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名古屋大学 研究フロントライン

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ポッドキャスト番組「名古屋大学 研究フロントライン」をテキストでお届けします♪ 名古屋大学の最近の研究の話題を、週に1回、柔らかめのトーンで紹介しています。
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#名古屋大学博物館

コンクリートじゃない、コンクリーション化が地球を救う!?

5月の爽やかな気候の中、初めて名古屋大学の博物館へ足を運びました。自身が名大の学生だった頃、お恥ずかしいことに一度も足を運んだことがなく・・・🤫そんな私を温かく迎えてくださったのは、吉田英一さん(名古屋大学博物館 館長/環境学研究科 教授)。 コンクリーションとは何ぞや??という方、是非コチラをご覧ください! 👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇 ── 先生おススメのまん丸コンクリーション、重たいのですか? 持ってみてください😊 ── え😲😥。あれ、うそ!?持ち上がらない・・・

5000個の石器と向き合い、見えてきたホモ・サピエンスの「試行錯誤」

700万年の人類の歴史の中で、なぜ私たちホモ・サピエンスだけが生き残ったのか──。以前、石器を通じて人類進化の謎に挑む門脇誠二さん(名古屋大学博物館 教授)の研究を紹介しました。 門脇さんが重視するのは、石器技術だけではなく、石器づくりに関連する人類の行動。ホモ・サピエンスが石器の種類によって石材を使い分けていたことを示した前回の研究に続き、彼らが試行錯誤を繰り返しながら石器技術を向上させていったことを発表しました。 約5万年前のホモ・サピエンスに「脳の突然変異」が起き、

生物が教えてくれる、1000年保証のものづくり

化石って、よく丸い石の中に入っていますよね。こんな風に↓ 主役の化石ではなく、その周りの「石」に着目し、1000年保証のものづくりを目指す研究者がいます。応用地質学が専門の吉田英一さん(名古屋大学博物館 館長/環境学研究科 教授)です。 「1000年なんて、地質学的には一瞬ですよ。」 壮大なスケール感とフレンドリーな笑顔のギャップにクラクラしてしまいそうですが…。吉田さんが着目する化石を包む「石」の部分は、「コンクリーション」と呼ばれ、とにかく硬い…金属ハンマーで叩いて

ヨルダン遺跡調査チーム、石器の声を聴いてみたら…

700万年の人類の歴史で、何種類もの人類が現れ、消え、現れ、消え、、、私たちホモ・サピエンスだけが残りました。 なぜ私たちだけが残ったか議論される中、2022年のノーベル生理学医学賞の「古代DNA解析」は大きな話題になりました。化石中のDNA分析を可能にした技術で、絶滅した人類の遺伝情報が現代人に残ることをひもときました。 「ホモ・サピエンスとネアンデルタール人が交雑していたことはすごい発見です。でもなぜ交雑までしていたのにホモ・サピエンスだけ生き延びたのかは、逆に謎が深

67. なぜこんなところに? モンゴルの巨大火成岩地帯の謎

今回は、大昔の地球の地下深くで何が起きていたのかを探る研究を紹介します。経済学研究科修士2年の堀内愛歩です。 なんだか最近地震が多いですね。実は日本のどこかで地震はほぼ毎日起きていて、年間1000回以上、多いときには6000回以上も起きています。ですので、地震が多いというより、私たちが感じるほどの大きさの地震が多く感じる、という表現が正しいのかもしれません。そんな地震の原因の一つが「プレート」です。理科で習う、地球の表面を覆っている岩盤のことですね。今回紹介するのは、この「

58. ホモ・サピエンスは巧みな狩りで生き延びた

こんにちは、経済学研究科修士1年の越川光です。 今回は環境の変化が激しい氷河期の終わり頃の2万4000年〜1万5000年前の西アジアの環境で、ホモ・サピエンスがどのような狩猟活動を行っていたのかを明らかにした研究をご紹介します。 地球で唯一の人類として生き残ったホモ・サピエンス。彼らは厳しい環境変化の中で、どのように生活していたのでしょうか。ホモ・サピエンスが狩猟していた動物の種類・年齢・骨や歯などのエナメル質を調べることで、当時の生活環境まで理解することができます。 そ

57. 名古屋大学博物館の特別展 「世界の発酵食をフィールドワークする」 は必見です

名古屋大学博物館をご存知ですか? 名古屋大学博物館は、名古屋大学のシンボル豊田講堂のすぐ横にあり、マッコウクジラの大きな骨格標本が迫力満点の博物館です。 名大博物館の企画展は、内容のクオリティはもちろん、一捻り加えたインタラクティブな見せ方やフレンドリーな関連イベントで、いつも多様な楽しみ方を提供してくれています。 そんな名大博物館で9月22日まで開催中の特別展に行ってきました。 第28回特別展「世界の発酵食をフィールドワークする」 3階の特別展展示室は、アフリカの

56. 人と共存の古代ワニ、絶滅は人が原因?

第56回目の今回は、中国で発見された大型ワニの化石からワニを取り巻く歴史を紐解く研究を紹介します。経済学部4年、永山萌です。 大昔、日本にいた野生ワニが中国にも!? ワニといえば熱帯など暑い地域に生息していて、日本とは縁遠いと感じるかもしれません。ところが45万年前の大昔、日本にも大型ワニが生息していたことをご存知ですか? 1964年、大阪大学の豊中キャンパスから体長約7メートルの大型ワニの化石が発掘されました。大学のキャンパスからワニの化石が発掘されるとは驚きです!「

47. ヨルダン遺跡調査続報 - 石器に見るホモ・サピエンスの応用力

こんにちは。理学部4年の小川詩織です。 今回は、ホモ・サピエンス繁栄の背景に、石の特徴を石器に活かす応用力が見えてくる研究をご紹介します。 以前に、ホモ・サピエンス拡散の出発点となったヨルダンの遺跡の発掘調査についてお届けしました。今回は、その続報です。 なぜホモ・サピエンスだけが人類として生き残ったか…。その有力な手がかりをつかもうと、名古屋大学などの研究グループが調査しているのが南ヨルダンの旧石器遺跡群です。その1つのトール・ファワズ遺跡の年代を約4万年前と推定した成

ホモ・サピエンス拡散の出発点、ヨルダンの遺跡で新たな発見 【42】

なぜ私たちだけが人類として生き残ったのでしょう… ヨルダンのトール・ファワズ遺跡の発掘から、私たちの歴史に思いを馳せてみませんか? (トップ画像提供:門脇誠二講師) 今回は、私たちヒト「ホモ・サピエンス」の歴史をひも解く、遺跡発掘に基づく研究をご紹介します。 発掘の舞台は、トール・ファワズという中東ヨルダン南部の遺跡です。アフリカで出現したホモ・サピエンスがユーラシアに拡散した出発点にあたる地域ですが、遺跡の正確な年代はわかっていませんでした。 そこで、名古屋大学の門

7200年前の沖縄に多くのブタがいた 【1】

第1回目の今回は、7200年前の沖縄に多くのブタがいたことを明らかにした、名古屋大学と沖縄県立埋蔵文化財センターの共同研究をご紹介します。 沖縄にはブタを使った料理も多くて、沖縄の食文化とブタは切っても切り離せない関係ですよね。 ブタは、人間が飼いならした野生のイノシシが、長い年月をかけて家畜化した動物です。沖縄にはイノシシの骨が出土する遺跡がたくさんあるのですが、実はイノシシではなくてブタの骨なのではないか…?と議論されてきました。 そこで、沖縄中部にある「野国貝塚」