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名古屋大学 研究フロントライン

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ポッドキャスト番組「名古屋大学 研究フロントライン」をテキストでお届けします♪ 名古屋大学の最近の研究の話題を、週に1回、柔らかめのトーンで紹介しています。
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記事一覧

AR×感染症 :“ARグラスを活かした、イカした感染症対策コンテンツ“は、名大から生まれるのか____!?

ARグラスが盛り上がりを見せています。ARは、「拡張現実」を意味するAugumented Realityの略で、動画やゲームや楽しむツールとしてのイメージが強いかもしれません。しかし今、視聴覚において人の能力を補完したり、間違いを防いだりするツールとしての新たな開拓が始まろうとしています。 感染症は、肉眼で見ることができない問題の一つです。新たな感染症の登場を避けることはできませんが、数学的なアプローチが対策の評価や適切な意思決定の手助けになる可能性があることがわかってき

コンクリートじゃない、コンクリーション化が地球を救う!?

5月の爽やかな気候の中、初めて名古屋大学の博物館へ足を運びました。自身が名大の学生だった頃、お恥ずかしいことに一度も足を運んだことがなく・・・🤫そんな私を温かく迎えてくださったのは、吉田英一さん(名古屋大学博物館 館長/環境学研究科 教授)。 コンクリーションとは何ぞや??という方、是非コチラをご覧ください! 👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇👇 ── 先生おススメのまん丸コンクリーション、重たいのですか? 持ってみてください😊 ── え😲😥。あれ、うそ!?持ち上がらない・・・

火山ガスを”縦に”測る

「コロンブスの卵的な装置を作りました。」 地球をまるごと研究する角皆潤さん(環境学研究科 教授)が見せてくれたのは、研究グループの新作装置の映像。噴き上がる煙が目を引く映像ですが、新しい装置…どれかわかりますか? 「スタッフが空に向けて持っている長い棒です。火山ガスを測っています。」 グループは、誰もやってこなかったある火山ガス成分の分布の測定から、放出量の測定に成功。新しい火山モニタリングの提案を目指しています。一体何に着目したのか、プロジェクトについて角皆さんに聞き

速いもん勝ちじゃない、成功するオスの意外な戦略を可視化

名大で”息を呑むほど美しい顕微鏡写真”といえば、水多 陽子さん(トランスフォーマティブ生命分子研究所/高等研究院 助教)。「やっぱりお花が好きで、ずっと研究しているんです」という水多さんが特に魅せされているのは、めしべの中で繰り広げられるいのちのドラマ。 花が咲くとどのように種ができるのか──。シンプルな問いを突き詰めると、見えてくるのは実に壮大で、神秘的としか思えない世界。10年以上の年月をかけてようやく可視化に成功した水多さんが、レンズの向こうに見たのはオスたちの意外な

レンズの精度を極めろ!X線顕微鏡に魅せられた研究者達

顕微鏡を最後に覗いたのはいつだったのか、覚えていますか🙂?ピント合わせが難しく、苦手意識を持っている方も多いのでは・・・1930年代には可視光の代わりに電子を使った顕微鏡が発明され、サンプル表面のナノの世界を見ることが可能になりました。もし、表面だけでなく、内部深くまで見ることができ、三次元構造を明らかにすることができたなら・・・なんて想像してみたことありますか?それを可能にするのが、X線を用いた顕微鏡です。 「今まで見られなかったモノが見られることで、新しい世界が広げられ

赤い光も青い光も大事!植物の気孔開口に関わるしくみを解明!

今回は、ITbMのイチオシの植物の気孔についての研究成果を紹介します。 植物の体の表面にある気孔は、孔辺細胞とよばれる1対のゼリービーンズのような形をした細胞からなり、まるでヒトの唇のような形をしています。 その間の小さな孔を開閉することで、植物は二酸化炭素や酸素などのガス交換や水分調節をおこなっています。まさに、気孔は、植物の成長と生存に必須な細胞器官といえます(図1)。 その気孔は、太陽の光に応答して開きます。名古屋大学の研究グループはこれまでに、青い光が当たるとど

お家でかぶるだけ!新たなうつ病治療装置を開発中

4月になりました。新生活が始まり、新しい場所や新しい人間関係でココロも少し疲れが出てきている方も多いのでは・・・ 今回は、うつ病の治療に新しい可能性を見出した稲田俊也さん(医学系研究科 特任教授)、立花昌子さん(医学系研究科 病院助教)、伊藤美佳子さん(医学系研究科 講師)に最新の研究成果を伺いました。 稲田さんらが開発したのは・・・地磁気よりも弱い1~8 Hz で変動するわずか 10 μTesla(μT)の超低周波微弱パルス磁場環境(ELF-ELME)発生装置です!!

