エスケープ

サムライ・エスケープ①

本作はかつて #逆噴射小説大賞  に応募した

の改訂連載版となります。逆噴射小説大賞の趣旨に沿い、一回400文字以内の連載といたします。12回程度で完結予定。


 唐突だが聞いてくれ。おれは追われている。しかも悲しいことに、おれはサムライだ。誰も助けちゃくれねえ。
 少し前、おれは馴染みの他に、仲間を集めていた。この国を牛耳る連中相手に、一戦交えようと考えていたんだ。
 しかし誰かが裏切った。仲間は散り散りになり、逃げる他に手段はなかった。

 目指すのはフホタカの港。後は山一つ。船に潜り込無事ができれば、外つ国へ行けるかもしれねえ。と、いうのは流石にハッパの噛み過ぎか。
 さて、雨もやんできたか。おれは、木の下から這い出した。身体がずぶ濡れだが、構っちゃいられない。

 その時、おれの体が揺れた。ハッパのキメ過ぎか? 否、地鳴りだ。俺は刀を抜き、警戒する。武器は、これしかない。

 だが、地鳴りの正体はすぐに分かった。

「テッチュロウ! お前が最初に見つかるとはなあ!」

 うるさい雄叫びと、機動音。
 俺の二十倍はデカい絡繰巨人が、木をなぎ倒し、地面に穴を開けつつ。こちらに向かっていた!

次回→

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