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効率的なMLFのために | 乳酸菌の利用に必要なことを知る

ワインの醸造では様々な微生物を利用します。もっとも重要なのは酵母。彼らがいなければそもそもワインはワインとして成り立ちません。

そんな不動の一位である酵母に続くのが、乳酸菌です。

ワイン醸造における乳酸菌の利用はMLF (Malolactic fermentation、マロラクティック発酵) の名前でよく知られています。MLFは多くの赤ワインと一部の白ワインの醸造で利用されます。一方でMLFはFermentation、発酵と名付けられていながらも、もっとも重要とされる反応は発酵とは厳密には呼べない部分に属していたりと、知っているようで知らない、そんな表現がよく似合うものでもあります。

MLFの基礎について、以下の記事にまとめています。

ワインと酸と乳酸菌 | MLFを知る

MLFは多くのワイナリーが取り入れていますし、作業としては乳酸菌を入れるだけでいい、比較的手軽なものだと思われているケースも多くあります。

しかし相手は微生物。そんなに単純にはことが進まないのが現実です。ここでは乳酸菌という微生物を手法として利用するために考えなければならない、より安全な増殖促進とそのための添加のタイミングについて書いていきます。

こちらの記事はオンラインサークル「醸造家の視ているワインの世界を覗く部」で公開しているメンバー限定記事の内容の一部を再構成したものとなります。
#サークル記事

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