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001|春と初夏の間の雨の日曜日の夜

世界を騒がす報道を見ながら、ワイン片手に茹で上がったパスタにソースを絡めている。
寄付ってどこを選べばいいんだろう。折角日本に来てくれるなら失礼じゃない範囲で会話もしたいな。でも一般の方は講演なんて負担だし。あぁじゃあ郷土料理のお料理教室に来てもらうとかだと面白いのかな。とか。
アルコールがゆるく入る時に限って何か考えると他のことも考えるようで、さっきのバールで言いそびれた話の続きをぼんやり思い出している。

その日は用事がない1日だったので、
徹底的に部屋を片付けたものの冬物の扱いに悩み、
なんだかんだで気づけば17時になっていた。

雨も少し小降りになったので、
残りの休日は先日いつものバールで盛り上がった激旨パスタ作りに当てることにして、買い出しの帰りに雨宿りと意思表示を込めてバールに立ち寄った。
この後ぶんぶんチョッパーを使うので今日はエスプレッソを。

雨の日曜日だからか、バールマンとの楽しい会話を独り占めする中で、
どうして自分が仕事を頑張るようになったのか。の話になった。
長く話すのはどうにもうまくないので(友人との脈絡のない会話は永遠にできる)、
必死でかいつまみながら自分話を聞いてもらった。

何にも本気にならずに出来ることだけをやってきたこともあり、
周りだけでなく自分ですらも仕事を頑張るなんて毛頭なかったこと。
でも、社会に出てプロではないことへの満たされなさから、思い切って一番ストイックな業界・会社に転職したこと。
そこから頑張ることが認められ、仕事ももらえるようになり、
領域を決め込んでしまっている若い誰かに、私もやってみていいんだって思ってもらえたらいいな。といつの日からかおこがましくも思っていること。

エスプレッソだけではあまりにも照れ臭いけれど、
熱いバールマンはなんと更に熱い話でその場を救ってくれた。



言いそびれたのは社会に出て2年目の時のこと。
飲みの席で教わったルールをなぜ疑わないと総合職の人から指摘されたことがあった。
一般職の保守的な空気に飲まれた無知すぎる自分は、ルールを疑う??なぜ?そして私がそんなことまでしていいの?と考えるほどに浅かった。
その日、帰りが一緒になった他部署の部長が言った「管理部門とはいえ、そのプロと思って自信を持って欲しいかな」の言葉は、初めてもらった真っ当な指導だったため、感動して「え!?私、プロだと思って頑張っていいんですか!?」と驚きで返したことを覚えている。浅いというか青いというか。

今思えば周りに流されずにしっかり働きなさいという指摘だけど、
あの部長は当時まだ30代前半だったと思う。それが隣の部署の新人にそんな言いにくいことを言ってくれたとはそれもまた今になるとありがたい話。



雨が上がるほどバールに長居してしまっていたので、まぁいっか。と帰りに角のイタリア食材屋さんでトマトソースを買った。買っていた野菜は全部コンソメで煮込めばいいか。
全部中途半端だけど、全部ちょっとずつ頑張ろうとした証拠だから、そんな日曜日もいいかなって。


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