訓練不要!たった3ステップで怒りを鎮める方法を開発

「わかりやすい怒りの抑制方法を開発しました」 川合伸幸さん(情報学研究科 教授)の最新成果の一報を受け、情報学研究科棟にある川合さんの研究室を訪ねました。 怒りを書き出し、眺め、捨てる。これだけで、怒りを劇的に鎮めることができることを実験で証明したといいます。 世界も注目した怒り抑制法は、何を根拠に開発され、どうすごいのか。認知科学を専門に、人の「心」を長年研究し続けてきた川合さんに訊きました。 ── 怒りを抑えるといえば、アンガーマネジメントという言葉をよく聞きます

心を記録する―長野のニホンミツバチ文化に出会った民俗学研究者の話

「ハチミツを食べながらお話しましょう」 数々の名大研究室を訪ねてきた名大研究フロントラインですが、そんな甘い予告つきの取材は初めてです。期待に胸を膨らませ向かった訪問先は、民俗学が専門の甘靖超さん(人文学研究科 准教授)。 スッキリと整頓されたアジアンテイストの研究室の奥から、ハチミツの瓶をいくつも出してきてくれて、 「ぜひ、全部味見してみてください!」 贅沢にも、甘さんが調査で手に入れた貴重なニホンミツバチのハチミツ6種を味比べさせてもらいました。 黒みつのような

樹上と地上、どっちがカエル(孵る)?

ユニークな産卵スタイルで知られるモリアオガエル。木の上に泡巣と呼ばれる白い泡をつくり、その中に卵を産みます。 「実は、地面にも同じように泡巣を作って卵を産むんですよ。天敵に狙われやすくなるのに。同じ種で二通りの行動をとるのがとても不思議です。」 そう話すのは、生来のカエル好き大学院生、市岡幸雄さん(生命農学研究科 博士後期課程3年)。 学部4年で始めたモリアオガエルの研究が、アオガエル進化の謎に迫るほど盛り上がりを見せています。インタビューを通じ、市岡さんのモリアオガエ

初の公開収録「宇宙線ミューオンで見えるものの姿とは

"KMISCT初の公開収録のゲストは、名古屋大学 理学研究科μ研の森島邦博さん。森島さんは「宇宙線イメージング」のプロフェッショナル。ピラミッドをはじめ、宇宙線ミューオンを使ってさまざまなものを透視されてきました。 レントゲンのように巨大構造物の内部を透視する技術とは?宇宙線イメージングに魅せられた理由とは?森島さんの研究ライフを学生の目でスキャンしていきます!" 特に、私たち素粒子や宇宙を研究している立場としては、なかなか研究の中でやってきたことが直接社会に活かせるとい

AI集団1000世代がジレンマゲーム?性格進化は何を語るか

生成AI、活用していますか? 文章を作るAI、画像を作るAI、映像を作るAI、音声を作るAI…、新しい生成AIが次々に誕生しています。名大研究フロントラインも、今回初めて生成AIにトップ画像を作ってもらったのですが、キーワードや条件次第でいくらでも提案してくれるんですね…!!  振り返れば、ChatGPTが話題になった頃から、大学では生成AIとどう付き合っていくのか、より深く議論されるようになりました。 「ChatGPTを使って勉強していいか、宿題やっていいかどうか、人

作物の生きるチカラを引き出すバイオスティミュラント誕生

バイオスティミュラント── 直訳すると生物刺激剤。植物や土の中の微生物を活性化し、より元気な作物を育てようとするもので、農薬ではありません。農業分野の最新テクノロジーとして、世界で注目を集めています。 「収量を上げる品種改良などが注目されがちですが、現場の一番の課題は作物の病気なんです。」 そう話すのは、植物病理学が専門の竹本 大吾さん(生命農学研究科 教授)。 ひと度病気が発生すると、農場全体が枯れてしまうケースが世界中で報告されています。農業生産のネガティブな側面を

大学院生たちはどう生きるか!? 人生で打ち込んできたこと、ありますか?

生物、考古学、森林保護、数理生物学…さまざまな分野で研究に打ち込む現役大学院生5名を迎えた第102回名大カフェ。寒の戻り甚だしい3月初旬、「大学院」にピンときた幅広い年代のみなさんが名古屋大学に集まりました。 今回のテーマは、「大学院生たちはどう生きるか。」大学院進学が減少傾向の今、大学院生たちは研究を通じて何を得て、苦境にどう向き合っているのか、赤裸々に語り合いました。 大学院で打ち込んだ研究は?今回のゲスト5名は、大学院での研究成果をプレスリリースした経験の持ち主でも