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果汁の清澄に用いる清澄剤とワインへの影響

収穫してきたブドウをワインにしていく作業には多くの工程が伴います。どの工程も出来上がるワインの品質に影響を与える、重要なものです。

収穫、選果、除梗、搾汁。これに続くのが、果汁の清澄工程です。フランス語でデブルバージュ (débourbage)、英語ではセトリング (settling)といいます。

果汁の清澄をするのかしないのかはその後に続くアルコール発酵の順調な進捗だけにではなく、出来上がるワインの味や香りにも関係しています。ブドウの圧搾前にアルコール発酵を完了させる赤ワインでは必要のない工程ですが、それ以外の白ワインやロゼワインを造る際にはほぼ必須となります。

果汁の清澄の詳しい内容については以下の記事にまとめてあります。

上記の記事では触れていませんが、多くの場合、清澄作業時には清澄剤と呼ばれる清澄補助剤を使用しています。清澄剤には複数の種類が存在していますが、中でも頻繁に利用されているのがベントナイトと酵素です。

ワインの造り手にとっても清澄作業時に清澄剤を添加することは半ば当たり前のように思われている場合もあります。ではこの清澄剤、ワインへの影響はないのでしょうか。

清澄剤を使用することによるワインへの影響について解説していきます。

この記事はNagiと一緒に学ぶオンラインコミュニティ「醸造家の視ているワインの世界を覗く部」に投稿された記事の一部を再編集したものとなります。
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