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008|雨予報が晴れに変わった春にしがみつく日曜日

雨予報が晴れに変わったとはいえ、まだまだ春の1日、肌寒い中ほろ酔いで帰宅。
温泉と、帰りに食べたいつもの餃子の余韻が夜まで満たしている。
そういえば、パソコンを持たずに一泊したのはいつぶりだろう。

寝るにはまだ早いのでNYCが舞台の去年のミュージカル映画を見ながら、
パソコンに、仕事に、それこそ餃子もいつものを疑いもなく大切にしている自分に、気づけば焦りすら感じていた。

ハーレムよりもさらに北、冒頭で語られるように確かに意識していなかったラテン系移民の街が舞台。
そこでは主人公が、住人たちが、それぞれに夢を抱いている。
成功であり成長であり帰郷もあり。
それは志でもあり、現状に落胆しないための拠り所のようなものでもあるが故、
現状に囚われた時にその夢を見失ってしまうような、
問題に対する表現自体はマイノリティに起因させているが、本質は誰にでも共感する部分を残している。

ラテン系の移民の街を地元と呼ぶ彼らにも、それぞれの母国があり、2世3世ではなく1世代目の人も多く暮らしている。
常にここに残るか母国に帰るか、新しい街に移るか、さまざまな選択肢の中で生きているようで、不安定さや不自由さの葛藤と共に、自由さも見た。

未知の余白には勝手に人は希望を見てしまうようで、彼らの不安定さによる不安が未知の希望になって、エネルギーを放っているように感じて仕方がない。
国籍、永住権、社会保障のある仕事と多少の貯金、そして住み慣れた街といつでも帰れる地元、安定した生活が逆に自分を不自由にさせていると最近目を逸らしていのになぁ。

初めて旅行でNYに訪れた時、あまりの迫力に圧倒された。ニューヨーカーに道を聞かれるその空気にも衝撃を隠せなかった。国内の小さな違いに悩む自分が小さく感じた。

2度目は、今の職場に転職するかの瀬戸際。またもや感じたあまりの自分の小ささに焦り、よりストイックでハードルの高いでももっと広い世界が見える場所への挑戦に踏み切った。

3度目はちょうど今から3年前。
今回のように友人が誕生日をNYで迎えたいというリクエストもあり、英語も満足に話せない2人で飛び立った。
前年に一区切りあり、更に挑戦を続けるスタートを切った私は、2度目に味わった悔しさを成長で上書きするタイミングが来たと思った。

去年、大きな挫折も味わった。
それも3度目の時、赴任中の先輩に会いに行ったことがきっかけで生まれ、思い続けたが自分の浅さで叶わなかった。

夢を見て誰もが訪れるあの街に、4度目は一体何を思った時に行くのだろう。

ただ、何か1つに没頭して戻れなくならないように、自分を見失わないアイデンティティとして、家族・友人・仕事・生活圏にしがみついているのは事実であり間違いでもない。
世の中や自分が変わりだした時にそれでも大切にするのか、それこそいつもの餃子が一番ではないかもしれないと疑問を感じる時に素直に向き合える心算はしておきたい。

[ In The Heights ]
色々考えすぎたが、純粋に演出も新しいし、絶妙に想像力がかき立てられる作品。何よりいい天気と明るいラテンミュージックが心地いい。

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