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句を読む―はつはるの水菜を

会うてすぐ水菜を食べて寝てしまふ

生駒大祐『水界園丁』

せっかく会えたのに、相手は水菜だけ食べてすぐに寝てしまう。傍若無人だ。私の気持ちはどうなるのよ?
…と、私は解釈したのだけれど、どうでしょう。もしかして「水菜を食べて寝て」しまったのは、主体の方なのかしら。「とりあえず水菜だけ食っときゃそれで完了、御の字よ」?
水菜は初春の季語。大阪の郷土料理「はりはり鍋」は、鯨肉と水菜でつくる鍋料理らしい。
そう思うと「冬の日、はりはり鍋をこたつで囲んだ後にすぐにごろんとなる」みたいな光景が浮かぶ。想像の広がる、面白い句だ。

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現代俳句・短歌を好む私が、ひとつひとつの作品を読んで思ったことをぽつぽつお話ししています。
Amazonアソシエイトリンクは、取り上げた作品が収録された句集・歌集が分かればそちらを貼っています。分からなかったときは私が読んでいるアンソロジー本のリンクにしていますので、こちらもご覧ください。


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