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【仏教】「縁起」の定義を比べて考えてみる

仏教の教えの根幹は

「縁起」=「空」の法則の中で、この世の中が動いている

というところにあります。

お釈迦様本人、及び最初期の仏教では「縁起」という言葉で説明されていた仏教の根幹となる法則が、長い年月を経て、色々あって「空」という単語で説明されるようになりました。
そして、今では本来の「縁起」の意味も正しく理解されていない状態になっています。
この「色々あって」の大ざっぱな経緯は、こちらを参照ください。

このnoteは、一般的に語られている「空」の説明では片手落ちですよ、という指摘です。
「縁起」の内容は概要のみとなります。

「諸行無常」では説明不足

「空」と聞けば「諸行無常」という概念が思い浮かぶ人がいるでしょう。

日本で一般的に言われるのは「この世のすべては絶えず変化していく」という考えです。

残念ながら「空」の概念の本体である「縁起」までさかのぼると、「諸行無常」は全体の要素のひとつであり、中央を貫く基本概念とは言えません。
それに「絶えず変化する」と知ったからといって人生の問題が解決するわけではありません。

「関係性」や「思いやりの心」では説明不足

チベット仏教ゲルク派では「空」を「関係性」と説明していて、人と人は必ず結びついているのだから思いやりの心を持ちましょうという道徳として教えているようです。

この経緯はインドにあるチベット仏教系大学に短期留学した日本人の若者がnoteにまとめてくれています。

これを読み、なるほどと思ったのは、我々が想像する以上にチベット仏教系の思想が欧米のスピ系だけでなく、ビジネスの現場にも入っていることがわかることです。

例えばNLPというビジネス現場でコミュニケーション技術というか心理学というものがあり、勤務先の研修として受けたことがあるのですが、ここで使用する心理学の考え方に、チベット仏教系思想が、それとわからないように、うまいこと取り込まれているように、ボクには感じました。

これは「空」の思想とは無関係だけれども、瞑想技術のヘミシンクでは、密教を実践している人間からすれば、密教の行法・観想から宗教的な部分を取り除いて、瞑想に必要な技術部分だけを抽出したようなイメージ手法を瞑想中のテクニックとして教えています。

話を戻すと、チベット仏教のゲルク派では「空」を「関係性」という言葉で説明している。
この説明では片手落ちです。

「関係性」は「縁起」の要素のひとつであるが、「諸行無常」と同様に、本質を貫く根幹部分とは言えない。

「人間関係を良好に保つために思いやりの心を持つことが誤りである」と言いたいのではなくて、「縁起」=「空」の本質は道徳の向こうにある厳しい現実も語る必要があるのに、それを語っていないから片手落ちだというのがボクの主張です。
但しここで取り上げた「空」は、一般人向けに説明する「空」であって、出家修行者向けの「空」の説明は異なるかもしれません。

五蘊だけでは問題の解決にならない

仏教哲学に詳しい人が「縁起」を語ると五蘊という言葉で説明するのが定番です。
例えばこちら。

この説明は仏教哲学として正しい内容でありまして、これを知らずに「般若心経」の「空」を語るな!というくらいの基本概念です。

仏教にもあるマクロとミクロ視点

上記に貼ったリンクのように、学者や哲学系の人たちが説明する「縁起」=「五蘊」の説明は、経済学でたとえるとミクロ経済です。
それに対して、ボクが語りたいのはマクロ経済的な視点での「縁起」です。

ミクロ視点の縁起

ミクロ視点の「縁起」では、
Aさんという人物は、色々あって「五蘊」という構成要素でできている、それを「縁起」と呼びます。
以上終了!!!
となります。

で、だから何?

という内容です。
これを知ったところで、人生の問題は何も解決しません。

マクロ視点の縁起

ボクが言いたいマクロ視点の「縁起」とは、AさんとBさんとCさんの「運命の出会い」と、それによって引き起こされる諸々の幸不幸は「縁起」の法則の支配下にあり、「縁起」の法則の中にあるからこそ不幸を回避するための手段があって、具体的には・・・という展開になります。

視点と問題意識が根本的に違うのです。

「縁起」は「引き寄せ」と「危機回避」

「縁起」とはボクの表現では、「自分の意志とは関係なく強制的に発生する運命の出会い」であり、その「出会いを強制する人力で制御できない何か」が存在していて、それが不幸な結果を導く運命の出会いならば発生前に回避すべきであって、具体的にどのような手段で出会いの選別をするのか?という総合的な思想と実践です。

つまり
良い運命の出会いは引き寄せて、ゲットして
悪い運命の出会いは引き寄せず、回避する
そのための具体的な手段がある
ということ。

こういう観点で言うならば、現代社会において最も「縁起」を正しく語っているのは、スピ系の「引き寄せの法則」なのではないか?という予感がしています。

これについては、ちょっと調べるのが怖いので、調べていません。

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