾液腺マッサージ」によって、唾液の分泌量を増やすことが重要です。唾液腺マッサージは、虫歯や酸蝕歯の予防だけではなく、口臭の予防にもつながるため日常的に行うことをオススメします。
唾液腺マッサージはとても簡単です、下記の図のように唾液腺があるところを手や指でもみほぐしていくだけ。
私はお風呂に入っているときに唾液腺マッサージをしていますが、やり始めてしばらくすると唾液が増えていることが体感としてわかるほど変化を感じました。
無料で、誰でも、どこでもできる虫歯予防なのでとりいれない手はありません。
唾液減少原因④ 薬の副作用
唾液が減る4つ目の原因は、薬の副作用です。
口が渇く作用をもつ薬は数多く存在し、代表的なものは「抗コリン薬」が挙げられます。
かぜ薬
胃腸薬
尿もれや頻尿の薬
などが抗コリン薬に該当するため、ご自身がつかっている薬が該当するかどうか確認してみましょう。
もし抗コリン薬を服用している場合は、前述した唾液腺マッサージやガムを噛むことで対処することをオススメします。
唾液減少原因⑤ 食いしばり
唾液が減少する5つ目の原因が、食いしばりや噛み締めです。
食いしばり(噛み締め)とは、起きている間に無意識に強い力で歯を噛み合わせる行為です。
一般的に食いしばりをしているときは強いストレスがかかっていることが多く、交感神経が優位になります。すると、分泌される唾液の粘性が高まり、ネバネバとするため、相対的に唾液量が減ります。
この結果、酸蝕歯や虫歯、歯周病につながってしまうのです。
食いしばりよりヤバい歯牙接触癖
「自分は食いしばりはしていないから大丈夫!」
と安心している方もいるのではないでしょうか。
しかし、この食いしばりよりも注意しなければならないのが、歯牙接触癖(TCH/Tooth Contacting Habit)です。これは、上下の歯が触れている状態が当たり前になっていることを指しています。
食いしばりのように「ギュ~」っと力をいれているのではなく、「そ~」っと上下の歯が触れ合っている状態でも歯牙接触癖であり、そのことに気づいていない人も少なくありません。
あなたは、スマホやパソコン、テレビをみているときや掃除や料理中、仕事に集中しているときに歯を接触させてはいませんか? 一般的に下記のような状況でTCHになっていることが多いため、注意しましょう。
緊張している状態
精神的なストレスを感じているとき
スマホやパソコンなど習慣化した作業で集中するとき
精密作業をしているとき
掃除や料理中
ゲーム中
意外かもしれませんが、食事中でさえ歯と歯が接触することは多くはありません。実際、食事中は「カチカチ」ではなく「モグモグ」と噛んでいますよね。
通常であれば上下の歯は2~3mmの隙間が空いている状態が保たれており、上下の歯が接触する時間は1日にたったの20分とされています。つまり、1日に1時間以上、歯を接触させている場合、1日で3日分の負荷を歯にかけていることになるのです。
TCHの問題点
上下の歯が頻繁に接触するようになると、下記のような問題につながってしまいます。
口を開けにくい、顎に痛みや違和感がでる(顎関節症)
歯が割れたり欠けたりして虫歯になりやすくなる
舌の頬や内側を咬んでしまう
詰め物や被せ物の破損
歯周病の悪化
頭痛や肩こり
知覚過敏
あなたは大丈夫?TCHセルフチェック!
とはいえ、TCHがあるかどうかは自分では気づきにくいものです。なぜなら、多くの場合は無意識に行っているケースが多いためです。
そこで、ここからは今からできる「TCHセルフチェック」を紹介します。
自分にTCHがあるかどうかは口のなかの状態をみるだけである程度確認できるため、手鏡かスマホのインカメラを起動して一緒にチェックしていきましょう。
あなたの口のなかは、下記のような状態になっていませんか?
舌の側面に歯型がついている
上顎の骨が出っ張っている
下顎の骨が出っ張っている
歯にミクロのヒビが入っている
歯の根元がくびれている
それでは1つずつ解説していきます。
舌の側面に歯型がついている
まず、舌の側面をみてみましょう。下記のイラストのように舌がギザギザした痕がついていませんか?
このように舌に歯型がつく状態を「歯痕舌」といいます。
TCHがある場合や食いしばりをしている場合、舌に歯型がついてしまうのです。
ただ、TCH以外の原因として、舌がむくんでいることや、舌の筋肉が弱って舌が落ちていることも挙げられます。
上顎の骨が出っ張っている
続いて、上顎の状態をみてみましょう。
下記のイラストのように骨が膨らんでいませんか?
これは「口蓋隆起」と呼ばれる症状で、食いしばりの力が口の天井部にある顎骨に伝わり、ひずむことで骨が膨らむと考えられています。
下顎の骨が出っ張っている
続いて、下顎の様子をみてみましょう。
下記のイラストのように骨が半球状に膨らんでいませんか?
これは「下顎隆起」と呼ばれる症状で、口蓋隆起と同様に歯を支える骨に強い力が加わることで、骨が分厚くなると考えられています。
歯にミクロのヒビが入っている
上下の歯が触れ合うことで不要な力が断続的にかかり続けると、歯にミクロの亀裂が入ることがあります。
これは肉眼では確認しにくいですが、下記のようなヒビが入っていないでしょうか?
このような小さいヒビを「マイクロクラック」といいます。
このヒビから細菌が入り込むことで虫歯の原因になったり、しみたりすることがあります。また、マイクロクラックが広がれば歯が欠けてしまうことにもつながるため、注意しなければなりません。
歯の根元がくびれている
最後に、歯の根元に注目してみましょう。
下記のイラストのように歯の根元がくびれていませんか?
歯に強い力が加わると、歯がたわんでしまい、根本の歯の結晶のよわい部分が弾けとんでしまうのです。これにより、歯の根元がくびれてしまう状態を「くさび状欠損」といいます。
歯の根元が失われると冷たいものがしみたり、歯ブラシがあたると痛むようになります。
まとめ:唾液はマジ大事ってこと
疲れた日の夜や飲みすぎた夜、歯磨きがめんどくさいときもありますよね。
そんなときはせめて食後にガムだけは噛んでください。そして唾液を分泌して口のなかのpHを中性に戻してから寝ましょう。でなければ、歯が溶け続けて虫歯につながってしまいます。
また、歯の治療費で850万円を失わないためにも、下記の「歯の健康」に関する教養も合わせてご覧ください。
「健康の教養」では、下記の教養もよくみられています。
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