エジプシャン・フォークロアダンス【エル アサヤ】

マフムード・レダは、エジプトの様々な地域のダンスをフィールドリサーチする一環でアッパーエジプトに行き、タハティーブ(武道)とスティックダンスに出会います。

※スティック=アサヤ

【私はスティックダンスで有名であった。そして、この踊りは私の最も愛するダンススタイルの1つである。】-マフムード・レダ-

アッパーエジプトの先住民の男性は日常的に護身の為にスティック(アサヤ)を持ち歩いており(当時)、彼らの間でタハティーブ(武道)とスティックダンス(踊り)が発展していきました。

これら2つのイベントは伝統的な楽器であるミズマイールや首から下げてスティックで打つドラムを用いて演奏される伝統的な音楽に合わせ、様々なお祝いの場で行われていました。

タハティーブに続き、スティックダンスが踊られます。

スティックダンスとは、タハティーブの攻撃や守りの動きを競い合う即興ソロダンス。

参加者は、スキップをしたり、ジャンプをしたり、ゆっくり動いたり、止まったり、優雅でありながら男らしい動きやポーズと共に、スティックの使い方で個性や才能を見せ(魅せ)合います。

音楽のテンポや自身の内側から湧き上がるインスピレーションと共に踊る男性の踊り。

先住民の人達が他の地域に住むようになり、アッパーエジプト以外でも規模は小さくなりますが、お祭りや結婚式でこのイベントが行われるようになりました。

レダは、アッパーエジプトの様々な都市で沢山の参加者で溢れるタハティーブ(武道)とスティックダンスイベントに何度も参加し、その素晴らしさに釘付けとなりました。

タハティーブ映像

映画Mid Year Vacationよりマフムード・レダによるスティックダンス

レダはソハーグで見たイベントに最も感銘を受け、タハティーブマスターから学び、この時のインスピレーションを元にシアター演目となる【エル アサヤ】という作品を生み出しました。

カイロの作曲家に曲の依頼をし、音楽を作曲しました。

そして、次に新しいシアター演目【新しいエル アサヤ】という作品を生み出します。

男性ダンサーはスティックを1本ではなく2本操るようになり、踊りには更なるバリエーションやダイナミックさが付け加えられました。

女性ダンサーは時にはリズムと対照的に、時にはリズムに合わせて女性らしい動きで、時には男性ダンサーのスティックを持ち踊ります。

男性ダンサーがスティック2本で踊り、女性ダンサーがスティックを持っている箇所があるので、こちらは【新しいエル アサヤ】だと思います。
(スペインのダンサー・ネスマ監修)

レダ・トループで女性プリンシパルダンサーを務めていたファリーダ・ファミによると、レダはスティックダンスのことをサイーディダンスと呼んだことはないとのこと。

レダは常に作品はインスピレーションから生まれると言い、インスピレーション元となる情報において常に明晰であり、作品についても常に的確に言い表わし、サイーディ(地域の呼び方)という曖昧で汎用化された言葉を使わなかったそうです。

レダ式スティックダンスを踊る為のレダからのアドバイス:

- 女性がスティックで踊る時は、踊りは男性の模倣であるので、女性らしいタッチを忘れずに

- 男性が使うスティックより小さめのスティックを使うこと

- フォークロアの衣装に着替えて踊ること

- スティックを回すこと

- 品位を貶めるので、スティックを胸に乗せないこと

- 主役はあくまでもスティックではなく、踊りであること

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