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巳年初詣 古代磐境 宇夫階神社 ィイ・ヤシロ・チ vol.79
今年も相変わらずの喚ばれ参拝からのスタートとなった、と思い知る初詣。
元は友人と映画を観に行く先で、その近くの神社をお参りしようぐらいの軽い気持ちだった。
が、想像しなかったほど歴史深い由緒ある社に出逢ってしまった、わたくしたち。けた外れのパワースポットに新年早々お導き頂き、感謝である。
香川県宇多津の宇夫階(うぶしな)神社は、町中の小高い場所に鎮座する、アクセスも楽ちんでありながら、まさかの凄すぎる聖処であった。
珍しいことに、当社の門前に神職さんの手打ちうどんがいただけるうどん屋さんもあるということで、参拝後の直会うどんランチも目論む、食いしん坊コンビ。
物心共に満たすぞ、と正月早々やる気満々、新年参りの期待に胸を膨らませ、正午前、駐車場に難なく到着。
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青空にすっくと立ち上がる大鳥居を見上げて「立派な神社だね」と歓喜し、その直後にはうどん店をキョロキョロ探す、ちゃっかりな二人。見回すと、豈図らんや残念ながら、本日は、お休み。そうだね、松の内あけるまでは、参拝者が多いから、うどんよりも社務所のお仕事優先だよね、などと勝手に閉店理由を推し量り、自分たちの腹ペコを宥めた。
「お昼は、別の場所にしようね」と素直に諦め、気持ちも新たに、いざ!参拝。
参拝者数は、正月4日の土曜のお昼前ということで、チラホラ程度。すっかり参拝モードに切り替わったおみなコンビは、落ち着いた参拝にはもってこいのシチュエーションよねと、ニンマリと笑い合う。
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気を取り直して境内を見やると、何やら年季の入ったコマさんがわたくしたちを見おろしておいでになる。
「こんにちは、よろしくお願いします」
と声がけをして、大きな鳥居に向かう。その先には真っすぐな石段が伸びて、チラリと荘厳な拝殿が見えている。
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「楽勝パターンの社殿で、助かるわ」険しさや厳しさが皆無な、年末年始をゆるく過ごした心身に優しいロケーションは、たいそう有難い。
ゆっくりと石段を登れば、程なく到着する神前。ご神木も伸びやかに煌めいて、すこぶる神聖な空気が広がっていた。
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「社殿が本格的だねー」と驚き、さもありなん、あとで調べると伊勢神宮外宮の多賀宮の移築とのこと。外宮では、拝殿でさえも近寄れないのが、なんと内部まで入れるとは有り難い。
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この度は昇殿参拝ではないので軒先参拝となるが、それでも建物内部を覗き見れて、十分にお得な心持ちになれた。
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拝殿でご挨拶を済ませてから、左手後方に進んでみた。いくつかの境内社が在って、その中の地社と標された小さな丸石さまがとりわけ気になり、手を合わせた。
「もともと此方で先からおいでになった神様でしょうか?お邪魔します。」と語りかけながら。
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古びた祠がいくつも並んでいて、拝殿の左手後方はちょうど正午の太陽光を浴びて暖かく和んでいるように明るかった。
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そして、その横の南の宮神社も参拝後のルーチンで写真を撮ったあと(帰宅してよく見ると不思議写真になっていた!)すぐに、その右手の先に意識がひっぱられるような気がしてズンズン進んだ。
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そこは本殿の真裏に巨石が南中の光を浴びて堂々と聳えるように立っていた。磐座である。
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「迫力あるね!」と意見は一致。このような場所が在るとは、驚きだ。
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巨石をぐるりと回り込むと、正面に出てきた。確かにこれは、本殿の真裏に背中合わせで立つ神様の降臨場。珍しいことに手前にテーブル状の、これも大きな平石が置かれていて、お米やお賽銭などが奉じられていた。
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「昔の人は、此処にどんなものを捧げたのかしらね?」と話しながら、二人きりの不思議な、そして精妙な聖性を帯びた空間の磁場を味わった。そして誰も来ないのをいいことに、なんとなく祝詞を小さな声でひっそりと捧げた。
この巨石のことをネットで探すと、刻まれている文字があるという指摘もあった。↓ どれほどの歴史を秘めているのだろうと、途方もない心持になる。
体感が心地よく、睦月の戸外であるにもかかわらず、寒さを感じないままに木々に守られたスポットの中をゆるりと歩んだ。それから、本殿の向かって右側に進むと、説明書きがあった。
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本殿後方をくるりと取り囲むように、祠がたくさん立っている。あまり見慣れない名前の神社が珍しく感じられた。↓の記事では、二十二社もあるとのこと。
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ストーンサークル、つまり人工の石の配置をなされた祭祀場である磐境のエリアをひとしきり回ってみて、その先に神社があることに気づく。「このあと彼方にお参りしましょう」
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心地よい磐境を出て、社殿の横にようやく出てきた。ここにきてやっと、しめ縄が施された御膳岩とご対面する。「これなのかしら?」と訝しく思いつつ、ご挨拶。
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「テーブル石を備えている巨石が御膳岩だと思い込んでいたよ。」と言い訳めいた独り言が、口をついて出てきた。
正午の陽光が拝殿を明るく照らして、心も晴れ晴れとしてくる。傍らの大きな岩に視線を向けると、丸い穴が二つ開けられている。「盃状穴だよ。」とお参り友に教える。そっと触ってみると、日光に温められていて、じんわりと冷えた手先に柔らかな熱が伝わってきた。子宮を象り、母神を崇拝するという信仰の名残とも言われるこの窪みに出会えたのもまた意味があることなのかもしれない。
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それほど詳しくはないけれど、最近注目を浴びている歴史の記録物とされているものらしい。↓には関連資料となる出版物のことが紹介されている。
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海洋民族が関わっている証左のように、当社には金毘羅さんや塩釜さんが丁寧に祀られていた。まずは、先ほど磐境から見えた、金比羅さんにご挨拶。
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更に、きれいな社殿の塩釜神社にもお参りした。思い返せば、わたくしは今まで「塩釜さん」に参拝したことはなく、はじめましての神様である。今年は、塩釜さんへのご挨拶参拝が待っているのやもしれず、とうっすらと予感した。
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瀬戸内海に面するこの場所に、思わず海洋民族の足跡を見ることになった新年参り。「楽しかったね」と辞した途端、不思議と参拝者がたくさんやってきて、お天気は曇りに早変わりした。「なんだかちゃんとセッティングされたような参拝だったね」と二人で苦笑しながら、直会へ向かう。
ランチ候補を探せば、車で10分もかからない場所に、すこやかランチをいただける↓ カフェドミュゼさんを発見。
栄養満点、発酵食品と野菜たっぷりのランチは、彩りも豊かな美味しいメニュー。本日は、ぶり大根と黒米ご飯、白みその紅白なます、漬物、ワカメのお吸い物、フルーツ、ベリー&ヨーグルト。
ゆっくりと落ち着く店内で、味わった満点ランチ。
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心もお腹も満ち足りた、新年参りの有難いスタート。海洋民族や古代遺跡のロマンも加わり、本年のイヤシロチ巡りの幸先良いスタートに、心躍ることである。
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淡黄の花被片
最後までお読みくださり、ありがとうございます。和風慶雲。