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名古屋大学 研究フロントライン

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名古屋大学のURA(リサーチ・アドミニストレーター)が、名大の最近の研究の話題を、柔らかめのトーンでお届けします
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記事一覧

見たことない! 磁気式、非接触で動くネジ誕生

名古屋大学で、こんなネジが開発されています。 ネジというと、ものを固定するための道具を想像しがちですが、世の中には送りネジというタイプのネジも存在します。送りネジは、回転運動を直線運動に変換するためのネジです。固定するのではなく、機械の部品を動かすために使われます。 名大で開発中の送りネジの一番の特徴は、磁石の力で動かす磁気ネジである点。なぜ磁石? 研究を行う部矢 明さん(工学研究科 准教授)に聞きました。 ── 磁気ネジというものがあるんですね。古くから使われているも

「世界をベクトルで表現したい」──OpenUASが描く都市の新たな姿

名古屋大学の河口研究室と株式会社ブログウォッチャーさんが、こんな地図を描けるツールを発表しました↓↓ 「あぁ、よくある土地利用マップね」と思うかもしれません。自治体が定めた農地、住宅地、商業地などの区分で色分けされた地図ですね。でもこれは違います。いつ、どこに人がいるかという滞在情報をもとに描かれた地図です。 この少し変わった都市の眺め方を可能にするのが、今回紹介するOpenUAS(Open Usage of Area with Stay information)。人の滞

抑制と興奮のバランスが重要です~音の識別能力のナゾ~

動物が自らの子孫を残すためには、異性に好まれることが必須です😊。そのために、「求愛」と呼ばれるアピールをします。クジャクのように派手な装飾を見せびらかすものや、カエルやコオロギのように鳴き声で雌を呼び寄せるもの、そのアピール方法は実に多様です。 では、これは・・・?? 👇👇👇👇👇 動画提供:名古屋大学 大学院理学研究科 石川由希 講師 何の音か分かりますか? これは、ショウジョウバエのオスが発する求愛歌です。私には何かが動くような音にしか聞こえないのですが、メスはなぜこの

金属ナノワイヤ、イオンビームより原理を極めたい

目に見えないほど細いのに、驚異的な強度を持つ不思議な材料が注目されています。金属ナノワイヤです。製造技術が確立しておらず、実用化には至っていませんが、研究が進む中、名古屋大学の研究チームがイオンビームを使って正確に作ることに成功しました。 「でも、イオンビームじゃないとできないってわけではないんですよ。」 そう話すのは、研究メンバーの木村 康裕 さん(工学研究科 助教/現・九州大学 准教授)。イオンビームという響きがカッコよくて、ついついイオンビーム推しなのかと思いきや、

ちょっぴり数奇(すき)で乙(オツ)な研究の眺め方

今年も日本の研究者がイグ・ノーベル賞を受賞しました。ドジョウの生態からヒントを得て「動物のお尻には呼吸する能力がある」ことを発見したそうです。 さて、9月7日に開催した第108回名大カフェのゲストは、デンキウナギを初めユニークな魚類研究で知られる飯田敦夫さん(名古屋大学大学院 生命農学研究科 助教)です。『報道』と『論文』との違いを感じながら、人を笑わせつつ考えさせる過去のイグ・ノーベル賞の研究を眺めてみたいと思います。 「数寄」で「乙」な研究者飯田さんは、「へうげもの」

第107回名大カフェ☕メダカの巧みな生存戦略〜季節の変化に適応するしくみ〜

2024年8月29日(木)に第107回名大カフェ「メダカの巧みな生存戦略〜季節の変化に適応するしくみ〜」をオンライン(zoom)で開催しました🐟。今回のゲストは名古屋大学高等研究院/大学院生命農学研究科YLC特任助教中山友哉さんです。 今回は、中山さんにメダカが季節の変化に適応するしくみについてお話しいただきました😊。メダカは季節を感知して生殖腺のサイズを変えるだけでなく、冬には人でもあるような「うつ病」のような状態になるようです。とても賢いメダカの生存戦略に脱帽でした。

遺伝子ビッグデータが明かす、赤くなるのに飲める人の不思議

お酒を飲むと赤くなる人は、食道がんのリスクが高い──。 以前から言われていた飲酒に関わる遺伝要因や病気のリスクについて、今年1月、日本の研究グループ(愛知県がんセンター主導)から新たな研究成果が発表されました。 身近なテーマで、国内のニュースサイトでも話題になりましたが、 「お酒に弱い体質の方がほとんどいない欧米諸国からも、結構注目されたんですよ」 データサイエンティストとしてこの研究に参加した中杤昌弘さん(医学系研究科 准教授)は話します。 いくつもの遺伝要因の組

