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この街の電車では、寝たくない。

オーストラリアに来て、10ヶ月が経った。

メルボルンに来た当初は、すべてが非日常だった。
それが今では少しづつ慣れて、非日常と感じるほどではなくなった。

それでも未だに知らない道や、人、風に驚く。こんな表情もあるんだ。
毎日乗る電車でも、毎日思う。
窓から見える景色のすべてが新鮮で、そして毎日変わる。

それはおそらく、一日の気候変動が激しいメルボルンだからこそなのかもしれない。昨日桜が咲いたと思ったら、次の日にはもう葉桜。そんな感じだ。

でも、変わるのは気候や景色だけではない。
ここで過ごす一日がどれだけ愛おしくなったか。狂おしいほど綺麗な夕日がどれだけ寂しくさせたか。マスクを外して深呼吸することが、どれだけ心を震わせたか。それらがどれだけ心を変えたか。

見逃した方が、愛おしく、寂しく、震わせる感情は少なくて済むだろう。
それでもどんなものも、どんな景色も、どんな人も、見逃したくないのだ。


だから、この街の電車では、寝たくない。


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この記事は、ラジオで収録したものを元に執筆しました。
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