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「やせた?」の言葉に思うこと。

私が参加している展覧会「Fashion Crossroad2021春夏」(ただいま開催中です。)に、ハープ奏者をしている友人が初日に来てくれた。

コンサートで舞台の上にいる彼女はいつもブルーや花柄ピンクのドレス姿。
演奏する姿はキリッとしていて優雅で美しい。

しかし地上に降りた同い年の彼女は中学時代からの友人なので、お互いに安心感と親しみが駄々盛れる。

「ちょっと痩せた?」
親しさからつい聞いてしまったが、言ってすぐにハッとした。
もしも病気やなにかがあったとしたら指摘されたくないだろう。
それに彼女はいつでもドレスを着られる体型をキープしているだけだ。

体型のことを指摘されることは私自身が嫌なことなのに、聞いちゃったなぁ。とその時からもう2週間経っているのにまだくよくよしている。

***

昨日の朝のこと。
アトリエに出かける時に近所の床屋の奥さんに会った。

「おはようございまーす。」
と声をかけると、

「おはようございまーす。ちょっと痩せた?」
と言われた。

え。。。全然痩せてないんだけど。どうしよう。

「ん〜〜変わんないかな。」
と言う私に奥さんはさらに言う

「痩せた?」

え、痩せてないんだけどなぁ〜〜〜
と少し困ったけど、
「じゃ、痩せったってことにしときまーす。いってきまーす。」
と言ったら奥さんはなんだかニコニコして、
「いってらっしゃーーい。^^」
と言ってくれた。

なんやこれ。

「痩せた?」
というのは褒め言葉として使われることがある。
実際、言われて嬉しい時もある。

だけどそうじゃない時もある。
20歳の頃の私は体重が40キロしかなかった。
食べられなくて、太れなかった。
水着を着てもスカスカで、自分を魅力的とは思えなかった。

私が36歳で病気をした時、治療薬のせいで60キロまで太った。
体型も顔の印象も変わってしまって、その時はほんとうに人に会いたくなかったし鏡も見たくなかった。
その上久しぶりに会う人には「太ったねぇ〜」と言われた。
多分親しみから出た言葉だったんだろうけど、すごく嫌だった。

久しぶりに会う人に「痩せた?」「太った?」とか、「髪切った?」とかつい口から飛び出るのは、あの伝説のお昼の生番組「笑っていいとも」のゲストコーナー「テレフォンショッキング」でタモリさんがゲストに開口一番言っていた言葉の影響が少なからずあるからだと思う。
テレビで見ている時は楽しかったけど、それが根強く刷り込まれてしまっているなら、しかもそれを言われて嬉しい時ばかりじゃないとするなら、自分で改めていかないといかんなぁと思っておるわけです。

だって私がつくる服は、なるべく体型に関係なく痩せても太っても着られるようにと思って作っているんだから。

ちなみに私は高校生時代、モヒカン姿で生徒会長をしていた。
その後卒業してしばらくしてからも同校の卒業生に見つかると
「会長髪型変えたんだ。」
と言われて、「いつまでもモヒカンじゃねーよ。」と思ったものです。


人はその時その時違うもの。
今の自分、今の相手をそのまま受け止めたいですね。

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