エジプシャン・フォークロアダンス【ミラーヤ レフ】
ミラーヤ レフとは、3メートル程ある体を覆う黒い大きな布で、カイロやアレキサンドリアなど主要な都市の女性が洋服の上に羽織っていたもの。
ミラーヤ レフ=ミラーヤ
生地はコットン、シルクとコットンの混紡、ウールとコットンの混紡などがあります。
ポンポンがついたヘッドスカーフやフェイスベールと共に着用されることもあります。
外出時のモラル上、寒さをしのぐ為、保護の為、食用品をポケットに入れて運ぶ為、など様々な用途に活用されました。
1930年〜1960年初頭まで、カイロの中心地を始め、色々な都市で様々な年齢層と階層の女性達がミラーヤを着て街角を歩いている姿が見かけられました。
その後、次第にこの光景が見られなくなり、1990年後半から殆ど着られなくなりました。
エジプトではミラーヤと共に踊る伝統はなく、従ってミラーヤは民族の踊りではありません。
マフムード・レダが作品を作成するにあたり、小道具としてミラーヤを取り入れたのが始まりです。
彼はミラーヤを以下の理由で気に入り、ミラーヤを使った沢山の作品を生み出しました。
- 黒いミラーヤとカラフルな衣装とのコントラストがはっきりとして舞台上で映えること
- ミラーヤの動きが魅力的なこと
- ダンサーの動きをミラーヤで強調できること
- 役のキャラクターを分かり易くしてくれること
ミラーヤ映像
レダ舞踊団の初期の作品は、マフムード・レダがフィールドリサーチに行く前でしたので、彼の育った社会や文化に所属していた人々の性格や習慣や環境から受けた印象を元に作られています。
彼の作品内で表現されている性格とは、オールドカイロの典型的な都会の人々のもの。
ミラーヤはその当時を象徴するものであり、1959年初演から演目の1つとして、オールドカイロの女性を表現する小道具として登場していました。
【レダ・トループ】の女性プリンシパルダンサーであるファリーダ・ファミがその女性役であり、彼女曰く、オールドカイロの女性像(都会的なコミュニテティに所属している女性)は、教養があり、物おじせず、可愛らしく、頼りになる女性だそうです。
レダ曰く、隣のお姉さん的な普通の女性。踊りの中で、少しなら気のあるそぶりをしても良いそうです。笑
このように、マフムード・レダは、その当時の人々の性格や身振り、社会的・文化的背景などを踊りで表現し、舞台芸術まで昇華させていった第一人者。
レダ式ミラーヤ レフを踊る為のレダからのアドバイス:
- 伝統的な踊りではないので伝統的な音楽はなく、バラデイ的美しさを持つ物語がある音楽を選ぶこと
- 衣装はカラフルで、膝丈あたりの体にフィットするドレスを着ること