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コルクは本当に理想的な栓なのか

ワインの試飲会に参加していると時々、不思議な印象を受けることがあります。リースリング、それも比較的、上のクラスのボトルでまるでバリックを使ったかのような木の香りや味を感じることがあるのです。

リースリングといえども、木樽を使うことがないわけではありません。新樽を入れることこそ少ないですが、使用回数がまだ2回目もしくは3回目くらいの、まだ軽い木のニュアンスがワインにつく可能性のある程度のバリックを意図的に使うことはあります。また木の香りや味がつくことは基本的にはないですが、GGクラスのようなトップキュヴェになってくると1000リットルや1300リットルの大樽を敢えて使うワインメーカーは多くいます。

とはいえ、リースリングの香りと木樽の特徴的な香りはあまり相性がよくありません。ですので、あまり木の香りやニュアンスが前面に出てくるような樽の使い方をすることはなく、やるとすれば何かしら明確な意図を持ってやっている場合がほとんどです。にもかかわらず、あまりそうしたことをやらなさそうな印象のある造り手のリースリングからそれなりに主張のある木のニュアンスを感じる、というのは造り手の一人として不思議でなりませんでした。

この記事はNagiと一緒に学ぶオンラインコミュニティ「醸造家の視ているワインの世界を覗く部」に投稿された記事の一部を再編集したものとなります。
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