宗教画っぽさ

先日Xでこんなポストを見つけた

なかなか味のある絵だ。これに対して「宗教画っぽい」というコメントがついており、私自身もそう思った。ではどのようなところに宗教画っぽさがあるのだろうか。

1.構図

力なくだらりと座り込む人を、まわりの人が抱えるように囲む構図は、「キリスト降架」や「ピエタ」の画面を想起させる。

ルーベンス『The Descent from the Cross』 (1617 – 1618)

また、座った人を取り囲むと言う点では「荘厳の聖母(マエスタ)」の構図にも通じている。

チマブーエ『Maestà』(1280ごろ)

2.表情

作者さんは下を見て俯いているが、これも「キリスト磔刑」の図像を思わせる。

ベラスケス『Christ Crucified』(1631-1632)


周りを取り巻いているのが女性が憂いを帯びた顔をしているのも「ピエタ」と似た感じがする。

ペルジーノ『Pietà』(1490)

3.色彩

赤と青の服を着ているキャラクターがいるのもポイントだ。マリアの衣服は海の星の聖母の象徴としての青、慈愛の赤で表されることが多かった。

ラファエロ『Madonna del Granduca』(1505-1506)

と思いつくままに羅列してみたが、こうして見ると「キリスト降架」「ピエタ」「キリスト磔刑」など、キリスト教美術を彷彿とさせる要素があることがわかった。

おそらく「宗教画っぽい」とコメントした人も、こういう絵を連想したのだろう。今まで覚えたものが何と結びつくかはわからないものである。

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