映画備忘録 帰ってきたヒトラー

映画の内容的に政治の話や差別に関しての話が入ります。嫌な人は読まないで下さい。


コメディ?まあ笑うシーンはあるしパロディもちょこちょこ入っているんだと思う。
残念ながらあまり映画に詳しく無いので例のヒトラーの映画とバックトゥザフューチャー(カタカナで書くとマヌケですね)くらいしかわからないが。

それより見るべきはヒトラーの政治的主張でしょう。
子供や老人、そこに限らず貧困の問題。自然環境。移民問題。等々
様々な課題は何十年も前からわかっていたのにそのままです。
そしてマスコミはほとんど触れずに、触れても表面だけ。
その中で歴史でも有数の政治家であり扇動家の格好をしたおじさんが正論(のように聞こえる)を言いまくる。
そら人気出ますよね。だいたい過激な物を民衆は求めます。
それに右往左往するドイツ人を見て笑えるのは少し気楽すぎる人だけでしょう。
主人公は基本的には迂闊で無能に描かれています。
マザコンで童貞(予想)で根性無しです。
ですが彼には申し訳程度の動画作成の技術とヒトラーに出会う幸運を持っていました。
そしてたまたまコネのあったテレビ局でたまたま局長にヒトラーが気にいられて話は急展開を見せます。

なんやかんやで紆余曲折があって本人だと気づく訳ですが。ここからが特に無能です。
何故病院で暴れるのか?何故銃を突きつけるのか?
本物だったら暴行を加えて良いのでしょうか?
ユダヤ人の当事者ないし遺族ならまだわかります。
法治国家では悪人(まだ現代では何もしていない)だからといっていきなり銃で撃って良いわけがありません。
精神病院に入っているのは温情でしょう。
もちろん口封じもあるでしょうが。

世界中でそうでしょうが、現代日本においても政治情勢は混迷を極めております。
只でさえ貧富の格差。在日外国人。少子化。環境破壊。国防。
様々な課題が山積しています。
さらにコロナウイルスの蔓延という新しい課題まで発生しております。

私が思うにですが『国』というのは人が生きる一つの枠組みでございます。
『職場』『家庭』『学校』等々様々な枠組みはありますが一つ言えるのはルールを守るという事に尽きると思います。
問題というのはこのルールが時代に則さなくなったが故に発生しているものでしょう。
理不尽だろうが不愉快だろうがルールはルール。
変えたければルールに乗っ取って対抗せねばなりません。
民主主義、democracyは皆で決めるのが良いところであり悪いところでもあります。
只の多数決ではありません。話し合いを持って少数の意見も含めて考えよう。
この姿勢は尊重するべきものですが、欠点でもあります。
悪意を持って話し合いを停滞させようという勢力が居れば国家は機能不全に陥ります。

あくまで個人的にはこの現代日本の凋落はこの停滞を望む勢力に対して決断をできない、リーダーしかいないのが一つ原因と考えています。
おそらく他の民主主義国家も似たような課題を抱えているのでしょう。

その中でこの映画のようなリーダーシップを持った人間が現れれば多くの国民は支持するのではないでしょうか?
この映画の示唆する所はそれに対する警告とも取れますし、逆に現代の停滞に対する答えの提示とも取れます。

コロナにしろ何にしろ誠実な人間というのははっきり言えなくなってしまう部分が有るわけです。
世の中には絶対無い、もしくは絶対大丈夫と言いきれない物の方が多いわけです。
それに誠実に答えをだそうとするともって回った言い方になるわけです。
尾身先生なんかはそんな苦悩が滲み出るようなしゃべり方をされてますね。
かたやテレビのワイドショーみたいなのは(真偽はともかく)はっきり言うのが好まれる訳です。
彼らは責任取るわけじゃないですからね。

その上で私はやっぱりヒトラーでも良いからはっきり決断してくれるリーダーを望んでいます。
決断すればリスクはあって当然です。食事に豚を食べるか鳥を食べるかですらメリットとデメリットがあるはずです。
何も選ばず、目の前に出てきた物を食べるだけそんなのは生きてるとは言いませんよ。
無難に皆に優しくなんて選択肢は存在しません。必ずデメリットもあるはずです。
その上でそしらぬ顔する連中より苦しくとも決断できるリーダーを望みます。
国家、及び国民もリスクを承知で前に進む時代に来ているはずだと私は思います。

ずいぶん脱線しましたがなかなか含みのある映画でございました、少し時間と心に余裕のある時に見てほしい映画です。


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