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「あの頃は良かった。」とかいう幻想


何回か触れてきましたが、私は
『2度と昔に戻りたくない!』
っていう位、過去が悲惨な人生だったので、
『あの頃は良かった。』
『あの頃に戻りたい。』
って感傷に浸る人の気持ちが分からない側の人間です。

ですが、何故人間が
『あの頃は良かった。』
『あの頃に戻りたい。』
と、思うのか、ちょっと分かりました。



【過去】【あの頃】って、2度と戻れない時間ですよね。2度と味わうことのできない時間です。

多くの人には、
[手に入らないもの程欲しくなる]
[手に入らないもの程良いもののように感じる]
こういう感覚が備わっていて、こういう心理をマーケティングに利用されているケースなんかもあるようですね。

そう。人は

【2度と手に入らないあの頃の体験】

が欲しくてたまらなくなるし、良い時代だったと感じやすいようなのです。



まぁ、私は
『は?私の手元に来てくれない物なんか嫌い!どっか行け!』
っていう感じの性格なので、どっちにしろ
【2度と味わうことのできない時間に戻りたくなる人の気持ち】
は共感できない側の人間なんですが。



で、さぁ。

『あの頃は良かった!』
『あの時代が最も良かった!』
って思うのは、人それぞれの自由じゃないですか。思う存分、過去を懐かしんで、ノスタルジーに浸るのは結構なことだと思います。

が、

『あぁ、こうして自分は"手に入らない"過去に対し、補正がかかっているんだな。』

と、多少は自覚しておくことも一部大事なことだと思うんですよね。

我々はみんな、未来にしか向かっていけないんですよ。時代を未来に進めていかなきゃいけないんですよ。そんな中で、
【より良い未来を思い描く人】
邪魔をする程の大声で
『昔は良かったのに…。』
なんて茶茶入れする人は減らないといけません。

残念ながら、
【素晴らしかったあの頃】
を大声でゴリ押しするような人というのは、自分が執拗に
『昔の方が良かったに決まっている!』
と、他人に激しくアピールしている自覚は無いんですよね。その人にとっては『素晴らしかった』のだから、
『他人も同じように『素晴らしかった』という評価である。』
と信じて疑わないので、
『【素晴らしいもの】に「素晴らしい!」と言って、何が悪い!』
と、いう感覚なんです。

ですが、現代に至るまで続いていないということは、それは素晴らしかった訳ではないかもしれないし、他の人にとっては素晴らしいものではなかったのかもしれない、など、冷静に見極めることが必要な場面はあります。



【過去の時代で当たり前だった価値観】

どんなものにしろ、
【"嫌だったけど"当たり前だった昔の価値観】
【"凄く良かった"当たり前だった昔の価値観】
ってあると思います。

【嫌だった価値観】
に対して
『自分たちはこんなに辛い経験をしたんだ!だから、お前たちも同じように経験すべき!』
みたいな押し付けの意識が強い人、結構いるんですよ。

【凄く良かった価値観】
に対して
『あの頃の方が優れていた!今の当たり前が変なんだ!』
みたいな押し付けの意識が強い人も、結構いるんですよ。

でもねぇ…総じて押し付けてることに気付けてないんです。

『自分がした苦労を他人もしなければ割に合わない!』
といった僻み根性や、新しい時代の価値観に付いていけない悔しさを時代のせいにする他責思考が働く人もいます。それだけでなく、
『自分が損したのだから、他人も損させてやる!』
と、足を引っ張りたい欲だったり、自分を上げて他人を下げようとする意識が強い場合もありますね。

何にせよ、
【過去の時代で当たり前だった価値観】
を引っ張り出してきてあーだこーだと述べる、その行動原理に、

『話している相手のためを思って…』
という思いやりの意識はほぼ0である


ということは自覚した方が良い人はかなり多いんです。でも、自覚は難しいでしょう。そういう意地汚い感覚の持ち主程、
『自分はそんな意地の悪い人間ではない!』
って、憤慨しますからね。



ひとまず、
【"凄く良かった"当たり前だった昔の価値観】
に関して
『もしかしたら自分は、"もう2度と手に入れられない過去"というものの希少性に魅せられてるだけなのかもしれないなぁ。』
と思える人が少しずつ増えるだけでも、他人への執拗な押し付けを減らしていけますからね。

どんなに素晴らしいものだったとしても、過去は過去としてスパッと忘れて、まっさらな状態から、今、未来、と見据えて考え、話を進めなければいけないタイミングってあるものです。



日本をより良い国にするのは、
[あの頃を懐かしむ心]
ではなくて
[今を悲観する心]
でもなくて
[未来に向かう意識]
なんだ
って気付ける人が増えると、世の中明るくなるんですよ。

前、向いてみません?


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