アヘン王国潜入記 【読書感想文】
私は、旅が好きである。本も好きである。
ということで旅の本は、メチャクチャ好きなのだ。
そして私と同じく、
旅行記が好きなあなたへ、変化球が好きなあなたへ、贈ります。
本書は、約7か月にわたって、中国国境近く、ビルマの、とある村に滞在し、ケシ栽培からアヘン採取、そして〇〇までした、旅行記(滞在記?)である。本日は、この『アヘン王国潜入記』を紹介しよう!
◇◇
ビルマ。
実は、行きたい国の候補に挙がっていたんですよねぇ。そろそろ行こうかと思っていた矢先、コロナ禍、そして軍事クーデターが起きた。
ダブルパンチである。
平凡パンチと赤玉パンチは、憧れであったが、ダブルパンチは願いさげなのだ。
本書は、30年前に書かれた本であるが、ビルマの構造的な問題を、現地の少数民族の視点で書かれている、数少ない旅行記だと思います。(なぐなぐ調べ)
そして、もちろん面白い!
いま海外に行けないアナタ(わたしも)、こんな旅はできないアナタ(わたしも)、少数民族の独立国家「ワ州」の日常へようこそ!
◇
ここまで、読んだ方、あれ? なんで『ビルマ』なの? 『ミャンマー』じゃないの? そうなんです。本書を途中まで読むと、「ミャンマー」と呼ばざるを得なくなるんです。
本書が書かれた当時も軍事政権下であった。そして、その軍事政権が掌握すると「ビルマ」から「ミャンマー」へと改称したのだ。
この本を読む前は、正式名称が「ミャンマー」で、日本人が誤って「ビルマ」と呼んでいた国名を、マスコミが正式な「ミャンマー」と呼ぶことに決めた。と勘違いしていた。
軍事政権反対!!
じゃあ「ビルマ」と呼ぼう。と、思ったアナタ。ちょっと、待った!「そうは、問屋がおろさない」(昭和でスミマセン)
作者もそのあと、ミャンマー、ビルマ、どっちでも良いじゃんと、記述している。え?えっ? どう言うこと?
◇◇
ミャンマーは、多民族国家。6割占めるのがビルマ人。そして、ビルマ人以外の多くは、民族ごと7州に分かれて暮らしている。そのうちのひとつ、シャン州には、シャン族が多く暮らす。だがその中に、さらに少数民族がいる。ワ州は、そのシャン州の少数民族である「ワ人」が暮らす地域(国)だ。そして、さらにワ州の中にも、さらに少数・・・
ロシアのお土産、マトリョーシカ状態なのだ。
こんな入れ子状態で、135を超える民族がいるのだ。そして、そのそれぞれが独立、自治を望んでいる。ヒエェ〜
著者曰く、
ロヒンギャ問題は、複雑なのだ。そもそも、ひとつの国ではなかった地域・民族を勝手に束ねて「ビルマ」として、統治したのはイギリスだ。
ジャニーさんが、独断でメンバーを決めて、アイドルグループとしてデビューさせるのとは、わけが違う。
実は、アウン・サン・スー・チー率いるビルマ民主化勢力も、少数民族の独立・自治には消極的。どちらに転んでも、少数民族への弾圧は弱まらないのだ。
◇◇
この本が面白いのは、そんなジャーナリズムを捨てていること。
目的は、
ワ州に住み込みで働いて
以上
という、すがすがしさ(笑)
◇
ケシ畑に行って雑草取りの日々、
ひたすら草取りの日々、ワ人の日常生活。衣食住、冠婚葬祭、悲喜交交の毎日。そして、徴兵・・・
数ヶ月に及ぶ、雑草取りが終わると・・待望の!
アヘンさいしゅ〜
そして、アヘンがあれば・・ トップページの写真様な状態に・・
はてさて、日本の江戸時代に迷い込んだような、ミャンマーの独立国家「ワ州」での生活やいかに、
コトバも、独自言語。そもそも、自分たちがミャンマーという国に暮らすことすら理解していない、ワ州という地域(国)。
たかだか30年前に、こんな場所が東南アジアに存在していたことが驚きだ。
アヘン吸っちゃ、ア(キマ)ヘンで! (うぅ、苦しい)
(おしまい)