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つくしとスギナ ヌチグスイ*⑰

壁のカレンダーが3月になると、つくしを探さなくては、という季節のお約束モードが発令されるわたくし。つくしを採って、料理して食べるのは我が家の恒例行事なのである。

子どもの頃は、つくしが大好物な母の知人のために、ビニール袋いっぱいに摘んではかまを掃除して差し上げて、そのお礼に何かしらお菓子をもらっていた。春休みのちょっとした嬉しいアルバイトだった。そんなにいい物?と思って母にせがんで調理してもらったけれど、もちろん、子どもには苦くて別段おいしい物とは思えなかった。大人はよくもまあ、こんなものを喜んで食べたがるなあ、と少しあきれたような気持になった。

それでも娯楽の少ない田舎の小学生には、少し肌寒さの残る春風が吹く日当たりのいい斜面でニョキニョキ出ているつくしを摘むのは、楽しい春の野遊びだった。

さて、どうして「つくし」と呼ばれるのだろう?と調べてみた。↓生薬としての薬効もある、スギナのおまけの子(スギナにツク子)だったのだ。

https://www.yomeishu.co.jp/genkigenki/crudem/190228/

そういえば、40代になって、ドラッグストアのレジ横に「花粉症対策になるつくし飴」なるものを見かけた時、ヘェと手に取ったことがあった。わたくしは花粉症体質なので興味をひいたが、効くのか?と半信半疑だった。今ネットで検索すれば、花粉症ビジネスの花形のようだ。以前はスルーした、まさかのつくしの実力を今さら見直したわたくしだ。つくしの花粉症への薬効。↓

https://flagsector.info/2612.html

何度か目の転居先は、家の近くにつくしが生える環境だった。子どもの頃の思い出が懐かしく、春に見かけるつくしを摘んで、自然と料理するようになった。今では毎年食べている。今年も卵とじを晩御飯のおかずにした。わたくしも五十路を過ぎる年まで無事に生きてこられて、つくしの味がわかる大人になれた?ということかもしれない。

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おかず以外にも、先のつくし飴の原型のおやつとしての、手作りつくし飴のレシピがここにあった。↓そのまんまの姿かたちなのがユニーク。小さい子どもにきっと受けがいいだろう。来春は挑戦してみたいものだ。

https://cookpad.com/recipe/1768450

街なかでの暮らしでは、なかなかお目にかかれない、春のほんの短い期間に出現するつくし。そのつくしの一生を数分で見る楽しい動画も見つけた。↓実際に早送りで見てみると、緑の胞子が綿埃のようにモリモリ出てくる勢いがスゴイなと感心した。

https://www.youtube.com/watch?v=1ShAeiwbQSY

つくしが胞子を出し切って枯れた後に、やおら勢いを増すのが、スギナ。農家の人には農作物の生育の障害になると大変に嫌われている。上の記事にもあるように、地獄?までつながっている根っこのしぶとさのために「地獄草」という恐ろしい別名まである。プロの農家さんたちにも手に負えないすごい生命力だということか。そして、スギナもつくしに負けず、実は健康に優れた効果を発揮するようだ。

https://www.mjna50.net/blog/%E3%82%B9%E3%82%AE%E3%83%8A%E8%8C%B6%E3%81%AE%E8%96%AC%E5%8A%B9%E3%82%92%E5%A7%8B%E3%82%81%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%81%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%81%97%E3%81%A8%E3%82%B9%E3%82%AE%E3%83%8A%E3%81%AE/

わたくしのお年頃になると、段々と気になってくる血管の弱りを助けてくれる素晴らしいスギナ。ボウボウと生えている野原の実態は、取り放題の宝の山だった。おしゃれなスギナ茶の活用記事↓はココにあった。

https://gardenstory.jp/lifestyle/44670

ただし、どんな薬効も常に毒性とも背中合わせである。○○に良いからと欲張って取りすぎると、いくら良いと言われるものでも体に悪い。なのに、この頃はサプリメントという高濃度に濃縮されているものを何の抵抗感もなく口にする人が多く、いわゆる健康食品と呼ばれるものへの警戒が殊更疎くなっているようで気にかかる。それが手作りの薬草茶であっても、回数や量など飲み方に十分注意して、適切に楽しみながら健康に役立てよう。

4月からはいよいよスギナの季節である。青々としたスギナはまさにヌチグスイ。これをうまく活用して、その花言葉にある「向上心、努力」をもって、自らの健康に磨きをかけて初夏を迎えたい。

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最後までお読みくださり、ありがとうございます。和風慶雲。


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