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PASSION 第二章 ボリビアへ 古き良き日本と、もうひとつのオキナワ

 ボリビア入国

 ペルー・リマから高速バスに乗り、また旅は動き始める。少し観光しつつ、まず目指すはペルー・南部にあるプーノ。エクアドルに発つ前、リマの日秘で、私は日本人旅人・香織さんと出会っていた。香織さんもだいたい同じ日程でボリビアの首都・ラパスを目指すというので、観光地であるプーノのバスターミナルで待ち合わせ、合流した。プーノでは標高3890m、広さは琵琶湖の12倍という、海のように穏やかなチチカカ湖に浮かぶ有人島へ上陸し、ホームステイを楽しんだ。

 プーノで3日間過ごした後、香織さんとボリビアへ向かうバスに乗った。
2時間半ほど走ると国境に着いた。バスを降りて出国手続き。アーチ型の門を歩いてくぐればそこはボリビア。入国手続きをして再びバスへ。間もなくしてコパカバーナのまちに到着したら、一時間の休憩である。
 コパカバーナでバスを乗り換えたあと、チュアというまちでは船渡しが待っていた。バスもトラックも人もみんな船に乗り対岸へ行く。そこからは3時間以上バスに揺られるだけだった。遠くには5000m以上級の雪山がそびえている。


 17時半すぎ、眼下に一面赤茶色の巨大なまちが出現した。山の上から下までびっしりと建物が張り巡らされている。このすり鉢状のまちがボリビアの首都・ラパス。標高3650m、首都としては世界最高所に位置する。

このまちを一言で表すならば「カオス」である。山岳帽、みつあみ、きらびやかなストール、ロングスカートといった民族衣装をまとったインディヘナが目立っている。純粋なインディヘナが55パーセントと、南米でも特に先住民が多いというのがボリビアだ。


ラパスでは旅行客を狙った軽犯罪がかなり増加していると聞いていた。スリに合わぬよう、警戒しながら早歩きをして宿を探した。
ラパスで楽しみなことのひとつは日本食レストラン・けんちゃんに行くことだった。


 宿に荷物を置いたあと、ラパスの目抜き通りをひたすら歩き、学生広場を左折する。小道の奥にある素気ない建物が日本人会館で、その2階にけんちゃんがある。「お食事処」の文字が入ったちょうちんに迎えられ、香織さんは定食物、私はラーメンを注文した。

 帰り際、大通りから見上げたパァーっと広がるすり鉢状のラパスの夜景。美しいという言葉を超越してしまいそうだった。

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