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ぬか漬けは使い捨てか? 恋人か?

数年前、ローフードカフェのオーナーからぬか漬けの作り方を教えてもらった。
教えてもらったといっても、その人が販売していたのはビニール袋入りの簡単ぬか床で、野菜を切って漬けておけば出来上がるというものだった。
「毎日1回かき混ぜてね。1ヶ月もすれば飽きるから、使い捨てよ。」
と言われた時には複雑な気持ちになった。

だってぬか漬けといえば、朝ドラの「ごちそうさん」で主人公のめ以子が大事に大事に毎日かき混ぜていた家庭の味。ご飯のお供。それをそんなに簡単に「1ヶ月もすれば飽きるから、使い捨てよ。」と言われてしまうと...なんだかちょっと嫌な感じだった。
結局その時は簡単ぬか床は買わず、作る事もなかった。


それから何年かして、ホーロー保存容器に米糠から育てたmyぬか床でぬか漬けを始めた。鰹節や昆布や陳皮をいれた旨味マシマシのオリジナルぬか床だった。たっぷり作れるので毎日張り切って野菜を漬けて翌朝食卓に出すのだが、なにぶんにも2人暮らし&お米をあまり食べない我々なので、次第に漬物の過剰在庫がかさんできた。
そのうち私の熱が冷めて1回目のぬか床はダメにしてしまった。


先日テレビでぬか漬けの特集があったのを観ていたら、そこに出ていたぬか漬け専門家みたいな女性が丁寧にぬか床を作る工程を説明したあと、進行役の人にこう言った。
「このぬか床を今日からあなたの恋人として扱ってください♡」

いや、重くない?
と私は思った。

ぬか漬けは日々付き合うものだし、恋人と考えたら楽しいとも言えるかもしれないけど、実際には疲れるぞ。だって旅行に行ったとしたら1日は混ぜれない日が出てきたりするし、前回私がやっちまった【漬けすぎた漬物の過剰在庫】もちょっと嫌な気持ちになるし、もしもうっかりぬか床をダメにしてしまったら、捨てる時の罪悪感が半端ない。ぬか漬け専門家としての気持ちはわかるけど、そんな重たい想いを最初から課せられては続けらんないよ。


私は今2度目のぬか漬け生活を始めている。
今回は近所のスーパーで買ってきたビニール袋入りの簡単ぬか床にした。冷蔵庫保存で楽ちん。前回の失敗を教訓にして張り切ることはせず、毎日食べれる量を少しずつ漬けている。始めてひと月くらいになるだろうか。

毎朝ぬか床を混ぜていると、頭の中に浮かぶのは...
「1ヶ月もすれば飽きるから、使い捨てよ。」
という言葉と
「このぬか床を今日からあなたの恋人として扱ってください♡」
という言葉。

私にとってはどちらだろうか。と思って考えたけど、使い捨てと思うと軽すぎて、恋人と思うと重すぎる。
私にとってぬか床はぬか床だし、ぬか漬けはぬか漬け。おいしいお漬物。

多分ハマると勢いつけてやりすぎたり、大それた意味付けをしたくなったり、存在を盛りたくなっちゃうんだと思うんだけど、それをすると私には重たい。

おいしくてお腹とお肌に良いぬか漬けを、無理なくおいしくいただくために、気楽に付き合う。
今の私にはそれが一番付き合いやすい。

熱量がありすぎる人の言葉は半分で聞いて、自分流にやるのが何事にもよいと思った。

ちなみに、ぬか床を混ぜるようになってから手のカサカサが落ち着いてきた。ぬかの油分の効果だと思う。飽きない程度に適当にこれからも続けてこ〜。


***

3/10「note 今日の注目記事」にこのnoteをセレクトしていただきました。
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その後のぬか漬けについて書きました。よかったらどーぞ。


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