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句を読む―我が家のおでん

天井の高くてうちだけがおでん

佐藤文香 編『天の川銀河発電所』より
「宮本佳世乃」

「天井の高くて」が入っていることで、おでんの鍋から湯気がもくもくとたちのぼる様子が目に浮かぶ。視点が上に向くからだろう。
母がつくるおでんは、とにかくもりもりだ。2人家族なのに、鍋から溢れんばかりの具が入っている。ほかの鍋料理もそう。火にかけた当初は、鍋蓋は蓋としてではなくどちらかといえば「おもし」だ。
高校生のころ調理実習と称して教室で鍋パをしたのだけど(変わってますよね。笑)、私の担当だったはくさいの量が多すぎて半分以上戻ってきた。お鍋にははくさいを半玉入れるし、おでんの3分の2は大根なのが我が家の鍋だ。

(この句は宮本さんの第1句集『鳥飛ぶ仕組み』後の作品です。『天の川銀河発電所』の佐藤文香さんのTwitterによると、第2句集『三〇一号室』に収録されてるみたい)

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現代俳句・短歌を好む私が、ひとつひとつの作品を読んで思ったことをぽつぽつお話ししています。
Amazonアソシエイトリンクは、取り上げた作品が収録された句集・歌集が分かればそちらを貼っています。分からなかったときは私が読んでいるアンソロジー本のリンクにしていますので、こちらもご覧ください。


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