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葉加瀬太郎さんのコンサートで、隣が熱狂的ファンだった話


12月某日、私は電車に乗り、葉加瀬太郎さんのコンサートに向かっていた。

なぜ太郎さんのコンサートが好きかというと、MCが本当に面白いのだ。彼のコンサートは、クラシックコンサートの静寂な感じはなく、ライブなのか?!と錯覚するほど抑揚感がハンパない。


授乳中の私は、子供に親をお願いして、自分へのご褒美に行くことにした。

しかし、数日前から、乳の様子が怪しい。しこりかある、、、。コンサートに備えて、数日前から帰省していたが、授乳クッションを、持って来なかった事が、災いしたらしい。ポジショニングが悪く、乳腺炎が起こっていた。

あかんあかん!!

母に西松屋へ車を飛ばしてもらい、携帯用授乳クッションを買うことにした。行き道に、電話をする。

私「西松屋さんですか?携帯用の授乳クッションありますか?(バタバタ)」
店員さん「ネッシーの柄でしたら、お1つございます。(ほんわか〜)」
私「、、、ネッシーですか?」
店員さん「ネッシーです。」
私「(、、、まあええや!)わかりました、すぐに伺います!!」

恐竜柄、可愛くない。でも、背に腹は変えられないので、買うことにした。到着して数分後、

ミッフィー柄の、授乳クッションを2つ発見した。


めっちゃ可愛いやん。



しかし、まだ乳は張る。今度は旦那に実家まで、搾乳機を持ってきてもらった。電池を入れたら動くやつだ。旦那は仕事終わりで疲れてるのに、快く持って来てくれた。父も、電池を買いに行ってくれた。準備オーケー、すごく安心した。

でも、、、


私にはさらなる悲劇が待ち受けていた。

前日、私は、実家の調理補助として、野菜を切っていた。お世話になっているので、心ばかりの御礼だ。すると調理中、身体のバランスが崩れた。

咄嗟に


包丁だけは、置いて倒れねば!


包丁を、まな板の上に手放したが、


そのまま私は転倒。


グキッ  足を捻り、

ゴツン  お尻を強打した


痛あっ!!!!


大丈夫ー?母からの声に、

31歳、涙が出た。しばらくその場で休んだ。

なんでなんや、災難続きで、、、。葉加瀬太郎さんのコンサート、行くなって言うことか?

母が、

「コンサート、やめとくか?」

私の声を、代弁した。

「ううん、行きたい。」

即答だった。

楽しみにしてたんやもん。エトピリカに、情熱大陸。

「そしたら、無理せんと、駅からタクシーを使い。それがほんまに無理をしない、ということやで。」

、、、、

ええんかいな。そんなに甘えて。


父も、心配そうに私を見る。 


その日、母はマッサージも手配してくれた。


なんか、情けなくて、でもありがたくて、笑えてきた。だって目的は、私の余暇の、

葉加瀬太郎さんのライブ。

ただのライブ。

趣味やから、キャンセルだってできる。

それやのに、皆が、私を応援してくれている、、、。


頭の中に、
24時間テレビのサライが流れ始めた。


そして、当日。私は、授乳を済ませ、身体中を父母からもらったカイロで温め、大好きな母の卵焼きが入った、手作り弁当を持ち、無事に家を出発した。


今日は行って、無事に帰って来れたら、それで100点や!!


時間にも、超余裕を持った。


そして、無事、電車でも座ることができ、最寄り駅に到着。


頭の中でサライが流れる中、タクシーで会場に向かう。

会場に入る前に、お弁当を食べた。大好きな大好きな母の卵焼き。ちょっと甘いんだ。

元気が出る。涙も出そう。

そして、トイレで搾乳も済ませ、無事に着席。
階段続きでしんどかったが、前に人がいない良席だ。よしよし。


ビー

開演の音が鳴る。

いよいよだ。


太郎さんが出てきた、おっエトピリカだ!!

もう涙が出てきた。コンサートの日まで、楽しみにしながら何度も口ずさんだこの曲!!


すると、


おもむろに隣に座っていた彼が、


手で、リズムを刻み出した。


、、、。


ん?


のってる系??


彼はリズムにのっている。


終わった後、今度は、彼が

3人分くらいの、割れんばかりの拍手をした。


!!!?



めちゃくちゃ響いている。


今度は、葉加瀬太郎さんが、アナウンスする。


「続きまして、この曲をやります。」


紹介する。



すると彼は、


「よっしゃあ!!!」


叫んだ。


!!!!


予感はしていたが、彼は、感情表現が豊かなタイプであった。そして、それを、惜しげもなく、外に表現する感じであった。

頭と身体がリンクしている。



こうなってくるともう、私の中では、葉加瀬太郎さんのコンサートではなく、彼のコンサートである。

私は後方席から、ミニチュアのような葉加瀬太郎さんを見て、巨人のように、感動を体現する彼に注目せざるをえなかった。

「続きまして、○○さんとコラボした、、、」

あっ有名なやつだな、よっしゃ来るだろうな、、、


彼「、、、、、(無言)」


知らんのかーい!!!


彼は、終了後も、一目さんに人混みをかき分け走り去っていった。


いったい今日は何だったのだろう。


なんの日だったのだ。

終わった後も、私は彼のことをずっと考えていた。


余談だが、私はたまに、お腹が鳴った自覚がないのに、旦那に「お腹鳴った?」と聞かれたりする。


私たちは自分が聞こえる音を、無意識に自分で選択して聞いている、ということだ。


ということは、今日彼の音に注目したのは自分。


私は彼が、家族、自分の知り合いだったら、その表現を気にせず、一緒に楽しんだと思う。

でも席の距離は近いが、心は遠い他人なので、今日はなんだか注目してしまった。


帰宅後、

「どうやった?」


家族からの声に、

「楽しかった!!!!ありがとう。」

満点の笑顔でそう伝えた。

最高に楽しかったのは、どちらにせよ間違いない。子供も、良い子にしてくれてたそうで、ありがとうな。


でも、次のコンサートは、静かに楽しみたいな


というのが、やっぱり本音なので、



次は違う人の隣がいいな。



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