ジャガイモの「免疫」を活性化!農薬を使わない新たな疫病菌対策の可能性

ジャガイモは、春と秋の2回の旬があるのを、皆様ご存じでしたか🥔?北海道が一大産地ですが、寒い地域では春に植えて秋に収穫されます。一方、北海道に次ぐ産地である鹿児島や長崎では、冬に植え付けて春に収穫します。そんなジャガイモは高温多湿な環境が苦手で、病気になって腐りやすくなります。ジャガイモに感染する病原菌のうち最も怖い「ジャガイモ疫病菌」は気温が20℃くらいになると発育し、湿度が高くなると活動が盛んになります。また、水の中を泳いで胞子が飛散することから、長雨の後に急激に感染が拡

植物の基礎体力UP!企業と大学が共同開発した「バイオスティミュラント」を使ってみよう

「バイオスティミュラント」という言葉を聞いたことがありますか? 直訳すると「生物刺激剤」で、これからの農業資材として注目が高まっています。農薬でも化学肥料でもなく、植物が本来もっている「成長する」力や「病気から自分を守る」力を高める、サプリメントのような働きをします。 まだ新しく、知名度も高くないバイオスティミュラント。実は、名古屋大学と株式会社レゾナックさんが共同開発しています!既に「クロピコ®」という商品名で販売されているバイオスティミュラントを実際に使い、よりよい農

見て、つぶして、調べよう!名大温室で育てた砂糖イネ

「砂糖イネ」という名前を聞いたことがありますか?砂糖イネは、遺伝子の変異で、「米」ではなく「砂糖水」をつくるイネです。つぶすと甘い汁が出る不思議なイネで、名古屋大学などの研究チームが開発を進めています。 2024年8月9日、砂糖イネの実験を通して、砂糖イネを暮らしの中で活用する未来を考えるイベント「見て、つぶして、調べよう!名大温室で育てた砂糖イネ」を開催しました。 砂糖イネの糖度はどのくらい?まずは、実験です。 砂糖イネをひと粒、稲穂からもぎ取ります。 粒の上の部分を

「もったいない」からナノサイズの穴を開ける…!?

↓ 今回のトピックはコレです!何に見えますか? ハチの巣のような、有孔虫のような…。有機的な雰囲気をまとっていますが…、違うんです。直径100ナノメートル(0.0001ミリメートル)ほどの小さな金属の粒に、さらに小さな穴をたくさんあけた「ナノ多孔体」(のイメージ)です。 名古屋大学でこの不思議な粒をつくっているのは、山内悠輔さん(工学研究科 教授)。Nature誌が「Nano Architect(ナノ設計士)」と呼ぶ、職人的なこだわりを持つ研究者です。 山内さんの研究グ

羽音の音色を聞き分ける蚊の繁殖戦略

じとじと暑い日が続きます🥴。ぷ~~~ん・・・聞きなれた羽音です😖思わずパチン!と叩きたくなる羽音の主は、夏の風物詩でもある「蚊」です。平安時代の清少納言が「にくきもの」と嫌った蚊は、何のために血を吸うのか、皆様ご存じですか?実は、メスが子供を産むために吸血するのです。配偶行動をした後のメスしか吸血しないとな・・・その配偶行動の為にオスが同種メスを見つける手段は実は、「音」なんですって😲! 羽音で聞き分けている蚊の配偶を理解できれば、蚊の繁殖を制御できるのでは?と考えて研究を

炭素でつくる太陽電池

真夏日が続く夏休み、2024年7月26日に、名古屋大学東山キャンパス内に新しくオープンしたTokai Open Innovation Complex(TOIC)1Fで「炭素でつくる太陽電池」を開催しました。 サンサンと照りつける太陽を避け、直射日光の当たらない場所でじっと耐えるしかないと思いきや、太陽光線をエネルギーに変換してくれる新たな太陽電池があるそうです。この電池は、カーボンナノチューブを活用することで薄く透明で曲げられるシート状になっているのだとか。いったいどのよう

ノーベル賞から10年、今なお続く”二材料物語”にミステリアスな展開

省エネで明るい照明だけでなく、世界のエネルギー事情までも大きく変えた青色LED。その研究業績にノーベル賞が授与されて今年で10年です。 青色LEDは、窒化ガリウムとマグネシウムの特別な関係から生まれました。窒化ガリウムという半導体に秘められた「青い光を発する可能性」を、金属のマグネシウムを加えることで実現したのです。 「でも、窒化ガリウムとマグネシウムの相互作用は、今なお魅力的な謎の物語であり続けています…」 そう話すのは、王 嘉さん(高等研究院/未来材料・システム研究